PRESSRELEASE プレスリリース

第21057号

業務・サービスロボットの世界市場を調査
―2025年予測(2020年比)―
■業務・サービスロボットの世界市場 4兆1,578億円(76.9%増)
~新型コロナの流行を背景に自動化や省人化、非接触対応ニーズが高まり、市場は拡大~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、新型コロナウイルス感染症の流行を背景とした自動化や省人化、非接触対応ニーズの高まりにより導入が進む業務・サービスロボットの世界市場を調査した。その結果を「2021 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.2 業務・サービスロボット市場編」にまとめた。

この調査では、業務・サービスロボット27品目、AI・人工知能/RPA4品目、ロボット向け注目構成部材2品目、ロボット関連サービス2品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■業務・サービスロボットの世界市場

 

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

家庭用

1兆3,461億円

133.5%

2兆3,970億円

178.1%

建設/物流・搬送/レスキュー/インフラ/農業用

7,177億円

103.5%

1兆1,549億円

160.9%

医療・介護用

2,517億円

99.2%

5,340億円

2.1倍

オフィス・店舗用

347億円

91.8%

720億円

2.1倍

合 計

2兆3,501億円

117.9%

4兆1,578億円

176.9%

※市場データは四捨五入している

2020年の業務・サービスロボットの世界市場は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による営業訪問制限や設備投資の抑制などから伸びが鈍化した品目がある一方で、人手不足対策や非接触対応、自動化ニーズの高まりにより大きく伸長した品目もあることから前年比17.9%増となった。特に、パワーアシスト・増幅スーツや紫外線照射ロボット、スマートスピーカー、テレプレゼンスロボット、調理ロボットは大幅な伸びとなった。介護や農業、物流における業務負担の軽減目的や、在宅勤務の増加などといった社会環境の変化が市場拡大を後押しした。

今後も人手不足対策に加えて、自動化や省人化、非接触対応ニーズの高まりにより導入が進むとみられ、特に、医療・介護やオフィス・店舗、物流で需要増加が期待される。

家庭用は最も市場規模が大きい。スマートスピーカーが市場をけん引しており、新型コロナの流行により世界的に在宅時間が増えていることから需要が増加している。そのほか、家庭用清掃ロボットは今後世帯普及率が高まることで伸長するとみられる。

建設/物流・搬送/レスキュー/インフラ/農業用は人手不足や作業者の高齢化などを背景に需要が増加している。ドローン・無人ヘリがこの分野の市場で7割以上を占め、空撮のほか、農薬散布や測量、構造物の点検や配送など新用途での活用が進むことでさらなる伸長が期待される。また、AGV(自動搬送車)は製造業や物流業で省人化、無人化に向けた需要増に伴い、好調に推移するとみられる。

医療・介護用は2020年の市場は微減となったものの、深刻な人手不足を背景に需要が増加している。特に、医療現場では医師や看護師などの専門家しか行えない業務に専念させる環境を整備することが最大の課題であり、その他の事務的な業務や単純作業に関して自動化ニーズが高い。今後も人手不足対策に加え、自動化や非接触対応ニーズの高まりに伴い伸長が続くとみられ、2025年の市場は2020年比2.1倍が予測される。

オフィス・店舗用は、新型コロナの流行による在宅勤務の増加や出社制限などオフィスへの訪問制限などに伴い、オフィスでのロボット需要が増加している。また、飲食店などのサービス業では省人化や業務効率化ニーズが高く、今後調理ロボットなどの需要増加が期待される。2020年は営業訪問制限などにより滞った案件がみられたため市場縮小したものの、2021年以降は拡大に転じるとみられる。

■AI・人工知能/RPAの世界市場

 

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

全 体

1兆  212億円

119.7%

3兆  103億円

2.9倍

 

RPAソリューション

4,510億円

110.0%

1兆1,100億円

2.5倍

※RPAソリューションは全体の内数

疾病診断支援ロボットやコールセンター支援ロボット、金融ロボット、RPAソリューションを対象とする。

2020年の市場は、在宅勤務の増加により、各業務分野で電子化や自動化が進んだことからすべての品目が伸長し、前年比19.7%増の1兆212億円となった。自律型のAI診断システムやテキストと音声の併用、業務全体の最適化など各業種の業務に適した機能が追求されており、今後も市場拡大が期待される。

