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小型モータ8品目・関連部材の世界市場を調査

−2025年世界市場予測(2017年比)−
DCブラシレス(パワー系)モータは12.0億個(40.3%増)、8,400億円(37.7%増)
小型化を目指した開発が進展。家電や自動車電装品向けを中心に堅調な拡大が期待


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、自動車電装品向けや家電・住設向け、ドローンをはじめとした新規用途向けなどの伸長が期待される小型モータの世界市場を調査した。その結果を「精密小型モータ市場実態総調査 2018」にまとめた。

この調査では、概ね出力容量が0.7〜1kW以下の小型モータを、DCブラシ付きモータ、ステッピングモータ、ファンモータ、ブラシレスモータ、インダクションモータ、シンクロナスモータ、ユニバーサルモータ、振動ユニットといったモータ種別で市場を集計しつつ、用途別・部位別に2017年実績と2020年予測の採用状況を把握することで採用が増加するものと減少するものを明示した。また、モータ制御部材/部品・材料の市場の現状と将来を予想し、さらに、モータ市場で高い存在感を発揮しつつある有望な中国系メーカーの動向も把握した。

◆注目市場

1.DCブラシ付き/ブラシレス(パワー系)モータの世界市場(生産ベース)



DCブラシ付きモータは、整流子とブラシにより回転に連動して機械的に電流の流れる方向を切り替えることでトルクを生み出す。比較的安価であり技術も完成されていることから、幅広い用途に使用されている。鉄心(コア)にコイルを巻くコアドタイプが市場の96%、コア(鉄心)がないコアレスタイプが4%を占める(2017年)。

DCブラシ付モータは、自動車電装品向けを中心に、情報通信機器向けや家電向けなど幅広い用途で使用されている。近年、自動車電装分野向けは品質や信頼性から採用が目立っており、自動車の電装化を推し進める大きな力になっている。自動車市場や新興国向け家電の市場拡大など最終製品の需要増加を受けて、モータの搭載台数も増加しており、市場は拡大している。今後も需要増加が期待されることから、市場の拡大は続くと予想される。市場拡大をけん引するのは自動車電装品向けの車体系(ドアロック・ミラーなど)が挙げられるが、パワートレイン系(ポンプ・電子スロットル)やシャシ系(パワーステアリング・パーキングブレーキ)などでの採用も進んでいる。ミラー向けは、カメラへの置き換えによる影響などが懸念され、一部ではブラシレス化が進んでいるが、価格や品質、性能面などに優れ、各種ポンプ向けなど有望な用途も多いことから、今後も堅調な伸長が予想される。

整流子とブラシを持たないDCブラシレスモータは、DCブラシ付きモータと比べて長寿命、軽量、低ノイズ、低騒音、高い速度制御性などを特長とするが、一方では制御回路が高コストであるといった課題がある。ここでは空調や掃除機などの家電や、ポンプやパワーステアリングなどの自動車電装品を中心に、OA機器や住設、医療機器、金銭処理機などの業務機器にも使用されるDCブラシレス(パワー系)モータを対象とする。

DCブラシレスモータはモータの低容量化や小型軽量化に大きく貢献することから今後の市場性が高く、中国系でも多くのメーカーが参入しており、市場拡大ペースが著しい。主要メーカーでは機能・性能を維持しながら、小型化を目指した開発を進めている。今後も市場は家電や自動車電装品向けを中心に堅調な拡大が期待され、2025年の市場は2017年比の40.3%増の12.0億個、同37.7%増の8,400億円が予測される。

2.ファンモータの世界市場(生産ベース)

2018年見込
2017年比
2025年予測
2017年比
市場規模
22.0億個
107.3%
27.7億個
135.0%

ブラシレスモータの中でも排熱用途に使用されるものを対象とする。ファンモータはDCファンとACファンに分けられ、さらにDCファンは風流を制御する軸流ファンと風圧を制御するブロワファンに、ACファンはACファンとECファンに分けられる。

軸流ファンは排熱や冷却を目的に様々な用途で使われるが、主要用途の一つであるデスクトップPCは、シンクライアントなどの普及で高機能の必要性が薄れており、ファンレス化が進みつつある。一方、ブロワファンはノートPC、温水洗浄便座、IHクッキングヒータ、自動車のシートファン向けなどへの展開が挙げられる。ファンレス化が進むとみられていたノートPCは高機能化が進んでおり、現状の排熱や冷却ニーズは維持するとみられる。ACファンは産業機器向けを中心に伸びており、近年注目されているECファンもドイツ系メーカーを主体として欧州市場を中心に伸長している。

市場はボリュームゾーンのデスクトップPCやノートPC向けの減少に伴い2017年まで縮小していたが、2018年以降は幅広い用途で排熱ニーズが高まり、拡大に転じると予想される。中でも高機能化の進展が期待されるサーバや自動車用冷却ファン、住宅用換気(熱交換器)向けなどが増加するとみられる。

3.ネオジム焼結磁石の世界市場(生産ベース)

2018年見込
2017年比
2025年予測
2017年比
全体
64,000トン
106.7%
95,000トン
158.3%
5,100億円
106.3%
7,200億円
150.0%
(小型モータ向け)
6,700トン
95.7%
5,500トン
78.6%
485億円
91.5%
390億円
73.6%

