PRESSRELEASE プレスリリース

第25094号

電動車シフトで拡大する
注目の車載製品(ECUや部品・デバイス)市場を調査
― 2040年予測(2024年比) ―
◆BMSの世界市場  4,539億円(93.0%増)
xEVの生産台数増加に伴い市場拡大。
充電管理や状態管理、また、バッテリーの寿命最大化や性能最適化の観点からも必ず搭載

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 代表取締役 稲葉 視朗 03-3241-3490)は、電動車シフトに対して小型化や省電力化、高出力化をテーマに開発・設計が進められ、電動車の生産台数増加により拡大する注目の車載製品の市場を調査した。その結果を「xEV・水素自動車注目製品総調査 2025」にまとめた。

この調査では、国・地域ごとの市場環境や技術トレンド、参入企業の動向などを把握することにより、xEV(EV、HV、PHV)やFCVといった電動車の生産台数をはじめ、自動車に搭載されるECU7品目、主要部品5品目、デバイス11品目、構成部品/材料8品目の市場の現状と将来を予想した。なお、xEV(EV、HV、PHV)やFCVは、乗用車、バス・トラックとも対象とする。

◆注目市場

1.BMS

BMSの世界市場規模

BMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)は、EVやHV、PHVといったxEVに搭載されるLiBを安全に制御するためのシステムであり、48V以上の高電圧車には必ず搭載される。高度な自動運転システム搭載車両では、自動運転システムとの高度な協調制御とセキュリティが、また、HPC(High Performance Computer)や数多くのセンサーなどが搭載されるため省電力の観点から高度なバッテリーマネジメントが開発テーマとなっている。さらに、E/Eアーキテクチャーの中央集権化に伴って、バッテリーマネジメント機能のほかに車両のサーマルマネジメント機能を追加したドメインコントローラーとしての開発・検討が進められている。高電圧化への対応として高精度なバッテリー管理も要求されている。

xEVに搭載されるLiBは、高性能でエネルギー密度が高い特徴を持つが、熱暴走や発火、爆発リスクがあり、充電管理や状態管理など、BMSによる管理が必要となる。また、バッテリー寿命の最大化やバッテリー性能の最適化の観点からも必ず搭載される。市場は、2024年に2,352億円、2040年には4,539億円が予測される。

地域別には、HVの生産台数が多い日本ではローエンド製品がボリュームゾーンであり、大型EVの生産台数が多い北米や中国ではハイエンド製品のニーズが高い傾向にある。

2.インバーター

インバーターの世界市場規模

インバーターは、メインバッテリーから供給される直流電流を周波数が異なる多相交流電流に変換する製品である。ここでは駆動用モーター用と駆動アシストモーター用のインバーターを対象とした。モーターで駆動する車両であるxEVやFCVには必ず搭載されるため、自動車の電動化に比例して市場は拡大している。

2024年、2025年の市場は、EV需要が鈍化したものの、HVやPHVなどの需要が増えていることから拡大した。長期的にもxEV需要は増加し、市場は拡大が予想される。

インバーターは、特に、電動車政策を積極的に進めている中国や欧州を中心に需要が急速に増えている。日本や米国は、HVの普及が先行しているが、今後は排ガス規制を背景にPHVやEVも増加が予想される。インドやブラジル、ASEANでは、EVやPHVの普及はインフラ整備の進捗状況によるが、インフラの整備状況に制約を受けないHVは普及が進むとみられるため、需要は堅調に増加すると予想される。

◆調査結果の概要

■注目車載製品の世界市場

注目車載製品の世界市場

脱炭素化の推進、自動車電動化の進展により、自動車生産台数に占めるxEVの割合が高まることから、注目車載製品の世界市場は、xEV関連を中心に拡大すると予想される。

ECUは、北米やEUの補助金削減の影響により、EV向けを中心に2024年、2025年と需要が鈍化しているが、長期的には中国をはじめxEVの生産台数が増加するとみられることから、市場は拡大が予想される。全車種に搭載されるインバーターは、xEVの生産台数増加に伴い伸長する。BMSなど、安全性確保の観点から搭載が義務付けられている製品は、PHVやEVの生産台数増加とともに伸長していく。非接触充電用受電ユニットは、実証実験による検証や規格化、法整備が2030年ごろに完了するとみられ、それ以降、自動運転車や、高級EV乗用車、EVトラック・バスなどの普及とともに搭載が進む。水素充填ECUは、2030年以降にトラック・バスを中心としたFCVの普及が進むにつれ増加する。

主要部品は、xEVに必ず搭載される駆動用モーター、二次電池などであることから、市場は高成長が予想される。駆動用モーターや高圧ハーネスは、xEVの生産台数に比例して伸長していく。二次電池は、EVのアーリーアダプター需要が一巡したこと、欧州一部地域でのEV補助金打ち切りなどにより一時的に伸びが鈍化するものの、長期的にはEVシフトにより伸長していく。FCスタックや水素タンクは、FCVの生産台数が増加するとみられる欧州や中国を中心に、2028年以降大幅に伸長する。

デバイスは、システムの高機能化、EVシフトによるxEV系システムの増加などにより、市場は拡大が予想される。FCV系システムは、1台当たりの搭載員数が多いトラック・バス向けを中心に増加する。また、安全性確保のためセンサーの高性能化による単価上昇が市場拡大に寄与する。

構成部品/材料は、xEVの生産台数増加や駆動用モーターの2モーター化などを要因に、マグネットワイヤなどの、駆動用モーターやジェネレーター向け部品の伸びが市場拡大に寄与している。xEVのバッテリーやモーター周辺部を支える部品/材料は、xEVの生産台数増加とともに伸長していく。駆動用モーター磁石は、PHVにも搭載されており、PHV販売強化へシフトしているメーカーも多いことから、着実に伸長している。

◆調査対象

■注目車載製品

ECU
・インバーター
・非接触充電用受電ユニット
・DC-DCコンバーター
・OBC(On Board Charger:車載充電器)
・BMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)
・HVAC(Heating, Ventilation and Air Conditioning)
・水素充填ECU

主要部品
・駆動用モーター
・高圧ハーネス
・二次電池
・FCスタック
・水素タンク

デバイス
・パワーモジュール
・Si/SiC/GaNディスクリート半導体
・フィルムコンデンサー
・レゾルバ/回転センサー
・電流センサー
・システムメインリレー(SMR)
・電動コンプレッサー
・電動ウォーターポンプ/電動オイルポンプ
・ヒートポンプ/PTCヒーター
・水素再循環ポンプ
・水素タンク用センサー

構成部品/材料
・モーターコア
・マグネットワイヤ
・電磁鋼板
・駆動用モーター磁石
・高圧コネクター
・充電インレット
・バッテリー冷却プレート
・バッテリーケース

■電動車
・HV
・EV
・PHV
・FCV
※乗用車、バス・トラックとも対象


2025/10/2
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