PRESSRELEASE プレスリリース
セルフ式うどん1,563億円(3.3%増)、病者・高齢者食宅配968億円(2.7%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、ハンバーガーや回転ずし、牛丼などを中心としたファストフードや、量販店デリカやCVSテイクアウトフードなどが伸びているテイクアウト、若年層から高齢者まで幅広い層で需要が高まっているホームデリバリー・ケータリングなど国内の外食産業市場について調査し、その結果を「外食産業マーケティング便覧 2019 No.1」にまとめた。
この調査では、ファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食の6カテゴリー65業態の市場について現状を調査し、将来を予想した。なお、今後、料飲店、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場の8カテゴリー73業態の市場調査結果を発表する。
◆注目市場
1.セルフ式うどん、セルフ式そば
セルフ式うどんは、うどんをメインに販売する業態である。2000年に讃岐うどんチェーンの「はなまるうどん」と「丸亀製麺」が大量出店を進めて以降、市場は大きく拡大した。セルフ式そばと比べて女性やファミリー層の支持を獲得していることが市場拡大の一因となっている。
2018年は一部の大手チェーンが価格改定などにより客数を減少させたことから、市場は前年割れとなった。しかし、2019年は前年に実績を落とした大手チェーンによるTVCMの積極展開や、定番品を訴求する割引キャンペーンなどによりライトユーザーの需要が喚起されるとともに、各チェーンが継続して新規出店を続けていることから市場は拡大に転じるとみられる。
セルフ式そばは、そばをメインに販売、また、そばをメインにうどんを併売する業態である。2018年は大手チェーンが順調に実績を伸ばした一方、多くのチェーンが他のファストフード業態との競合などで低迷したことにより、市場は前年割れとなった。2019年は上位チェーンの多くが店舗数の増加により実績を伸ばすとみられ、市場は微増が見込まれる。
2.病者・高齢者食宅配
2018年 |
2019年見込 |
2018年比 |
|
市場規模 |
943億円 |
968億円 |
102.7% |
病者・高齢者向けに栄養価や咀嚼、嚥下などに配慮された即食可能な完全調理済食品をメインに宅配にて販売する業態である。市場は堅調に推移していたが、大手企業の撤退や冷凍弁当宅配サービスとの競合などにより、2016年、2017年と縮小した。
2018年は一部の上位企業で低価格商品へのオーダーシフトが増えた影響により売上が縮小したものの、他の上位企業が高齢者人口の増加を受けて好調だったため、市場は2017年比1.1%増となった。2019年は各企業による拠点数の増加や既存店の営業力強化が奏功しており、市場は2018年比2.7%増が見込まれる。
今後も高齢者人口および単身高齢者世帯が増加するため市場拡大が予想される。特に病者食や咀嚼困難者用メニューは、継続した受注が期待される。高齢者向けの通常食も、おかずを中心に底堅い需要が予想される。
◆調査結果の概要
2018年 |
2019年見込 |
2018年比 |
|
ファストフード |
3兆0,560億円 |
3兆1,381億円 |
102.7% |
テイクアウト |
7兆5,958億円 |
7兆6,860億円 |
101.2% |
ホームデリバリー・ケータリング |
1兆1,843億円 |
1兆1,862億円 |
100.2% |
交通機関 |
1,050億円 |
1,036億円 |
98.7% |
レジャー施設 |
9,882億円 |
9,862億円 |
99.8% |
給食 |
4兆0,702億円 |
4兆1,064億円 |
100.9% |
1.ファストフード