ここではネオジム鉄ボロン(Nd2Fe14B)の焼結磁石をネオジム焼結磁石とする。日系では基本特許を持つ日立金属はじめ、信越化学工業やTDKなどが参入しており、中国系では高い技術力を持つBeijing Zhong Ke San Huan Hi-TechやTianhe Advanced Tech Magnetなどが参入している。市場は日系メーカーが競合する主要メーカーを対象に算出しており、2018年の市場は64,000トン、5,100億円と見込まれる。その内、日系メーカーの生産量は1万トン強を誇る。小型モータ用途に絞ると世界市場全体の1割程度となる6,700トン、485億円と見込まれる。

4.モータ制御用マイコン・ゲートドライバIC(生産ベース)

2018年見込
2017年比
2025年予測
2017年比
情報機器用
20.9億個
97.2%
19.0億個
88.4%
家電用
29.6億個
107.3%
38.0億個
138.0%
自動車用
145.0億個
111.5%
210.0億個
161.5%
産業用
14.4億個
110.8%
20.0億個
153.8%

モータはモータ制御用マイコンやゲートドライバICなどを介して駆動・制御を行う。ここではモータの駆動・制御に使われる半導体製品を対象としており、MCU(Microcomputer Unit)やMPU(Micro-processing Unit)など、モータ制御を行う半導体をモータ制御用マイコン市場として、モータ制御用マイコンからの電気信号を受け取り、これを増幅させてモータを駆動させるパワーを伝達する半導体をゲートドライバIC市場として算出した。

自動車の電装化の進展を受けてモータ制御用マイコンやゲートドライバICの搭載台数の増加が期待されている。また、家電や産業関連機器向けも増加が期待される。一方、情報通信機器向けはプリンタ向けの減少からモータ制御用マイコンやゲートドライバICの市場も縮小するが、サーバや通信基地局向けなどは今後増加が期待される。

◆調査結果の概要

小型モータ8品目の世界市場(生産ベース)

2018年見込
2017年比
2025年予測
2017年比
市場規模
145.1億個
102.5%
167.0億個
118.0%
3兆3,945億円
99.4%
3兆9,373億円
115.3%

自動車関連向けや家電・住設関連向けを中心にDCブラシ付きモータの堅調な伸長に加え、ブラシレスモータの急速な伸長、サーバや自動車電装品向けなどが増加している放熱用途のファンモータや新興国向けの家電などを中心に底堅く需要が増加しているインダクションモータの伸びが期待され、2025年の市場は2017年比の18.0%増の167億220万個、同15.3%増の3兆9,373億円が予測される。

1. 主要用途分野向け市場(生産ベース)

2018年見込
2017年比
2025年予測
2017年比
自動車関連
59.8億個
104.8%
77.3億個
135.6%
家電・住設関連
30.9億個
102.2%
35.0億個
115.9%

自動車関連向けは、自動車の電装化の進展に加え、EVやHV市場の拡大に伴い増加している。電装化で重要な役割を果たすのがDCブラシ付きモータであり、近年はポンプの電動化が進み搭載が増えている。一方でブラシレス化を進めている有力企業もみられる。また、冷却ニーズの高まりによりファンモータも増加するとみられる。

家電・住設関連向けは、新興国需要の増加に合わせて家電市場が拡大しており、増加している。家電市場の拡大は続くとみられることから、今後も増加していくと予想される。洗濯機やエアコン、冷蔵庫をはじめ、掃除機や換気扇などの空調機器向けが期待される。主にDCブラシ付きモータ、ブラシレスモータ、ファンモータ、インダクションモータなどが搭載されるが、今後市場性が高いのはブラシレスモータである。しかし、比較的安価であり技術も完成されているなどからDCブラシ付きモータに対するニーズは今後も変わらないと考えられる。

2. 地域別市場(生産ベース)

小型モータの生産は中国をはじめとするアジアが中心であり、市場における日本や欧州、北米などの比率は低い。今後もアジアが中心で、欧州や北米などの比率が大きく上昇することは考えにくい。生産がアジア中心となっているのは、家電や自動車などの生産量が多いことからである。特に、中国は家電の一大生産拠点で、内燃車と比較してモータ搭載数が多いEVにも力を入れており、短納期・低価格等の要求から生産が多くなっている。

欧州や北米で生産される代表的なモータは、DCブラシ付きモータのコアレスタイプやブラシレスモータである。医療機器向けやロケット向けなど、高付加価値品領域はスイス系メーカーが強い。競合できるのは一部の日系メーカーやハイエンド品を製造できる中国系メーカーのみである。

◆調査対象

小型モータ DCブラシ付モータ (コアドタイプ、コアレスタイプ)、ステッピングモータ (LS型、PM型、HB型)、ファンモータ (DC軸流、DCブロア、EC/AC)、ブラシレスモータ (スピンドル系、パワー系、ACサーボ)、インダクションモータ、シンクロナスモータ、ユニバーサルモータ、振動ユニット (通信機用、ゲーム機用、その他)
モータ用途 情報・通信関連用、家電・住設用、自動車用、業務関連機器用、産業関連機器用、簡易移動体・モビリティ・その他用
モータ制御部材/部品・材料 モータ制御用マイコン・ゲートドライバIC、エンコーダ、転がり軸受、軸受(メタル)、フェライト焼結磁石、希土類ボンド磁石、ネオジム焼結磁石、マグネットワイヤ、整流子(コミュテータ)、カーボンブラシ

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/10/31
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。