PRESSRELEASE プレスリリース

第24054号

ペットフード・用品の市場を調査
■国内ペットフード市場  2023年に前年比11.9%増の4,754億円
・・・各種コスト高騰を背景とした大幅な値上げがプラスに作用・・・

2026年には2023年比7.7%増の5,122億円を予測
・・・主にキャットフード プレミアムタイプ、猫用スナック、サプリメントが伸長・・・

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新規飼育頭数の減少、ペット寿命の延伸、各種コスト高騰を背景とした価格改定、ペット家族化の進展、新たな給餌や各種ケアの習慣化など、取り巻く環境の変化が著しいペット関連市場を調査した。その結果を「2024年 ペット関連市場マーケティング総覧」にまとめた。

この調査では、ペットフードやペットケア用品、ペット生活用品、ペット保険など34品目の市場トレンドを把握するとともに、生体販売やペット関連サービスなど、周辺ビジネスの市場ポテンシャルも明らかにした。

◆調査結果の概要

■ペットフード・用品の国内市場

ペットフード・用品の国内市場

2023年のペットフード市場は、原材料費や物流費の高騰が続いたことなどによる各社の大幅な値上げがプラスに作用し、前年比11.9%増となった。特に、市場規模の大きいドッグフードやキャットフード、スナックは単価の上昇率が高く、ともに二桁伸長して市場をけん引した。また、動物病院を主要チャネルとする療法食も値上げに加え、テレワークやペット保険加入者の増加に伴い来院機会が増えたことにより大きく伸長し、市場拡大に貢献している。

ペットケア用品市場は、室内飼育での必需品で消耗品でもある猫砂やトイレ用シーツが2023年も実施された価格改定により伸長したことで拡大した。しかし、各種物価高で高まるペットオーナーの節約志向から安価なPBへの需要流出もみられ、ブランド力と製品力の向上による顧客の囲い込みが課題となっている。

ペット生活用品市場は、コロナ禍に高価な高付加価値製品が多数発売されたことで拡大していたが、2023年は節約志向の高まりによる低価格品への需要シフトが一部みられ、また、アクア関連用品が引き続き縮小したため横ばいとなった。

今後ペットフード市場は、主にキャットフード プレミアムタイプや猫用スナック、サプリメントが伸長しながら拡大し、ペットケア用品市場とペット生活用品市場は微増推移が予想される。

◆ペット周辺ビジネス市場は1兆5,000億円超◆

ペットに関わるビジネスには、ペットフード・用品販売以外に、生体や動物用医薬品の販売、ペット関連サービスなどがあり、合算するとその市場規模は2023年で1兆5,000億円超であった。

生体市場は価格の低下、数量減少により縮小したが、動物用医薬品やペット関連サービスはほぼ横ばいであった。ペット関連サービスは、ペット保険をはじめ、ペットサロンやペットホテル、動物病院、ペット葬儀の5サービスを対象とした。市場が拡大したのは、ペット保険とペットホテル、ペット葬儀の3サービスで、いずれも前年比10%未満の成長であった。

◆注目市場

1.ドッグフード、キャットフード

ドッグフード、キャットフード市場規模

ドッグフードは、飼育頭数の減少、小型犬やシニア犬の増加、各種コスト増による内容量の減少などから数量ベースでは縮小したが、価格改定による単価アップがプラスとなり、2023年の市場は二桁成長となった。

犬の飼育頭数減少、小型犬やシニア犬の増加などから、数量ベースでの減少は避けられない状況が続いており、また、市場を押し上げた価格改定も一段落した感があることから、今後市場は微増が予想される。なお、ベンチャー企業に加え、ペットフード大手なども参入する主食タイプの冷凍ペットフード(調査対象外)が存在感を増していることから、今後は競合が予想される。

キャットフードも価格改定による単価アップが続いたことにより、2023年の市場は二桁成長となった。為替の影響などもあって大幅な値上げを迫られた輸入ブランドは数量ベースで横ばいから減少し、国産ブランドは伸びた。また、トライアルアイテムの強化などによるブランドスイッチも見られた。

