PRESSRELEASE プレスリリース

第23072号

加飾・装飾フィルムの世界市場を調査
― 2028年市場予測(2022年比) ―
◆ペイントプロテクションフィルム 963百万ドル(2.1倍)
…アフターマーケットでの需要増加に加え、新車購入時の使用が増え市場拡大
◆自動車用インサートフィルム[電装・パネル周り] 166百万ドル(40.7%増)
…センタークラスターでシームレスデザインの採用が増加し拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、自動車におけるEV化や軽量化、コックピットの電装化や自動運転用センサーへの対応により高機能化が進む加飾・装飾フィルムの世界市場を調査した。その結果を「2023 加飾・装飾材料市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、加飾・装飾フィルム13品目、関連材料として基材・加工フィルムなど9品目の市場を分析し、加えて、先端加飾技術としてインクジェット塗装技術、インモールドコーティング(型内塗装)技術、光演出フィルム/パネル技術の最新動向を捉えた。

◆注目市場

●ペイントプロテクションフィルム(PPF)

2023年見込

2022年比

2028年予測

2022年比

504万ドル

109.8%

963万ドル

2.1倍

自動車のボディに貼ることで塗装面などを汚れや傷から保護するフィルムを対象とする。

PPFはアフターマーケット品が中心であったが、近年は大手自動車メーカーが新車販売時のオプションとするケースや、自動車メーカーが製造ラインにPPFの施工を組み込むケースも徐々に増えており、需要が増加している。

北米、中国、欧州が主要な需要地である。現状は北米が約4割を占めるが、中国の伸びが大きい。今後もそれらの地域が市場をけん引すると予想される。

●自動車用インサートフィルム[電装・パネル周り]

2023年見込

2022年比

2028年予測

2022年比

125万ドル

105.9%

166万ドル

140.7%

インサートフィルムは、文字やデザインを印刷した加飾フィルムを射出成型金型に挿入して成形し、立体的な形状などに加工したものである。

自動車用のインサートフィルムのうち、内装のディスプレイパネル周り(センターインフォメーションディスプレイ、ヒーコンなど)向けを対象とする。

自動車のセンタークラスター部では、車載ディスプレイのパネルサイズ大型化とそれに伴う曲面形状のデザインが増えている。そのため、ディスプレイ部と周辺の筐体を一体化したシームレスデザインや湾曲形状、また、サイズ大型化に適したインサートフィルムのニーズが高まっている。

2022年は自動車生産が停滞した影響から、市場は伸び悩んだ。しかし、カバーシートからの置き換え需要や、ヒーコン周りのスイッチやボタン向けの需要は堅調だった。今後、ディスプレイ部だけではなく、周辺部分でも採用が増えるため、市場は大幅に拡大すると予想される。

●自動車用インサートフィルム[内外装用]

2023年見込

2022年比

2028年予測

2022年比

304万ドル

104.8%

380万ドル

131.0%

自動車用のインサートフィルムのうち、一般の内装部品用や外装用を対象とする。

内装にはインパネ・オーナメント、ドアトリム・ガーニッシュ、ドアハンドル、コンソールなどの部品で、光透過、金属調、グラデーションカラーに対応できるため、採用されている。車内空間において必要時にボタンや計器類をバックライトから映し出すようなデザインの採用が進んでいる。それらにはインサートフィルムが使用される方向にあり、将来的には大型ディスプレイにも使用される方向にあるため、需要は増加するとみられる。

外装ではエンブレム、ドアハンドル、ホイールキャップ、ライト周りなどに使われている。今後はEVのフロントグリルへの採用が進むとみられ、光透過や文字を投影してコミュニケーション用パネルとする構想もあり、採用が増えると予想される。

●IMR転写箔

2023年見込

2022年比

2028年予測

2022年比

252万ドル

105.0%

322万ドル

134.2%

IMR(In-Mold Releases)転写箔は、射出成形の金型内で同時成形加飾を行う際のフィルムである。ノートPCや携帯電話、自動車部品、家電製品、化粧品容器などに使用されるものを対象とする。

自動車用は2023年以降自動車生産台数の回復により採用が増加するほか、高価格な光透過型デザインの採用が増えており、今後は市場拡大をけん引すると予想される。

ノートPC用は、天板など筐体で採用されている。テレワークが普及した2021年はPC需要の高まりとともに大きく伸びたが、以降は需要が落ち着いている。2023年以降ノートPCの生産台数に比例して横ばいが続くが、2025年以降に「Windows 10」のサポート終了によるノートPCの買い替えで需要が一時的に増えるとみられる。

家電製品用は、様々な家電製品で採用されているため堅調な需要がみられるほか、化粧品容器や日用品などでも安定した需要がある。

◆調査結果の概要

●加飾・装飾フィルムの世界市場

 

2023年見込

2022年比

2028年予測

2022年比

加飾フィルム

816万ドル

104.7%

1,030万ドル

132.2%

装飾フィルム

4,115万ドル

111.7%

4,505万ドル

122.3%

加飾フィルムは、IMR転写箔、自動車用インサートフィルム(内外装用、電装・パネル周り)の構成比が高い。自動車のEV化、軽量化、コックピットの電装化、自動運転の進展などに伴い、製品の高機能化が進んでおり、特に内装では、光学技術を用いたデザインに対応した製品、電波透過性または遮断性などの機能を付与した製品などの需要が増加している。長期的には製品の価格上昇が続き、市場は拡大すると予想される。

装飾フィルムは、ウインドウフィルム(自動車用)が大半を占めており、今後は自動車生産台数の増加によりウインドウフィルム(自動車用)が市場をけん引するほか、ペイントプロテクションフィルムの好調が予想される。また、都心の再開発や新興国でのインフラ整備の進展などにより、ウインドウフィルム(建築用)、化粧フィルムの需要も増加するとみられ、市場は拡大すると予想される。

◆調査対象

加飾・装飾フィルム市場編

<加飾・装飾フィルム>

 

 

・IMR転写箔

・自動車用カバーシート

・ウインドウフィルム

・自動車用インサートフィルム

(加飾済み・平板)

(自動車用)

(内外装用)

・自動車外装用手貼りフィルム

・ウインドウフィルム

・自動車用インサートフィルム

・OMDフィルム

(建築用)

(電装・パネル周り)

・ラッピングフィルム

・化粧フィルム

・インサートフィルム

ペイントプロテクションフィルム

 

(電気電子・その他用)

・金属調フィルム

 

<基材・加工フィルム>

 

 

・PETフィルム

・ABSフィルム

・PC/PMMAフィルム

(加飾フィルム用)

・PMMAフィルム

・PC/PMMA加工フィルム

・PETフィルム

・TPUフィルム

・PC加工フィルム

(ウインドウフィルム用)

・POフィルム

 

塗料・インキ・原着市場編

<塗装>

 

 

・自動車用スプレー塗料

・自動車用スプレー塗料

・インクジェット塗料

(鋼板用)

(樹脂用)

(自動車外装用)

<インキ>

 

 

・加飾フィルム用スクリーンインキ

 

<原着プラスチック>

 

 

・自動車用原着樹脂

 

 


2023/06/26
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。