PRESSRELEASE プレスリリース

第21034号

機能性表示食品、特定保健用食品などの国内市場調査結果
機能性表示食品は2020年に特定保健用食品の規模を上回る
―2020年市場見込(前年比)―
■機能性表示食品 3,349億円(25.9%増)
~ 新商品の発売や 非機能性表示食品からの切り替えが活発化 ~
■特定保健用食品 3,338億円(5.1%減)
~ 機能性表示食品に需要が流出 ~
◆ ストレス緩和・睡眠サポート 260億円(37.6%増)
~ ライフスタイルの急激な変化による不安感から、需要増加 ~
◆ブラックジンジャー 22億円(11.0倍)
~ “コロナ太り”需要を取り込み新しい脂肪対策素材として、市場拡大 ~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2021 No.3 機能性表示別市場分析編」にまとめた。

この調査では、保健機能食品について、腸内環境、脂肪、睡眠などに対するヘルスクレーム(健康表示)別や、生活習慣病予防、免疫賦活作用、骨・関節・筋肉サポートなどの訴求効能別、食品カテゴリー別、成分別に分類し、市場の現状を調査し、将来を予想した。

◆調査結果の概要

■機能性表示食品の国内市場

 

2019年

2020年見込

前年比

明らか食品

278億円

305億円

109.7%

ドリンク類

1,116億円

1,512億円

135.5%

サプリメント

1,265億円

1,532億円

121.1%

合 計

2,659億円

3,349億円

125.9%

2015年4月に制度がスタートして以来、大幅な市場拡大が続いている。初年は積極的に制度が活用されたサプリメントを中心に市場が形成され、2016年以降は既存商品のリニューアル品を中心に、大型ブランドからの派生商品だけでなく、新規ブランドの立ち上げも見られるようになり、大幅な成長が続いた。2018年以降は伸び率の落ち着きが見られるが、前年比20%増を維持しており、2020年には3,000億円を突破して特定保健用食品の市場規模を上回る見込みである。

種類別では、サプリメントを中心に市場は拡大してきたが、近年はドリンク類でも新商品投入や機能性表示食品へのリニューアルが活発化しており、2020年にはドリンク類がサプリメントとほぼ同等の規模になるとみられる。

訴求効能別では、生活習慣病予防が中性脂肪値や血糖値といった数値対策などで需要が高く、約半数を占めている。発売から数年が経過したブランドでは、新奇性の低下や競合商品の増加などにより苦戦しているブランドもみられるが、新商品の発売が続いているほか、新型コロナウイルス感染症の流行を背景に基礎疾患への注力度の高まりによる需要も増加しており、2020年も市場は大幅に拡大するとみられる。スポーツサポートや血行促進、オーラルケアは苦戦しているが、骨・関節・筋肉サポート、ストレス緩和・睡眠サポートなどは非機能性表示食品から機能性表示食品への切り替えや新商品投入が続いており、好調が続いている。

■特定保健用食品の国内市場

 

2019年

2020年見込

前年比

明らか食品

1,132億円

1,089億円

96.2%

ドリンク類

2,248億円

2,117億円

94.2%

サプリメント

137億円

132億円

96.4%

合 計

3,517億円

3,338億円

94.9%

乳酸菌飲料、ヨーグルト、ドリンクヨーグルトを中心に構成されている。機能性表示食品の制度がスタートし商品数が増加したことで、影響が表れるようになった。機能性表示食品が同じ機能性を訴求しながら低価格な商品が多いことから、2018年は茶系飲料を中心に需要が流出し、市場はマイナスとなった。2019年は美容効果で初となる「オルビス ディフェンセラ」(オルビス)が発売されプラス要素となったが引き続き機能性表示食品への需要流出がみられ、市場は縮小した。2020年は新商品発売が特に見られず、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、有力販売チャネルであるCVSの利用客数が減少したため、ドリンク類が苦戦し市場は縮小するとみられる。

種類別では、ドリンク類の構成比が最も高い。2020年は“ヨーグルトブーム"“乳酸菌ブーム"で乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルトが好調であるが、茶系飲料は機能性表示食品に需要を奪われていることから、今後も市場は縮小が続くとみられる。明らか食品は外出自粛により内食の機会が増えたことでヨーグルトの需要が高まったものの、若年層を中心にガム離れが進んでいるためマイナスが続くとみられる。サプリメントは2019年に美容効果で初となる「オルビス ディフェンセラ」が発売されたことに加え、「ヘルケア」(エーザイ)が高血圧予防への関心が高まったことで好調となった。2020年は一部商品の機能性表示食品への切り替えなどにより、前年割れするとみられる。

訴求効能別では、2019年に“肌の水分を逃がしにくくする"という機能表示を許可された「オルビス ディフェンセラ」が発売されたことで、整腸効果、生活習慣病予防、オーラルケア、骨・関節・筋肉サポートの4つの市場に加え、新たに美容効果が追加された。骨・関節・筋肉サポートは「毎日骨ケアMBP」(雪印メグミルク)が好調で伸長するが、それ以外は機能性表示食品に需要を奪われていることや、特定保健用食品の表示をやめる商品もあり、2020年の市場は前年割れするとみられる。