ハンバーガー、回転ずし、牛丼が中心であるが、2018年はそれぞれが堅調に伸びたことにより市場が拡大した。ハンバーガーは大手チェーンが割安感を訴求したメニュー提案によって客数を増加させるなど好調だった。牛丼は期間限定メニューの積極投入などのメニュー施策が奏効している。回転ずしは上位チェーンを中心に引き続き好調だった。また、近年急成長を続けてきたとんかつ・かつ丼はやや伸びが鈍化したものの、店舗数の増加などにより2017年比10%近い伸びを維持した。2019年も好調な業態が多く、ハンバーガーが7,000億円超え、牛丼が4,000億円に迫るとみられるなど、市場は2018年比2.7%の伸びが見込まれる。
2.テイクアウト
量販店デリカやCVSテイクアウトフードが積極的な新規出店や商品開発により伸びている。また、2018年はテイクアウト弁当が上位企業の積極的な新規出店により5年ぶりの前年比プラスとなった。一方、スイーツ店、ベーカリーショップなどは店舗数の減少に伴い縮小している。2019年は量販店デリカ、CVSテイクアウトフード、シュークリーム専門店、テイクアウト弁当などが引き続き伸びるとみられる。
3.ホームデリバリー・ケータリング
宅配ピザが2017年以降伸びており、2019年も各大手チェーンによる積極出店やメニュー改定などが進められていることから好調が続いている。また、宅配ずしは、上位チェーンが利便性向上に向けたWeb注文の強化や高単価メニューの投入などにより好調で伸びている。病者・高齢者食宅配は高齢化の進展を背景に上位企業による営業強化や拠点数の増加などにより、2018年以降伸びが続くとみられる。
4.交通機関
訪日観光客の増加によって機内食、客船食堂が伸びている。また、駅構内飲食店、有料道路SA/PAは既存施設のリニューアルや新規施設のオープンによる新たな飲食店誘致により、2018年、2019年と堅調である。ただし、列車内食がJR各社で路線によっては車内販売を終了させているため、交通機関全体では2019年の市場は縮小が見込まれる。
5.レジャー施設
レジャーランドでは、上位企業がシーズンごとのイベント実施のほか新たなアトラクションの開始などで引き続き高い集客力を維持していることにより好調である。また、野球場も客層拡大に向けたファンサービスが継続され利用客数が増えていることから伸びている。一方、健康ランド・スーパー銭湯は地方を中心に閉鎖が続いているほか、ギャンブル場も多くの施設において利用客数が減少しているため、レジャー施設全体としては2019年以降減少が続くとみられる。
6.給食
高齢者福祉施設給食が有料老人ホームなどの新設により伸びている。また、幼稚園・保育所給食は託児需要に対応した認定こども園の新設などで施設数が増えたことから好調である。学生食堂もキャッシュレス化により利用が増えている。一方、 産業給食、学校給食は施設の統廃合や閉鎖などにより市場が縮小している。
◆調査対象
ファストフード | ハンバーガー、プレミアムハンバーガー、チキン、ドーナツ、サンドイッチ、クレープ、アイスクリーム、ラーメン、カレーショップ、ステーキ、セルフ式そば、セルフ式うどん、クイックパスタ・ピザ、回転ずし、牛丼、天丼・天ぷら、海鮮丼、スタミナ丼、とんかつ・かつ丼、定食チェーン、スープカフェ |
テイクアウト | テイクアウト弁当、デリカショップ、百貨店デリカ、おにぎり、テイクアウトずし、ベーカリーショップ、量販店デリカ、CVSテイクアウトフード、CVSカウンターFF、スイーツ店、百貨店スイーツ店、シュークリーム専門店、ポップコーン専門店、たこ焼き・お好み焼き類、たい焼き専門店 |
ホームデリバリー・ケータリング | 宅配ピザ、宅配ずし、宅配中華料理、宅配釜飯、FR宅配、FF宅配、病者・高齢者食宅配、仕出し弁当・ケータリング |
交通機関 | 駅構内飲食店、列車内食、機内食、有料道路SA/PA、客船食堂 |
レジャー施設 | ゴルフ場、スキー場、健康ランド・スーパー銭湯、レジャーランド、野球場、映画館・シネコン、ギャンブル場、カラオケボックス、複合カフェ |
給食 | 産業給食、学校給食、病院給食、高齢者福祉施設給食、有料老人ホーム給食、幼稚園・保育所給食、学生食堂 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。