PRESSRELEASE プレスリリース

第20066号

H・Bフーズの国内市場の調査結果
健康志向食品での活発な商品投入などにより拡大が続く
―2020年市場予測(2018年比)―
■H・Bフーズの国内市場 2兆4,274億円(2.7%増)
~機能志向食品は横ばいとなるも、健康志向食品は好調な商品が多く拡大続く~
●生活習慣病予防 3,838億円(12.9%増) 
~機能志向食品、健康志向食品ともに堅調に伸びる~
●コンプリートフード(完全栄養食) 14億円(2.3倍) ~認知度向上により拡大が期待される~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)と機能志向食品(サプリメント)を対象としたH・Bフーズの国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2020 総括・関連市場分析編」にまとめた。

※H・Bフーズ:健康(Health)や美容(Beauty)に良いというコンセプトをもった商品

◆調査結果の概要

■H・Bフーズの国内市場

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

2兆4,016億円

101.6%

2兆4,274億円

102.7%

2018年は、健康志向食品では特定保健用食品の落ち込みや機能系ヨーグルトの苦戦が続き、また、機能志向食品では滋養・強壮やグリーンチャージなどの定番商品がマイナスとなった。しかし、健康志向食品ではスポーツやジム人気の高まりを背景にプロテインが大きく伸びたことや、夏場の猛暑により健康性と止渇性を兼ね備えたエナジードリンク、熱中症対策飲料、パウチゼリー飲料などが好調となったこと、また、機能志向食品では生活習慣病予防やマルチバランスが安定した需要に支えられて伸びたことやプロテインの好調が下支えしたことにより、市場は2017年比1.3%増と拡大した。

2019年は、機能志向食品はダイエットがカロリー調整食品の急速な需要減少により大幅に縮小、また、グリーンチャージもインバウンド・国内需要がともに落ち込んでおり、苦戦するとみられる。一方、健康志向食品は特定保健用食品の縮小や機能性表示食品の一部で苦戦する商品がみられたものの、トマトジュースの続伸やノンアルコールビールの再活況、脂肪・記憶・睡眠訴求を中心とした活発な商品投入といった好材料が多く、また、エナジードリンクやプロテインの好調などにより伸びていることから、市場は2018年比1.6%増が見込まれる。

2020年は、機能志向食品は横ばいとなるも、健康志向食品は好調を維持するとみられ、市場は2018年比2.7%増が予測される。

◆注目市場

●生活習慣病予防【訴求効能別】

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

3,631億円

106.8%

3,838億円

112.9%

日常的に健康管理を行おうとする意識の高まりにより、健康志向食品と機能志向食品の双方で需要が増加し、特に、茶系飲料やコーラ飲料など、特定保健用食品のドリンク類が伸長し、市場は拡大してきた。また、菓子をはじめとして、新機軸の商品が投入されたことが市場拡大の追い風となってきた。しかし、2017年頃からは機能性表示食品に需要がシフトしたことにより、特定保健用食品の上位ドリンク類であっても苦戦するケースがみられるようになった。

2018年は、機能志向食品は中性脂肪値・コレステロール値改善、血糖値改善、高血圧予防の上位商品が好調だったことから伸長したが、健康志向食品は特定保健用食品の落ち込みにより大幅なマイナスとなったことで、市場は2017年比2.6%減となった。2019年は、機能志向食品は好調が続いており、健康志向食品は特定保健用食品の縮小が続いているものの、トマトジュースやビネガードリンクの続伸、ノンアルコールビールの活況などにより伸長し、市場は2018年比6.8%増が見込まれる。

成分別では、難消化性デキストリンやDHA・EPAの占める割合が大きいが、2019年に機能性表示食品としてリニューアルされた茶系飲料ブランドで採用されている茶カテキンが大きく伸びるとみられる。

●スポーツサポート

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

865億円

110.6%

918億円

117.4%

プロテインやアミノ酸などを訴求し、スポーツシーンで喫食されるH・Bフーズを対象とする。スポーツ人口の増加や、女性のダイエットのトレンドが置き換えダイエットから運動での身体作りへとシフトしていることにより、市場は拡大を続けている。特に、プロテインがトップアスリートやヘビーユーザー層だけでなく、ライトユーザー層が増え、一般消費者にまで利用が広がったことから摂取人口は大幅に増えている。一方、アミノ酸はプロテインに需要を奪われるかたちで苦戦している。

