PRESSRELEASE プレスリリース
ユーザー・施設側もロボットを導入しやすい環境を構築。
ロボットの社会実装に向けた取り組みは一層活発化
★配膳・下げ膳ロボットは同2.3倍の1,280億円
非接触ニーズは低下しているものの、人手不足や人件費高騰への対策として、引き続き成長
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、費用対効果の高い利用シーンが明らかになりつつあり、高・多機能化により対応業務、導入産業領域も広がっているサービスロボットの世界市場を調査した。その結果を「2024年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」にまとめた。
この調査では、メディカル分野6品目、サービス分野10品目、現場作業分野9品目のサービスロボットと、注目サービスロボット関連ソリューション1品目の市場分析に加え、新たに各種サービスロボット×有望アプリケーション別(11業種)の市場分析、サービスロボットの多機能化を実現する周辺機器・設備やシステムとの連携動向をまとめた。
◆調査結果の概要
■サービスロボットの世界市場
サービスロボットの世界市場は、2023年に2兆円を突破した。世界共通の課題となっている労働者不足、それに伴う人件費の高騰からサービスロボットを活用した自動化・省人化ニーズは増加しており、市場拡大が続いている。市場環境の変化としては、ロボットの導入が進んだことにより費用対効果が明確な利用シーンが明らかになりつつある。また、ロボットの高機能化・多機能化により対応業務の幅が広がっている。さらに、これまで縁遠いイメージがあった製造現場や物流倉庫などのFA領域へも導入が進んでいる。ユーザー・施設側もロボットを導入しやすい環境の構築を進めており、ロボットの社会実装に向けた取り組みが一層活発化している。
メディカル分野の市場は、単価の高い手術支援ロボットが9割強を占める。保険適用となる手術や参入企業の増加に伴い伸びている。熟練医師不足の解消、医師の偏在対策、医療レベルの標準化を背景に引き続き伸長するとみられる。多くの介護向けロボットは、超高齢化社会となった日本がけん引している。導入に抵抗を感じる介護従事者は一定数みられるものの、従事者不足や負担軽減を背景に需要が増加している。今後は、高齢化が進む中国や韓国などのアジアを中心に市場拡大が期待される。特に中国は、高齢者人口が日本より多く、潜在的なポテンシャルが高い。パワーアシスト・増幅スーツにおいては、医療や介護の現場だけでなく、様々な産業領域で導入が進んでいる。直近では安価なアシストスーツが発売されたため、課題であった製品認知度は今後徐々に向上していくとみられる。また、労働環境の改善や従事者の負担軽減ニーズが欧州や北米、アジアで高まっており、海外市場の拡大が期待される。
サービス分野の市場は、新型コロナウイルス感染症の流行による非接触ニーズは落ち着いてきたが、離職者が顕著であり、人手不足が深刻化していることから、拡大している。2023年は新型コロナが5類感染症へ移行後、外食産業で調理ロボットや配膳・下げ膳ロボット、米飯盛り付けロボット、寿司ロボットなどの導入が急激に増加した。特に、人件費が高い先進国で導入が先行しており、今後も市場拡大が予想される。
現場作業分野の市場は、導入が進んでいるドローン・無人ヘリやAGVが8割強を占めている。建設業、土木業、物流業、製造業、農業などでは高齢化や人手不足、属人化などへの対策として需要が高まっており、市場が拡大している。特に、中国や欧米などロボットを導入しやすい環境が整っている地域を中心に、今後も高い成長率を維持すると予想される。
◆注目市場
1.配膳・下げ膳ロボット
飲食店、給食施設、商業施設、宿泊施設などの施設内で配膳台や収納庫に飲食物を載せて配膳、下げ膳することを主目的としたロボットを対象とする。
市場は2020年以降、新型コロナ流行の影響による非接触ニーズの高まりを背景に、世界各国において導入が進展し、立ち上がった。近年では非接触ニーズは低下しているものの、飲食店などサービス業の人手不足を背景に自動化ニーズが高まっている。
2023年は小売、工場など飲食店以外での導入が進み、市場は堅調に推移した。日本市場においては、前年の大型案件の反動を受けた縮小が予想されていたが、中国メーカーを中心に国内代理店への供給が急ピッチに進み、緩やかな拡大となった。2024年以降は、人手不足や人件費高騰への対策として、引き続き二桁成長すると予想される。
2.デリバリーロボット(施設内)
レーザーやセンサー、LiDARなどを活用し、物品を載せて目的地まで自走するロボットを対象とする。なお、飲食店や宿泊施設などで食事を運ぶことを主目的としたロボットは対象外。
施設内用は新型コロナ流行による非接触ニーズの高まりを背景に急拡大した。中国メーカーが宿泊施設を中心に導入を広げ、市場をけん引している。施設内用はエレベーター連携が不可欠となっており、2023年は世界的なエレベーターメーカーと提携するメーカーもみられた。 日本ではエレベーター連携コストが高いことが導入障壁となっており、市場規模はまだ小さいが、2023年は病院への大型導入がみられた。連携コストの低下も徐々に進んでいるため、今後の市場拡大が期待される。
3.業務用清掃ロボット
床を清掃するロボットを対象とする。ビル向けなどの窓・壁清掃ロボット、工場などのタンク・煙突清掃ロボットなどは対象外。
市場は清掃業の人手不足や賃上げに対するコスト圧力、持続可能な清掃サービスの提供などを背景に急拡大している。近年は特に人手不足に対する危機感から需要が増加しており、2023年の市場は二桁増となった。以降も、人手不足や人件費高騰を背景とした需要は高水準を維持するとみられ、市場拡大が予想される。 日本では500平米から1,000平米程度の施設に対応した小・中型製品がトレンドになりつつある。導入は2019年以降増加しており、ライフサイクルは5年程度であるため2024年以降は更新需要も想定される。
◆調査対象
1.サービスロボット(25品目)メディカル分野(6品目)
・パワーアシスト・増幅スーツ
・手術支援ロボット
・移乗ロボット
・排泄支援ロボット
・入浴支援ロボット
・セラピーロボット
サービス分野(10品目)
・受付案内ロボット
・テレプレゼンスロボット
・業務用清掃ロボット
・業務用セキュリティロボット
・配膳・下げ膳ロボット
・デリバリーロボット(施設内)
・棚管理ロボット
・調理ロボット
・寿司ロボット
・米飯盛り付けロボット
現場作業分野(9品目)
・自動建設ロボット
・無人建設機械
・インフラ点検ロボット
・ドローン・無人ヘリ
・水中ドローン
・AGV
・デリバリーロボット(屋外)
・無人農業機械
・自動収穫ロボットト
2.注目サービスロボット関連ソリューション(1品目)
・ロボットプラットフォーム