PRESSRELEASE プレスリリース
スイーツ主要チャネルの国内市場を調査
スイーツ市場1兆4,179億円
ホールセールはCVSや量販店を中心に伸びるもスイーツショップは需要流出で縮小が続く
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、ハレの日やギフト需要などが減少している一方、催事のカジュアル化への対応やデイリーユースや自分へのご褒美需要などが増加している、スイーツの国内市場を調査した。その結果を「スイーツ市場のメニュー×チャネル別需要分析調査 2018」にまとめた。
この調査では、洋菓子・和菓子19品目の市場動向や参入企業動向について、ホールセール(量販店、CVS、ドラッグストア、その他)、スイーツショップ(チェーン洋菓子店、個人洋菓子店、チョコレート専門店、チェーン和菓子店、個人和菓子店、チェーン和菓子店、個人和菓子店、百貨店)の各チャネル別に捉えた。
◆調査結果の概要
1.スイーツ市場
量販店やCVSを中心とするホールセールと、チェーンや個人経営店のスイーツショップを合わせたスイーツ市場は、2017年に前年比0.4%減の1兆4,225億円となった。ホールセールは前年比0.7%増の5,353億円、スイーツショップは前年比1.1%減の8,872億円となった。 ホールセールはCVSや量販店が店舗数の増加や自分用スイーツの購買頻度の増加により伸びているが、スイーツショップは中元や歳暮などのフォーマルギフトの需要減少から縮小が続いている。2018年の市場は1兆4,179億円が見込まれる。
ホールセールはCVSの伸びがけん引している。エクレアやシュークリームでフィリングの生クリームを見せる形で贅沢にはさんだ商品、パフェやケーキにプリンをトッピングした商品などプチ贅沢を意識させる商品が好調である。また、量販店も伸びている。プレミアムタイプ商品の需要の高まりに加え、定番のプレーンプリンやシュークリームなど値頃感が重視されるメニューも堅調である。CVSや量販店が日常からハレの日までの全てのシーンのスイーツ需要をカバーする状況となっており、デイリーユースチャネルとしての存在感がより一層増している。
スイーツショップは縮小が続いている。クリスマスケーキや誕生日などのハレの日や、中元や歳暮などのギフトなど特別使いにおける需要減少が大きな要因である。需要の獲得に向けて、プティガトーやカップ入りデザートによるパーソナル商品の拡充や、ハロウィーンやイースターなどのカジュアル催事対応商品の展開によってテコ入れを図っている。
2.注目4チャネル(量販店、CVS、チェーン洋菓子店、個人洋菓子店)の市場
量販店は、 2017年はカップ入りデザートやケーキが好調だった。カップ入りデザートはプリンアラモードやパルフェなど手作り感がありフルーツなどをふんだんに使用した高付加価値品が好調だった。また、ケーキはカット済みタイプがクリスマスをはじめとした催事向けで伸びた。ワッフルやマフィン、ブッセなどのその他焼き菓子・半生菓子も伸びた。 2018年は和菓子やドライ洋菓子は微減となるものの、チルド洋菓子が好調なため、量販店市場は伸びが続くと見込まれる。
CVSは、 カフェメニューとの"ついで買い"を狙ったカウンタードーナツは需要を獲得できなかったものの、焼き菓子・半生菓子や、シュー・エクレア、クレープ・ワッフル、チーズタルトなどのワンハンドで食べられるチルドデザートは伸びている。 また、各チェーンが強化しているチルド和菓子も伸びている。 品質向上と品揃えの強化により、デイリーユースとしての需要が増えており、CVS市場の構成比が高まっている。
チェーン洋菓子店は、総合洋菓子チェーンは割安なCVSや量販店の手作り風デザート商品と競合があるものの、ケーキやシューなどの洋生菓子がギフトや自家消費の需要を獲得している。中でもチョコレート専門チェーンは好調で、高いブランド力を背景に伸びている。また、焼き菓子専門チェーンはリピーター需要を獲得して堅調である。 近年は個人・法人向けのフォーマルギフトの需要が減少しているため、参入企業は個人向け手土産などのカジュアルギフトや自家消費の獲得に注力している。
個人洋菓子店は、地方や郊外では固定客のリピートを獲得する店舗もみられるが、売上不振や閉店するケースも多いことから、2018年も縮小が見込まれる。