◆注目市場

◆乳酸菌類(成分)

2019年

2020年見込

前年比

1,837億円

1,919億円

104.5%

乳酸菌およびビフィズス菌を関与成分とする特定保健用食品、機能性表示食品を対象としている。成分別市場としては最大規模であり、活発な商品発売により拡大している。

2019年は市場をけん引してきた「BifiXヨーグルト」シリーズ(江崎グリコ)が機能性表示食品をやめたことが大きなマイナス要素となり、市場は縮小した。しかし、2020年は主力の腸内環境訴求での新商品の発売に加え、睡眠やストレス緩和、紫外線対策といった新たなヘルスクレーム商品の発売で市場が活性化している。また、新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、乳酸菌類全体が免疫機能サポートのイメージによって評価され、内食需要の獲得につながったほか、免疫機能維持といったヘルスクレームの登場により、市場は拡大するとみられる。

今後も新たなヘルスクレームの広がりが期待されており、2021年以降も市場拡大が続くと予想される。

◆ブラックジンジャー(成分)

2019年

2020年見込

前年比

2億円

22億円

11.0倍

ブラックジンジャーはブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンを関与成分とする機能性表示食品を対象としている。2017年に丸善製薬やディーエイチシーなどが参入し市場が形成され、“加齢で衰え始める筋肉の維持"や“腹部の脂肪を減らす"など筋肉・筋力維持と脂肪対策の二つの訴求から商品が展開されている。

2017年、2018年は筋肉対応の商品展開が主であったが、2019年から脂肪対策の商品が増え始めた。2020年は筋肉対応で「歩みのゼリー 根のちから」(再春館製薬所)が好調なほか、脂肪対策の商品は“コロナ太り"対策需要も取り込み、市場は大幅に拡大するとみられる。

筋肉・筋力維持と新しい素材として注目が集まり採用が増えている脂肪対策のヘルスクレームにより幅広い需要獲得が期待され、2021年以降も市場拡大が続くと予想される。

◆骨・関節・筋肉サポート(訴求効能)

2019年

2020年見込

前年比

751億円

904億円

120.4%

カルシウム、コラーゲン、グルコサミン、大豆イソフラボン、アミノ酸やHMBなどが関与成分となり、骨の維持・形成や関節の痛み緩和、筋肉量の維持などを訴求する商品を対象とする。特定保健用食品がけん引してきたが、非機能性表示食品からの切り替えも含め機能性表示食品が増加しており、市場は拡大を続けている。

機能性表示食品は、2016年には栄養機能食品、2017年には特定保健用食品の市場規模を上回る、急成長を遂げた。高齢者人口の継続的な増加で、骨粗しょう症の予防やロコモ対策需要はますます高まるとみられるほか、機能性表示食品で“ひざ関節の違和感をやわらげる"“筋肉・筋力の維持"などの訴求が可能となったため、より具体的に効能をアピールできることで市場は拡大を続けると予想される。

◆ストレス緩和・睡眠サポート(訴求効能)

2019年

2020年見込

前年比

189億円

260億円

137.6%

2015年に機能性表示食品制度がスタートし、2017年はL-テアニンを、2019年はGABAを関与成分とする新商品が投入され、市場は拡大した。

2020年は外出自粛や在宅勤務、また、その他日常で様々な制約が増え急激に生活が変化したため、不安感によるストレスや睡眠の質を気にする消費者の需要が増加し、市場は引き続き拡大が予想される。

◆調査対象

保健機能食品

特定保健用食品

栄養機能食品

機能性表示食品

ヘルスクレーム別

・腸内環境横断

・脂肪×糖×血圧

・コレステロール横断

・記憶・認知

・腸内環境

・血圧横断

・コレステロール

・膝・関節

・脂肪横断

・血圧

・糖横断

・尿酸値対策

・脂肪

・睡眠横断

・糖

 

・脂肪×糖

・睡眠

・記憶・認知横断

 

成分別

・乳酸菌類

・DHA・EPA

・ローズヒップ由来

・葛の花由来イソフラボン

・食物繊維

・サラシア

ティリロサイド

・ブラックジンジャー

・GABA

 

 

・グルコサミン

食品カテゴリー別

・チルドデザート

・農産加工品

・ノンアルコールビール・ドリンク

・健康飲料

・菓子

・調味料

・嗜好飲料

・炭酸飲料

・ステープル

・畜産・水産加工品

・乳性飲料

・果実飲料

訴求効能別

・滋養・強壮

・ダイエット

・栄養バランス

・アイケア

・肝機能改善

・生活習慣病予防

・骨・関節・筋肉サポート

・マルチバランス

・美容効果

・血行促進

・貧血予防・改善

ストレス緩和・睡眠サポート

・整腸効果

・免疫賦活作用

・オーラルケア

・グリーンチャージ


2021/03/22
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