2018年は、プロテインパウダーが前年に引き続き大きく伸びたことに加え、猛暑を追い風としたパウチゼリー飲料の伸長などにより、市場は2017年比17.6%増となった。2019年は、パウチゼリー飲料が苦戦しているものの、プロテインパウダーやプロテイン飲料は好調なため、二桁の市場拡大が続くとみられる。

●コンプリートフード(完全栄養食)【関連市場】

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

12億円

2.0倍

14億円

2.3倍

厚生労働省などによる特定の年代の推奨量/目安量/目標量を基準にビタミン・ミネラルなど、1日に必要な全般的な栄養素を配合、もしくは基準の3分の1以上の量を配合した加工食品を対象とする。

完全栄養食は生きていくうえで必要な栄養素をすべて含んでおり、食事にかかる時間を大幅に短縮できる点や健康性への期待感、新奇性により、ビジネスマンや研究職など時短ニーズが高い層の需要を獲得、また、健康意識の高い層の興味を引いており、欧米などでは存在感が高まっている。

国内では2016年に発売されたパウダータイプの「COMP」(COMP)、2017年に発売された「BASE PASTA」(ベースフード)を中心に、市場は立ち上がった。当初は、完全栄養食の認知度は低く、購入者は健康や新しいものに対する感度が高い層に限られていたが、新奇性や話題性により徐々に認知を広げていった。2019年には、カップタイプの「All-in PASTA」(日清食品)が発売され、一時品薄となるなど話題になったことで一般消費者の認知度も大幅に高まり、メディアでの完全栄養食の露出も増加したことにより、今後の市場拡大が期待される。

●キッズサプリメント【関連市場】

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

96億円

100.0%

99億円

103.1%

乳幼児・小児向けで栄養成分を強化したH・Bフーズを対象とする(虫歯予防などのオーラルケア商品も含む)。訴求効能として、骨・関節・筋肉サポートやスポーツサポート、オーラルケアなどがあげられる。

食事だけでは補うことが難しいカルシウムなどの補完を目的とした粉末飲料が、長らく市場の中心であった。一方、サプリメントの需要は、食事による栄養摂取が望ましいという考え方が強かったため限定的であったが、偏食やアレルギーなどの対応策として現在はサプリメントの需要が増えている。また、虫歯予防を目的としたオーラルケア商品や、スポーツサポートのパウチゼリー飲料や粉末のプロテインの需要が高まっている。

2019年の市場は、スポーツサポートやオーラルケアの商品は好調であるが、カルシウム補完を目的とした粉末飲料は競合の激化や参入メーカーの注力度低下により苦戦しているため、2018年比で横ばいにとどまるとみられる。しかし、スポーツサポート商品のさらなる需要増加や、たんぱく質の重要性を理解した親が子供に粉末プロテインを買い与えるケースも増えており、虫歯予防のタブレットの需要も年々高まっているため、今後の市場拡大が予想される。

*富士経済H・Bフーズの定義

H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。

 

*同H・Bフーズの分類

全体を健康志向食品と機能志向食品の2分野に分けた。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。

さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。

(1)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載)

  ●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。

  ●ドリンク類:明らか食品のうち飲料分野に属するものは、(医薬品/新・医薬部外品のドリンク剤と区分するために)本調査では「ドリンク類」と呼称する。

(2)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載)

  ●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。

  ●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤型は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。

 

*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係

特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。

◆調査対象

訴求効能別

・滋養・強壮

・抗酸化・抗加齢

・喉の不快感除去

・肝機能改善

・血行促進

・オーラルケア

・美容効果

・免疫賦活作用

・アイケア 

・整腸効果

・栄養バランス

・マルチバランス

・ダイエット

・骨・関節・筋肉サポート

・ホルモンバランス

・スポーツサポート

・覚醒効果

・ストレス緩和・睡眠サポート

・生活習慣病予防

・貧血予防・改善

・グリーンチャージ

特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品の市場動向

シリーズサプリメント市場動向

注目成分市場

・乳酸菌類

 

 

食品カテゴリー別

・チルドデザート

・畜産・水産加工品

・炭酸飲料

・菓子

・ノンアルコールビール・

・健康飲料 

・ステープル

ドリンク

・果実飲料

・農産加工品

・嗜好飲料

 

・調味料

・乳性飲料 

 

形状別

・粉末飲料

・グミ

・ゼリー

チャネル別

・通信販売

・薬局・薬店

・CVS

・訪問販売

・量販店

 

主要・注目企業

・15社

 

 

関連市場

・キッズサプリメント

・コンプリートフード

・プレママ・マタニティ

・ヘア・スカルプケア

・eスポーツフーズ

向けサプリメント


2020/06/22
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。