PRESSRELEASE プレスリリース

第21052号

製造業向けロボットの世界市場を調査
―2025年予測(2020年比)―
■製造業向けロボットの世界市場 1兆6,018億円(60.7%増)
~2021年以降、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され市場は拡大~
●ヒト協調ロボットの世界市場 2,157億円(3.0倍)
~人手不足や人件費の高騰を背景に需要はさらに高まる~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、深刻な人手不足を背景に、ロボットによる自動化ニーズの高まりを受けて拡大している製造業向けロボットの世界市場を調査した。その結果を「2021 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.1 FAロボット市場編」にまとめた。

この調査では、製造業向けロボット17品目、半導体・電子部品実装向けロボット7品目、ロボット向け注目構成部材10品目、ソリューション・サービス4品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。なお、No.2では業務・サービスロボットを取り上げる。

◆調査結果の概要

■製造業向けロボットの世界市場

 

2020年

前年比

2025年予測

2020年比

溶接・塗装系

3,033億円

89.0%

3,993億円

131.7%

アクチュエーター系

452億円

87.9%

680億円

150.4%

組立・搬送系

5,581億円

99.9%

1兆 300億円

184.6%

クリーン搬送系

905億円

114.7%

1,044億円

115.4%

合 計

9,970億円

96.8%

1兆6,018億円

160.7%

※市場データは四捨五入している

2020年の市場は前半、前年に引き続き米中貿易摩擦の影響を受けたほか、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による設備投資の抑制から大幅なマイナスが懸念された。しかし、後半は徐々に設備投資が再開され、感染症の拡大が早期に収束した中国では精力的な設備投資が行われ、スマートフォン関連や車載電装品、車載バッテリーの製造現場などでは前年を上回るロボット需要がみられたことから市場は前年比3.2%減にとどまった。2021年は感染症の影響が緩和されることから大きく落ち込んだ溶接・塗装系やアクチュエーター系の需要が回復し、市場は拡大に転じるとみられる。今後もロボットによる自動化ニーズが高まることから成長が期待される。

溶接・塗装系は自動車関連での採用が中心となっている。2020年は自動車関連の設備投資が抑制されたことから前年に引き続き市場は縮小した。2021年以降、感染症拡大の収束と共に自動車関連の設備投資が緩やかに回復していくほか、二輪車や健康器具など様々な製造現場で需要増加が期待され、市場は拡大するとみられる。

アクチュエーター系は主力用途である自動車や産業機械関連の設備投資の不振から、2019年の市場は縮小した。2020年は後半からスマートフォンや半導体の製造現場で需要が急速に回復したものの、マイナスをカバーするには至らず前年比12.1%減となった。2021年以降、車載電装品の増加や旺盛な半導体需要を背景に中国や米国における自動車関連の設備投資が回復し、市場は拡大に転じるとみられる。

組立・搬送系では、2020年の前半は設備投資抑制の影響を受けたものの、中国では5月頃より設備投資が活発に行われたことから、中国の販売比率が高いスカラロボットや垂直多関節ロボットは伸長した。また、新規性の高いヒト協調ロボットは好調だった。しかし、ほかの品目のマイナスをカバーするには至らず、2020年の市場は微減となった。2021年以降は感染症の影響が緩和されることにより、市場は拡大に転じるとみられる。今後も深刻な人手不足や技能継承などを背景に、人の作業からの置き換えに適したスカラロボットや小型垂直多関節ロボット、人との協働を行うヒト協調ロボットは高成長が期待される。

クリーン搬送系では、ウエハー搬送ロボットが市場拡大をけん引している。2020年は5G通信サービスが本格的に始まったことをきっかけに、関連するデータセンターやスマートフォン関連、車載半導体などの製造現場でウエハー搬送ロボットの需要が増加し、市場拡大した。ガラス基板搬送ロボットは横ばいだが、今後も5G通信やAI、IoT、自動運転など新技術の広がりにより半導体需要が高まることで、ウエハー搬送ロボットは伸びるとみられる。

■半導体・電子部品実装向けロボットの世界市場

 

