PRESSRELEASE プレスリリース

第19112号

健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場を調査
機能性表示食品の好調により堅調な拡大が続く
―2019年市場見込(2018年比)―
■健康志向食品 1兆4,792億円(2.6%増)
~トクホ飲料の縮小が目立つが、好調な機能表示食品が市場をけん引~
●中性脂肪値・コレステロール値改善 1,895億円(4.6%増)
~分かりやすいヘルスクレームを活用する機能性表示食品が増加~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、高単価なサプリメントの摂取には至らないものの、健康に良さそうな、あるいは、健康性がプラスされている食品を日常に取り入れようとする消費者意識の高まりを受けて拡大を続けている健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2020 No.1 健康志向食品編」にまとめた。

この調査では健康志向食品を生活習慣病予防、整腸効果、滋養・強壮、免疫賦活作用などの訴求効能別や、成分別に分類し、市場の現状を調査した。

※健康志向食品:健康(Health)や美容(Beauty)に良いというコンセプトをもった商品(H・Bフーズ)のうち、

一般加工食品に健康や美容に良いという成分を添加、強化した食品と飲料(明らか食品とドリンク類)

◆調査結果の概要

■健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)市場

2018年は記録的な猛暑を追い風にエナジードリンクや熱中症対策商品、パウチゼリー飲料など健康要素と止渇性を兼ね備えた商品が大きく伸びたほか、スポーツサポートのプロテインドリンクがヒット商品となり市場は活性化した。しかし、特定保健用食品として許可された飲料(トクホ飲料)の落ち込みや機能系ヨーグルトの停滞により生活習慣病予防などが縮小したことから、市場は2017年比1.3%増にとどまった。

2019年はトクホ飲料が引き続き縮小しているのに加え、需要開拓の一巡およびブームの沈静化により乳酸菌配合の機能性表示食品がマイナスに転じるなど、発売から数年が経過した機能性表示食品で苦戦するケースもみられる。しかし、中性脂肪値・コレステロール値改善訴求のトマトジュースの続伸やノンアルコールビールの再活況、認知機能サポートや睡眠サポートなど需要開拓が期待されるカテゴリーでの商品投入の活発化などもあり機能性表示食品全体では二桁増が見込まれる。また、エナジードリンクやプロテイン商品も引き続き好調なため、2019年の健康志向食品市場は2018年比2.6%増が見込まれる。

2019年は明らか食品が4,708億円、ドリンク類が1兆84億円となる見込であり、2018年に比べドリンク類の構成比が僅かに高まるとみられる。明らか食品は機能系ヨーグルトなどが苦戦しているが、脂肪対策訴求や抗酸化・抗加齢訴求のチョコレート、喉の不快感除去の喉飴などが伸びている。ドリンク類はヨーグルトブームの沈静化から整腸効果訴求のドリンクヨーグルトや乳酸菌飲料が縮小しているものの、エナジードリンクやプロテインドリンクが大幅に伸びているほか、脂肪対策訴求を中心に茶系飲料やドリンクヨーグルトの機能性表示食品の新商品発売が続いており好調である。

◆注目市場

●中性脂肪値・コレステロール値改善

 

2018年

2019年見込

2018年比

明らか食品

173億円

176億円

101.7%

ドリンク類

1,639億円

1,719億円

104.9%

合 計

1,812億円

1,895億円

104.6%

“血中中性脂肪や体脂肪が気になる方に"“コレステロールが高めの方に"などをヘルスクレームとする特定保健用食品、“体脂肪を減らす"などをヘルスクレームとする機能性表示食品が市場の中核を占めている。

2018年はトマトジュースや乳酸菌配合商品、ビネガードリンクの前年に引き続いての好調、また、茶系飲料の新商品発売などがあったものの、既存のトクホ飲料の落ち込みなどにより、市場は大きく縮小した。

2019年はトクホ飲料の不振、また、乳酸菌配合商品の低調な推移が続いている。しかし、トマトジュースやビネガードリンクの好調やノンアルコールビールの機能性表示食品の発売、大型茶系ブランドの機能性表示食品へのリニューアルなどにより、2018年比4.6%増の1,895億円が見込まれる。

トクホ飲料は機能性表示食品の台頭により需要が奪われ、近年は苦戦している。一方、機能性表示食品は消費者ニーズに対応した、具体的で分かりやすいヘルスクレームが可能なことにより大きく伸びている。2019年には、原料素材由来の成分を関与成分とした新奇性の高い商品も発売されており、新たな需要開拓による今後の伸びが期待される。

●認知機能サポート

 