◆注目市場:品目
1.カップ入りデザート
2017年 |
前年比 |
2018年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
1,040億円 |
100.9% |
1,040億円 |
100.0% |
プリン・ゼリー、カップ入りケーキ、カップ入りチルド和菓子を対象とする。近年はアラモード・パフェや多層ケーキなど手の込んだ商品が、デイリーユースに加え、自分へのご褒美やイベント需要などを獲得して伸びている。
チャネル別では、量販店やCVSが伸びている。量販店では、参入企業が価格競争とは距離を置いて、高付加価値商品の開発などを進め、需要を獲得している。CVSでは、ケーキやアラモード・パフェが手軽に食べられることで需要を獲得している。また、季節のフルーツやこだわりのチョコレートなどの使用によりご褒美的な要素を取り込んでいることにより、300円近い高単価商品が伸びている。一方、チェーン洋菓子店はプリン・ゼリーの需要がCVSや量販店の安価な商品に流出しているため、縮小している。
2.ドーナツ
2017年 |
前年比 |
2018年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
444億円 |
95.9% |
439億円 |
98.9% |
2013年にセブン−イレブンがカウンタードーナツの提供を開始し、他チェーンも追随したことによりCVSの売り上げが伸びたことに加え、製パン企業がドーナツ生産量を増やしたことで量販店における商品展開も増え、市場は2015年まで拡大した。しかし、カウンタードーナツは高カロリーが敬遠されたことなどにより、カウンターコーヒーとの"ついで買い"は定着せず、取り扱いを止めるチェーンも出てきている。CVS向けの縮小などが影響し、2017年の市場は前年比4.1%減の444億円となった。
2018年も市場は縮小が見込まれるものの、日配品は下げ止まりがみられ、また、グロッサリーのマルチパックは日持ちがすることや小分けできることにより安定した需要を獲得しているため、2019年以降回復に向かうとみられる。
◆注目市場:チャネル
チョコレート専門店
2017年 |
前年比 |
2018年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
967億円 |
103.5% |
974億円 |
100.7% |
チョコレート関連商品の販売が5割以上を占める洋菓子店を対象とする。「モロゾフ」や「メリーチョコレート」などの老舗ブランドの底支えに加えて、近年は"自分チョコ""友チョコ"といったバレンタインニーズの多様化とともに高級チョコレートの需要が高まっており、海外有名ブランドの日本進出も増えている。
2016年、2017年は、毎年1月に開催されるチョコレートの祭典"サロン・デュ・ショコラ"の盛況が報じられるなど、バレンタインデー商戦のメディア露出の増加が需要喚起につながったことや、「リンツ」など日本における新興ブランドの店舗増加、また、海外ブランドの高級チョコレート人気の高まりによる購入単価の上昇に伴い市場は拡大した。
2018年は、バレンタインデーが冬季五輪開催と重なったことによる話題性の低下や、高級チョコレートの需要に一服感がみられたことで、催事での売上は前年を下回っている。ただし、「ゴディバ」や「リンツ」などの新規出店によって店舗数が増加するため、市場は小幅ながら拡大が見込まれる。
◆調査対象
品目 | ケーキ、タルト、ロールケーキ、催事予約ケーキ、シュー・エクレア、プリン・ゼリー類、クレープ・ワッフル類、カップ入りデザート、バウムクーヘン、パウンドケーキ、ドーナツ、その他焼き菓子・半生菓子、チョコレート、ようかん・水ようかん、まんじゅう、大福・団子・最中、どら焼、カステラ、あんみつ・みつ豆・ぜんざい | |
チャネル | ホールセール | 量販店、CVS、ドラッグストア、その他 |
スイーツショップ | チェーン洋菓子店、チョコレート専門店、個人和菓子店、個人洋菓子店、チェーン和菓子店、百貨店 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。