参入各社は機能性タイプやグルメタイプ、無添加などの安全性訴求タイプへの注力を続けており、製品ラインアップの拡充と高付加価値化を意識した営業戦略を進めている。また、小売店側も成長著しい猫関連製品へ注力していることから、市場は引き続き拡大すると予想される。なお、2022年、2023年と猫の新規飼育頭数は減少したが、機能性フードの給餌や動物病院受診の増加によって平均寿命が伸びていることから、数量ベースでは中期的にほぼ横ばいと予想される。

プレミアムタイプについては、犬用は飼育頭数が減少しているものの、ペットの家族化に伴うプレミアムタイプへのニーズと大幅な値上げがプラスに作用し、2023年は伸びた。また、大幅な値上げを迫られた輸入ブランドから国産ブランドへのスイッチが見られた。猫用も引き続きプレミアムタイプへのシフトが進んでおり、2023年は前年比二桁伸長となった。

2.スナック

スナック市場規模

2023年の市場は、前年比13.3%増と、2年連続して二桁成長となった。5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで巣ごもり需要の消失が危惧されたが、スナック給餌の習慣化から底堅い需要がみられた。種類別にみると、キャットスナックが引き続き好調を維持した。ジャーキー(犬用)やガム(犬用)、ビスケット(犬用)も参入各社が機能性や給餌の有用性をPRしたことが奏功し伸長した。また、チーズや乾燥果実、野菜、デザートなどのその他(犬用)は、高まる犬の嗜好性を背景にトッピング需要を獲得し、高伸長した。

スナック給餌の習慣化により、市場は好調を維持したが、犬の飼育頭数は減少しており、猫の新規飼育頭数も2年連続で減少していることから、短期的には総合栄養食タイプの普及や機能性が付与されたスナックなどの需要開拓が進められ市場が拡大すると予想される。

3.ペット保険

ペット保険市場規模

2023年の市場は、依然としてオンライン経由の新規契約が活況であり拡大した。コロナ禍にペット保険の認知度が上昇したことなどが追い風になっている。新規参入として、エイチ・アイ・エスの子会社であるエイチ・エス損害保険が「エイチ・エス損保のペット保険」を、販売代理店としてアマゾンジャパンがリトルファミリー少額短期保険の「わんにゃん安心保険」をAmazon.co.jp経由で販売を開始した。また、オリックス生命保険もペットメディカルサポートの保険商品の販売を開始するなど、大手による販売代理店としての参入がみられた。一方で、ペット保険事業の本格展開を中止する企業や、新規契約を停止し撤退に踏み切る企業もみられた。

今後も低価格保険の増加や治療費の高額化などによりペット保険の普及が進み、市場は拡大するものの、動物愛護法改正を背景としたペットショップの減少によるメイン販売チャネルの縮小や、ペットの高齢化による損害率の悪化など厳しい市場環境が続いていることから、参入企業の淘汰が進む可能性がある。

◆調査対象

ペットフード
・ドッグフード
・キャットフード
・プレミアムフード
・スナック
・観賞魚用フード
・小鳥観賞鳥用フード
・小動物用フード
・サプリメント
・ミルク
・療法食

ペットケア用品
・猫砂
・トイレ/トイレ用シーツ
・オムツ
・ペット用トイレタリー
・しつけ剤
・消臭剤/脱臭剤
・防虫剤/殺虫剤
・シャンプー類
・イヤークリーナー
・デンタルケア用品

ペット生活用品
・首輪/胴輪/引紐
・ベッド/マット/ヒーター
・ケージ/サークル/ゲート
・キャリー
・ブラシ/クシ
・食器/給水器
・玩具
・衣類
・水槽/周辺器具/水質調整剤
・家庭用ペットバリカン


ペット関連注目市場
・ペット保険
・猫用爪とぎ
・ペット用脱臭機
・糞処理袋


2024/6/7
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