2018年

2019年見込

2018年比

明らか食品

11億円

10億円

90.9%

ドリンク類

僅少

7億円

-

合 計

11億円

18億円

163.6%

※市場データは四捨五入している

“記憶力の維持"“記憶をサポート"など認知機能を訴求したイチョウ葉やDHA・EPAなどを関与成分とする商品を対象とする。

2015年に機能性表示食品制度がスタートし、“記憶力の維持"など認知機能をサポートする明確な機能の訴求が表示できるようになり、2016年には水産缶詰、鮭フレーク、レトルトスープが発売され、2017年にはガム商品などの積極的なプロモーション活動が奏功し、市場は拡大した。

2018年は水産缶詰、鮭フレークなどが終売となったため市場は横ばいであったが、2019年は大手飲料メーカーの新ブランド投入により、市場は拡大が見込まれる。

従来は中高年層向けの商品が大部分であったが、現在は“事務作業や計算作業の効率維持"の訴求で比較的若い世代もターゲットとなっており、新たな需要を獲得することによる市場拡大が期待される。

●ストレス緩和・睡眠サポート

 

2018年

2019年見込

2018年比

明らか食品

40億円

43億円

107.5%

ドリンク類

13億円

43億円

3.3倍

合 計

53億円

86億円

162.3%

GABA、テアニン、乳酸菌類などを関与成分とし、ストレスの改善・低減、睡眠の質の向上・改善などを訴求した商品を対象とする。

2015年に機能性表示食品制度がスタートし、明確な機能を表示した商品が発売されたことにより、2016年、2017年の市場は大幅に拡大した。しかし、2018年は前年、前々年に発売された商品の多くが苦戦したため、市場は2017年比3.6%減となった。

2019年は、明らか食品ではチョコレート以外の商品が苦戦しているものの、ドリンク類を中心に睡眠訴求の新商品の発売が相次いでおり再び市場が活性化していることから、市場は2018年比62.3%増が見込まれる。ストレスや睡眠を気にする消費者は多いため今後も市場拡大は続くとみられる。

◆調査対象

健康志向食品【明らか食品、ドリンク類】
1.滋養・強壮 ビタミン、高麗人参、ローヤルゼリー、マカ、その他
2.肝機能改善 ウコン、肝臓エキス、オルニチン、カキ肉エキス、その他
3.美容効果 コラーゲン、プロテオグリカン、プラセンタ、セラミド、その他
4.整腸効果 食物繊維、プルーン、オリゴ糖、ビフィズス菌、乳酸菌、アロエ、乳酸菌・ビフィズス菌複合、その他
5.ダイエット a.食事代替ダイエット(食事型カロリー調整食品<セットタイプ>)
b.抑制系/燃焼系ダイエット
c.その他(食物繊維・マンナン、新甘味料、その他)
6.スポーツサポート プロテイン、アミノ酸、その他
7.生活習慣病予防 a.中性脂肪値・コレステロール値改善(難消化性デキストリン、乳酸菌類、茶カテキン、ウーロン茶重合ポリフェノール、黒酢・香醋、DHA・EPA、大豆たんぱく質、植物ステロール、中鎖脂肪酸、グロビン蛋白分解物、その他) b.血糖値改善(難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、大麦β-グルカン、その他)
c.高血圧予防(ゴマペプチド、GABA、ラクトトリペプチド、トマト酢、α-リノレン酸、その他)
d.認知機能サポート(イチョウ葉、その他)
e.その他(黒酢・香醋、コエンザイムQ10、乳酸菌類、もろみ酢、その他)
8.抗酸化・抗加齢 カカオポリフェノール
9.血行促進 生姜、モノグルコシルヘスペリジン、その他
10.免疫賦活作用 甜茶、プロポリス、乳酸菌類、その他
11.栄養バランス 栄養バランス食品
12.骨・関節・筋肉サポート カルシウム、グルコサミン、大豆イソフラボン、その他
13.覚醒効果 カフェイン、その他
14.貧血予防・改善 ヘム鉄、非ヘム鉄
15.喉の不快感除去 複合、ハーブ・ミント系、メントール系
16.オーラルケア キシリトール、ユーカリ抽出物、リカルデント、乳酸菌類、クロロフィル系、ハーブ・ミント系、フラボノ系、その他
17.アイケア ブルーベリー、ルテイン、その他
18.マルチバランス ビタミンC・B群、マルチビタミン、その他
19.ホルモンバランス 大豆イソフラボン、ザクロ、その他
20.ストレス緩和・睡眠サポート GABA、テアニン、その他
21.グリーンチャージ 青汁、ミドリムシ(ユーグレナ)

2019/12/20
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