2020年

前年比

2025年予測

2020年比

電子部品実装向けロボット

3,484億円

110.0%

6,087億円

174.7%

半導体実装向けロボット

2,055億円

117.5%

3,341億円

162.6%

合 計

5,539億円

112.7%

9,427億円

170.2%

※市場データは四捨五入している

半導体・電子部品実装向けロボットは、2019年に米中貿易摩擦や世界景気の後退による半導体関連の生産調整を受けて市場縮小した。2020年は感染症の影響により、前半は販売不振が続いたものの、後半は中国におけるスマートフォン需要の回復や5G通信関連の設備投資が活発だったことにより、市場は前年比12.7%増となった。特に、前年の落ち込みが大きかったボンダー関連の伸びは大きく、ワイヤボンダーでは特需もみられた。white-space: nowrap;

テレワークや工場・オフィスにおけるリモート対応の増加などからスマートフォンやパソコン、ネットワーク機器といった電子デバイスの需要が急増しているほか、自動車関連の設備投資の再開や5G通信対応に向けたインフラ投資の増加から半導体需要は好況が続くとみられ、今後も市場拡大が期待される。

◆注目ロボットの世界市場

・ヒト協調ロボット

2020年

前年比

2025年予測

2020年比

722億円

122.4%

2,157億円

3.0倍

これまで欧州が需要の中心となっていたが、近年、上位メーカーがアジアでの販売を拡大させている。深刻な人手不足や人件費の高騰を背景に、人による作業にそのまま置き換えが可能なヒト協調ロボットの需要はさらに高まっていく。今後いずれの地域でも需要が増加するとみられ、特に欧州や中国での伸長が期待される。日本ではリスクアセスメントのレベルが厳しく、実証実験から本格導入に繋がりにくいため、伸びは緩やかとなっているが、ロボットの安全に対する認識が高まると共に好調に推移するとみられる。

・スカラロボット

2020年

前年比

2025年予測

2020年比

517億円

122.2%

1,030億円

199.2%

自動車部品や電子部品、光学部品などの微細部品、食品・医薬・化学品などのハンドリング、ピック&プレース、配膳、組み立てなどに使用される水平多関節機構のスカラロボットを対象とする。

スカラロボットは2020年、日本や欧州、米州で感染症の影響を大きく受けて低調となったものの、早期に感染拡大が収束した中国において、5月頃より設備投資が活発に行われたことから市場は拡大した。中国でスマートフォン関連や車載バッテリー、EMSの製造現場で需要が旺盛であり、2021年はさらなる伸びが期待される。

・ウエハー搬送ロボット

2020年

前年比

2025年予測

2020年比

562億円

127.7%

704億円

125.3%

クリーン仕様の水平多関節機構のロボットで、半導体製造装置に組み込まれて使用されるウエハーハンドリングを担うウエハー搬送ロボットを対象とする。

2020年の市場は5G通信対応のスマートフォンの製造現場やデータセンターで設備投資が活発であったほか、車載半導体の使用が増える自動車の電動化の進行も追い風となり、半導体の需要が増えたことから前年比27.7%増の562億円となった。2021年も引き続き半導体市場は活況になるとみられ、市場拡大が期待される。

◆調査対象

製造業向けロボット(17品目)

溶接・塗装系

・アーク溶接ロボット

・スポット溶接ロボット

・塗装ロボット

アクチュエーター系

・単軸ロボット

・直交ロボット

・電動スライダ

組立・搬送系

・卓上型ロボット

・小型垂直多関節ロボット

・パラレルリンクロボット

・パレタイジングロボット

(可搬重量20kg以下)

・ヒト協調ロボット

・取出しロボット

・垂直多関節ロボット

・アーム付きAGV

・スカラロボット

(可搬重量21kg以上)

 

クリーン搬送系

・ガラス基板搬送ロボット

・ウエハー搬送ロボット

 

半導体・電子部品実装向けロボット(7品目)

・高速モジュラーマウンター

・低速マウンター

・ダイボンダー

・フリップチップボンダー

・中速モジュラーマウンター

・多機能マウンター

・ワイヤボンダー

 

ロボット向け注目構成部材(10品目)

・FAケーブル

・ロボット用力覚センサー

・汎用ロボットハンド

・精密制御減速機

・ロボットビジョンシステム(2D/3D)

・リニア搬送システム

・ロボット用サーボモーター

・セーフティレーザースキャナー

 

・オートツールチェンジャ

・ライトカーテン

 

ソリューション・サービス(4品目)

・ロボット制御ソリューション

・予知保全システム・サービス

 

・ヒト協調ロボットレンタルサービス

・リスクアセスメント策定受託サービス


2021/06/01
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