PRESSRELEASE プレスリリース
■駆動用二次電池 26兆4,660億円(8.5倍)
~欧州や中国でのガソリン/ディーゼルエンジン車の販売禁止に伴い、伸長~
■補機用二次電池 1兆9,628億円(109.5%)
~2020年代後半から欧州を中心にLiBの採用が広がり、市場拡大~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、世界各国で燃費規制・排出ガス規制が強化され、各自動車メーカーが環境自動車の展開を進める中、電池メーカーの積極的な投資や生産拠点の拡大がみられる自動車向け二次電池市場(駆動用・補機用)を調査した。その結果を 「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2021 電動自動車・車載電池分野編」にまとめた。
この調査では、自動車向けの駆動用二次電池や補機用二次電池の市場の現状を対象に調査・分析し、将来を展望した。また、各エリアにおける政策や自動車市場、EV需要の増加に伴う消費電力量規模も整理した。
◆調査結果の概要
■駆動用二次電池の世界市場
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2021年見込 |
2020年比 |
2035年予測 |
2020年比 |
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全体 |
4兆8,297億円 |
154.8% |
26兆4,660億円 |
8.5倍 |
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中国 |
2兆1,718億円 |
177.6% |
9兆8,641億円 |
8.1倍 |
欧州 |
1兆5,637億円 |
154.0% |
9兆5,516億円 |
9.4倍 |
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北米 |
6,026億円 |
121.7% |
3兆9,484億円 |
8.0倍 |
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日本 |
2,323億円 |
123.7% |
1兆7,496億円 |
9.3倍 |
※中国、欧州、北米、日本は全体の内数
2020年は、環境自動車市場が拡大した。特に、欧州の主要国では、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、環境自動車への補助金政策を充実させたため需要が高まり、駆動用二次電池の市場が大きく伸長した。2021年は、前年に新型コロナのため中断していたEV関係のプロジェクトや工場などの設備投資が再開されることによりで、市場は前年比54.8%の増加が見込まれる。2035年までには、欧州の大半や中国などでガソリン/ディーゼルエンジン車の販売が禁止される予定であり、環境自動車の比率が大幅に上昇するため、市場は2020年比8.5倍の26兆4,660億円が予測される。
エリア別にみると2020年時点では中国と欧州が市場の中心となっており、2035年もこの市場構造は大きく変わらないが、北米や日本、その他地域でも順調な伸びが予想される。
中国は、EVへの補助金やナンバープレートの優遇発行などの支援政策によって世界最大の市場となっている。2021年には「省エネ・新エネ車技術ロードマップ2.0」を発表し、2035年にエンジンを搭載する乗用車でHV販売比率100%を目指している。このため、HV向けのニッケル水素電池(NiMH)が2025年まで堅調に推移するとみられる。また、EVの普及も予想されるため、EVやHV向けのリチウムイオン電池(LiB)が急速に拡大するとみられる。
欧州では、経済成長や主要国におけるガソリン/ディーゼル車の販売規制などを背景に環境自動車の普及が進むと予想される。特に、2025年にノルウェー、2030年にドイツ、2035年までにはイギリスがそれぞれ内燃自動車(ICEV)やHV、PHVの販売を禁止するため、EVの普及が促進されるとみられる。これに伴い、EV向けのLiBの需要が急速に増加するとみられ、2035年には各エリアと比較して高い伸びが予想される。
北米では、欧州や日本に比べて環境自動車の普及が進んでいないものの、中長期的には、米国のカリフォルニア州が主導している「CARB States」による目標の下、2025年に乗用車のストック台数のうち航続距離350マイル以上のEVの普及率を5.5%にするほか、2030年にワシントン州、2035年にカリフォルニア州やマサチューセッツ州でICEVやHV、PHVの販売を禁止にするなどの動きがみられる。また、カナダでも2035年から2040年にかけて一部の州でICEVの販売が禁止されるため環境自動車の普及が進み、EV向けのLiBを中心に駆動用二次電池の市場は拡大するとみられる。
日本では、2030年までに東京都が都内で販売される乗用車を、2030年代半ばまでに政府が国内で販売される乗用車を全て環境自動車にする方針を掲げている。今後、環境自動車の販売が増加することで、2035年に向けてPHVやEV向けのLiBの需要が増加するとみられる。
電池別にみると、LiBの割合が高い。2035年に向けてEV向けのLiBを中心に市場は伸長するとみられる。LiBは、三元系が中心であるものの、近年は容量改善を目的にハイニッケル系の採用比率が上昇している。また、中国では生産コストが低いことや主要電池メーカーの技術向上によってLFP系の採用比率が上昇していることが環境自動車の低価格化に繋がっており、今後のLiB市場の拡大に寄与するとみられる。NiMHは、高出力や低温始動性がLiBよりも優れていることからHVやFCVの寒冷地仕様車などで搭載され、今後は、HV向けを中心として堅調に伸びるとみられる。電気二重層キャパシター(EDLC)やリチウムイオンキャパシター(LiC)は、マイクロHVでの搭載がみられ、2035年に向けて特にEDLCの採用が拡大すると予想される。
■補機用二次電池の世界市場
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2021年見込 |
2020年比 |
2035年予測 |
2020年比 |
ICEV/ISSV向け |
1兆7,192億円 |
100.6% |
1兆 785億円 |
63.1% |
環境自動車向け |
992億円 |
117.4% |
8,843億円 |
10.5倍 |
合 計 |
1兆8,184億円 |
101.4% |
1兆9,628億円 |
109.5% |
2020年の市場は、新型コロナ感染拡大の影響で新車向けは減少したものの、既存車の更新需要が好調であった。現在はICEVやアイドリングストップ車(ISSV)向けが市場の大半を占めるものの、今後は車両が減少するため縮小が予想される。一方、環境自動車向けは車両販売台数が増加するため需要が高まる。今後は、環境自動車向けが大きく伸びることで、2035年の市場は2020年比9.5%増の1兆9,628億円が予測される。
エリア別でみると、2020年時点では中国が最大の需要地となっており、北米や欧州が続く。長期的にもこの3エリアが市場拡大をけん引すると予想される。欧州や中国では鉛電池への規制が行われるため、LiBへの代替が進み、北米もこの動きに追随すると予想される。
電池別でみると、鉛電池は、安全性や低価格性から当面補機用電池が主流であり、今後も更新需要によって堅調な伸びが予想される。LiBは、自動車廃棄時の環境負荷低減を目的としたELV指令を背景に、2020年代後半から欧州で本格的に需要が増加する。また、一部自動車メーカーの採用拡大もあり、急速に伸長するとみられる。製品開発面において課題であった低温始動性については、実用上の問題のないレベルまで改善されつつあるが、鉛電池と比較したカーボンフットプリントや高温耐性の改善などは引き続き求められている。EDLCとLiCは、中国での48V系システムで鉛電池との併載が進み、市場が拡大するとみられる。
◆調査対象
二次電池 |
・鉛電池(Pb) |
・リチウムイオン電池 (LiB) |
・リチウムイオンキャパシター (LiC) |
・ニッケル水素電池(NiMH) |
・電気二重層キャパシター (EDLC) |
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車種 |
・FCV |
・マイクロHV (12V系、48V系) |
・アイドリングストップ車 (ISSV) |
・HV |
・HV/PHVトラック・バス |
・内燃自動車(ICEV) |
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・PHV |
・EVトラック・バス |
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・EV |
・マイクロEV |
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