PRESSRELEASE プレスリリース

第20008号

リチウムイオン二次電池の世界市場を予測
2020年に5兆円を大きく超え、2023年には8兆8,239億円

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、日・中・韓電池メーカーによる中国拠点の新設・増設や、中国・欧州自動車メーカーに対する採用の働きかけが活発化しているリチウムイオン二次電池の世界市場を調査した。その結果を「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」にまとめた。

この調査では、リチウムイオン二次電池をはじめとする二次電池と一次電池の市場を調査・分析した。

◆注目市場

■リチウムイオン二次電池(LIB)の世界市場

 

2019年見込

2018年比

2023年予測

2018年比

小型民生用

1兆7,087億円

106.2%

1兆8,372億円

114.1%

xEV用

2兆7,739億円

132.1%

6兆2,641億円

3.0倍

ESS/UPS/BTS用

3,620億円

126.1%

7,226億円

2.5倍

合 計

4兆8,446億円

121.2%

8兆8,239億円

2.2倍

LIBは二次電池の中で最もエネルギー密度が高く、小型化や高出力化に対応できる電池としてニッケル水素電池をはじめ様々な二次電池から需要がシフトしている。2019年の市場は2018年比21.2%増の4兆8,446億円が見込まれ、2020年には5兆円を大きく超えるとみられる。また、市場の拡大をけん引するxEV用は2022年に5兆円を突破し、2023年にはLIB全体が8兆8,239億円、このうちxEV用は6兆2,641億円と予測される。

【小型民生用(シリンダ型/角型/ラミネート型)】

ノートブックPC、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などコンシューマ・エレクトロニクス(CE)製品向け、充電式電動工具、ガーデニングツール、E-Bikeなどのモーター駆動向けが中心である。

CE製品向けは、ノートブックPC、スマートフォン、タブレット端末など市場規模の大きい応用製品の需要が飽和している。そのため全体としては低調であるが、ウェアラブル端末やBluetoothヘッドセットなどでの需要は伸びるとみられる。

モーター駆動向けは、充電式電動工具がニカド電池からLIBへ、ガーデニングツールがエンジンからLIBを使用するモーターへ、E-Bikeが鉛蓄電池からLIBへシフトしており、好調である。充電式電動工具は中国生産比率の上昇などから中小容量では中国電池メーカーのLIBが採用されつつある。これにより日韓電池メーカーは影響を受けており、新たな需要先を探索している。E-Bikeは中国で新しい業界標準が発効され、電池を含む車両重量が55kg以下と定められたことから、鉛蓄電池より軽いLIBの採用増加が期待される。中国でxEVの市況が悪化していることや、シリンダ型のxEVの採用が難航していることもあり、中国電池メーカーは充電式電動工具の需要開拓やE-Bikeへシリンダ型LIBの提案を進めている。

【xEV用】

EV、PHV、HVの駆動用電池として用いられるLIBを対象とした。EVは高容量化、HVは高出力化を重視したLIBが採用されている。

xEVは環境規制の強化とインセンティブ(補助金や税制控除)により普及が進んでおり、これに伴いxEV用LIB市場は拡大が続いている。しかし、需要の中心である中国では2020年末の補助金制度終了前の2019年より補助金額が大幅に減額され、今後の伸びは不透明感がある。なお、中国の補助金制度は、中国電池メーカーに有利になるよう自国産業保護を目的に実施されていたため、この制度の終了を見越して、日韓電池メーカーが中国拠点の新設・増設を進め、中国自動車メーカーに対し採用の働きかけを強めている。

長期的に非常に厳しいCO2排出規制が課される欧州では、企業ごとに販売車両のCO2排出量平均値を基準値以下にすることが求められており、達成できない場合は罰則がある。そのためEVやPHVの販売台数を大幅に増やす必要があり、自動車メーカーによるEVやPHVの販売推進とともにxEV用LIBの拡大が予想される。

【ESS(電力貯蔵システム)/UPS(無停電電源装置)/BTS(携帯電話基地局)用】

ESS用は世界的な再生可能エネルギー発電システムの導入増加に連動し拡大が続いている。韓国で2030年までに再生可能エネルギー由来電力の割合を20%に増やす計画が発表され、2018年は太陽光発電・風力発電システム向けESSの導入が加速したことから、世界市場は2017年比2.3倍と急拡大した。2019年は韓国で急速な需要増加に起因するエンジニアリングやシステム制御の不具合により導入が一時的に停滞したものの、既に導入は再開しており、欧州や北米での需要の増加もあり引き続き拡大が予想される。また、2020年には米国カリフォルニア州で新築住宅での太陽光発電システムの設置が義務化されることから、ESSの併設も増加するとみられる。

UPS/BTS用は鉛蓄電池が主流であるが、LIBへのシフトもみられる。特にBTS用は5G通信のサービス開始によるBTSの需要増加に伴い拡大が期待される。

◆調査結果の概要

 

2019年見込

2018年比

2023年予測

2018年比

二次電池

9兆4,435億円

110.9%

13兆5,250億円

158.8%

 

リチウムイオン二次電池

4兆8,446億円

121.2%

8兆8,239億円

2.2倍

一次電池

1兆 777億円

103.5%

1兆1,947億円

114.7%

合 計

10兆5,211億円

110.1%

14兆7,197億円

154.0%

※リチウムイオン二次電池(LIB)は二次電池の内数 

二次電池市場はLIBを中心に拡大している。市場に占めるLIBの比率は年々上昇しており、2019年には50%を超え、2023年には65%を占めるとみられる。

このほか、鉛蓄電池は自動車と二輪車の始動用バッテリーとしてリプレースも含め堅調な需要があり、ニッケル水素電池(大型)はエネルギー密度の観点からEVやPHVでの採用は期待できないが、HVでは需要が好調である。また、市場は限定的であるが、スマートフォンにおいてイヤホンジャックを廃止した機種が増えたことでBluetoothヘッドセットの需要が伸びており、搭載されるリチウム二次電池(コイン)が拡大している。

応用製品の需要減少やほかの電池へのシフトにより縮小する電池もあるが、二次電池全体としては大幅な拡大が予想される。

一次電池市場は、アルカリマンガン乾電池/マンガン乾電池が大半を占めている。マンガン乾電池からアルカリマンガン乾電池へのシフトが続いており、今後もアルカリマンガン乾電池が市場をけん引するとみられる。

また、アルカリマンガン乾電池と比較すると市場は限られるが、住宅用火災報知器、タイヤ空気圧センサ、車両緊急通報システムなどの法制化や、電気・ガス・水道などのメーターの機械式からデジタル式への置き換えにより、二酸化マンガンリチウム電池や塩化チオニルリチウム電池などリチウム一次電池も拡大していくとみられる。

◆調査対象

二次電池

・鉛蓄電池

・リチウム二次電池(コイン)

・ニカド電池(小型)

・レドックスフロー電池、

・ニッケル水素電池(小型)

ナトリウム硫黄電池

・ニッケル水素電池(大型)

 

リチウムイオン二次電池

・小型民生用(シリンダ型/角型/ラミネート型)

・xEV用

・ESS/UPS/BTS用

一次電池

・アルカリマンガン乾電池/マンガン乾電池

・アルカリボタン電池

・二酸化マンガンリチウム電池

・酸化銀電池

(シリンダ)

・二酸化マンガンリチウム電池

・塩化チオニルリチウム電池

(コイン)

・空気亜鉛電池


2020/01/31
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