PRESSRELEASE プレスリリース

第23020号

電力・ガスの小売市場/グリーンエネルギー市場を調査
―2035年度市場予測(2021年度比)―
■グリーンエネルギー 2兆2,757億円(16.3倍)
提供事業者の増加、環境価値への意識浸透により、大幅拡大
■電力小売 20兆8,530億円(46.2%増)。内、新電力 5兆2,180億円(58.2%増)
燃料価格や託送料金の上昇により拡大。新電力は25%超え

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、環境問題に対する取り組みの高まりから、脱炭素化を目指した施策とサービス提供が進められる、電力・ガス小売の国内市場を調査した。その結果を「電力・ガス/グリーンエネルギー市場・企業戦略総調査 2023」にまとめた。

この調査では、電力・ガス小売の自由化や脱炭素化動向、主要新電力や中堅新電力など計41社の事業動向などを分析し、2035年度までの小売市場を予測するとともに、先行する欧州・米国の自由化動向を整理した。

◆注目市場

●グリーンエネルギーの国内市場

グリーンエネルギーは、主に水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力や環境価値証書を活用し二酸化炭素フリーの電源からの供給とみなした電力であるグリーン電力、天然ガスの採掘から燃焼までに発生する二酸化炭素などの温室効果ガスをクレジットでオフセットした都市ガスであるカーボンニュートラルLNGを対象とした。

市場は拡大しており、2022年度は燃料価格の高騰も加わって、前年度比2.4倍が見込まれる。グリーン電力は、電力価格の高騰に伴いコスト重視の機運が高まる中小企業では、導入を見送るケースもみられるが、大企業では脱炭素に向けた取り組みを継続していることから導入が増えている。カーボンニュートラルLNGは東京ガス、大阪ガス、東邦ガスといった大手都市ガス事業者に加え、2021年度から2022年度にかけて中堅都市ガス事業者が提供を開始し、伸びが続いている。

RE100やESG投資など社会的な環境価値への意識の高まりや政策などによって提供事業者が増加しており、2035年度の市場は2021年度比16.3倍の2兆2,757億円が予測され、グリーン電力では1兆9,459億円、カーボンニュートラルLNGは3,298億円で、ガス小売に占める割合が10%を超えるとみられる(2035年度ガス小売市場予測:3兆683億円)。

◆調査結果の概要

●電力小売の国内市場

 

2022年度見込

2021年度比

2035年度予測

2021年度比

販売金額

18兆6,800億円

130.9%

20兆8,530億円

146.2%

 

新電力

4兆3,350億円

131.5%

5兆2,180億円

158.2%

販売電力量

8,327億kWh

99.9%

8,106億kWh

97.2%

※新電力は販売金額の内数

天然ガスをはじめとする石炭、石油など燃料の価格高騰により、販売単価が上昇し、2022年度は前年度比30.9%増が見込まれる。次年度に向けてプランの改定や値上げ検討が行われていることから、2023年度の市場は20兆円近くまで拡大が予測される。中長期的にも、販売単価の上昇は続くとみられ、2035年度の市場は20兆8,530億円が予測される。

なお、小売全面自由化の開始以降、新電力のシェアは拡大しており、2022年度は23.2%が見込まれる。しかし、前年度からの市場価格の高止まりや冬季の需給ひっ迫を想定し、高圧以上の営業活動を控えた新電力もみられた。また、2022年2月のウクライナ侵攻に端を発した燃料価格の高騰と電力価格の高騰により、高圧以上の新規受付停止といった供給先の絞り込み、家庭向けを中心とした低圧でのキャンペーンの縮小・停止などもみられた。さらには、比較的資本余力がある大手・中堅新電力の倒産や電力販売事業からの撤退・事業休止などもあったことから、2023年度は既存顧客を中心とした供給が続くため、新電力のシェア減少が予想される。

販売電力量は、各種電気機器の一層の省エネ・高効率化やエネルギーマネジメントの高度化、建築物全般における断熱性向上、太陽光発電や蓄電池を中心とする自家発電・自家消費の普及などが進むことで、長期的には低圧分野を中心に減少が予想される。

●電力の販売単価の推移

2021年度、2022年度と2年連続で、特別高圧、高圧、低圧のすべてで販売単価が上がっており、特に伸びが大きいのは特別高圧である。

2023年度も引き続き、販売単価の上昇が予想される。また、長期的にも世界的な燃料需要の高まり、燃料価格の上昇と国内の再エネ拡大に伴う電力系統の増強、老朽化した系統の修繕を目的とした託送料金の値上げなどにより、2035年度には25.7円/kWhが予測される。

◆調査対象

小売市場

・電力小売

・ガス小売

グリーンエネルギー市場

・グリーン電力

・カーボンニュートラルLNG

主要企業戦略

・41社

海外自由化動向

・ドイツ

・フランス

・英国

・イタリア

・米国


2023/02/20
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