RPAソリューションは急拡大を続けてきたが、大手企業への導入は一段落し、年々伸びは鈍化している。しかし、2020年以降は在宅勤務の広がりにより業務の電子化が進み、RPAツールを活用しやすい環境が整備されつつある。働き方改革やDXの機運が高まり、金融業や消費財、インフラなど採用業種が広がっており、さらにAIなど関連技術と連携したソリューション提案も増加している。

◆注目ロボットの世界市場

・パワーアシスト・増幅スーツ

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

58億円

134.9%

144億円

2.5倍

人が装着することで、歩行や重労働(持ち上げ/下げ降ろし、運搬、介護)の動作をアシストする装置を対象とする。リハビリなどの医療支援を目的としたサイバーダイン「HAL」のような自立支援タイプと、介護や物流、農業など重労働を行う際のサポートを目的としたイノフィス「マッスルスーツ」のような作業補助タイプがある。

2020年の市場は介護や製造、物流、建設現場などにおける人手不足対策や作業者の高齢化に伴う生産性の向上や非接触ニーズの高まりに加え、低価格であるイノフィス「マッスルスーツEvery」の好調により前年比34.9%増となった。新型コロナの流行により十分な営業活動が実施できないなどの問題はあるものの、需要は増加しており、引き続き市場は順調に拡大していくとみられる。

・紫外線照射ロボット

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

51億円

10.2倍

65億円

127.5%

AGV(自動搬送車)に紫外線照射ランプを搭載した自律走行型の殺菌ロボットを対象とする。

市場は2017年に立ち上がり、新型コロナの流行による院内消毒需要の増加とともに一気に拡大し、2020年には前年比10.2倍の51億円となった。今後、数年間は市場拡大が続くが、新型コロナの収束や大規模病院への導入が進むにつれ需要は落ち着くとみられる。2023年頃には需要が一巡するため、それ以降マイナスで推移するとみられる。

・テレプレゼンスロボット

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

64億円

133.3%

129億円

2.0倍

テレビ電話のように遠隔でのコミュニケーションを可能とするテレプレゼンスロボットを対象とする。

米国を中心に市場が形成されており、海外の市場規模が大きい。2020年は新型コロナの流行により、世界的に在宅勤務が広がったことから需要が増加し、前年比33.3%増の64億円となった。今後も在宅勤務の定着が進むとみられ、市場拡大が期待される。

・調理ロボット

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

7億円

7.0倍

105億円

15.0倍

外食店や中食、小売店のバックヤードなどで人が行っていた調理作業の一部を代替するロボットを対象とする。

米国を中心とした海外市場が主体となっている。従来から人手不足が深刻化していた食品業界において、新型コロナへの対策として人との接触回避のための人員制限や非接触対応ニーズは拡大しており、調理ロボットに対する関心は高まっている。2020年の市場は新型コロナの流行により、営業活動や案件対応の遅れはみられたものの、前年比7.0倍の7億円となった。コロナ禍に対応した生活様式は長期化するとみられ、中長期的に非接触ニーズに対応した調理ロボットの需要増加が期待される。今後は欧米、日本を中心に導入が期待され、国内外で市場拡大するとみられる。

◆調査対象

業務・サービスロボット(27品目)

医療・介護用ロボット

・パワーアシスト・

・自動分注ロボット

・排泄支援ロボット

増幅スーツ

・紫外線照射ロボット

・入浴支援ロボット

・手術支援ロボット

・移乗ロボット

・セラピーロボット

家庭用ロボット

・家庭用清掃ロボット

・パーソナルモビリティ

 

・家庭用コミュニケー

・スマートスピーカー

 

ションロボット

 

建設/物流・搬送/

レスキュー/インフラ/農業用

・自動建設ロボット

・ドローン・無人ヘリ

・デリバリーロボット

・レスキューロボット

・AGV(自動搬送車)

・自動収穫ロボット

・インフラ点検ロボット

 

 

オフィス・店舗用

ロボット

・業務用コミュニケー

・自律型受付案内ロボット

・レジロボット

ションロボット

・業務用清掃ロボット

・調理ロボット

・テレプレゼンスロボット

・業務用セキュリティ

 

・受付案内ロボット

ロボット

 

AI・人工知能/RPA(4品目)

・疾病診断支援ロボット ・コールセンター支援ロボット ・金融ロボット ・RPAソリューション

ロボット向け注目構成部材(2品目)

・サービスロボット用モーター

・サービスロボット用触覚センサー

 

ロボット関連サービス(2品目)

・BtoB向けレンタルサービス

・ロボット導入支援・保守・運用サービス


2021/06/15
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。