PRESSRELEASE プレスリリース

第20132号

「ヒト」の状態や行動を検知するヒューマンセンシングの活用が広がる
建設現場におけるヒューマンセンシング関連機器・システムの国内市場を調査
―2030年予測(2020年見込比)―
■遠隔モニタリング 62億円(3.6倍)
~人手不足を背景に管理業務の負担軽減ニーズや安全、健康に対する意識が高まり、導入が進む~
■ウェアラブルデバイス 35億円(2.3倍)
~働き方改革により健康管理が重要視され、熱中症対策などでの活用が増加~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、建設現場における人手不足や労働者の高齢化など、様々な課題を解決するため活用が期待されるヒューマンセンシング関連機器・システムの国内市場を調査した。

その結果を「近未来・建設現場(工程・品質・安全管理)におけるヒューマンセンシング・ソリューションの市場性分析」にまとめた。

この調査では、ヒューマンセンシング関連機器・システム市場を活用形態別および品目別で捉えることで、現在の活用状況を把握し、今後の方向性を明らかにした。

建設現場では、人手不足や労働者の高齢化、労働災害の発生率が高いことから生産性・安全性の向上や省人化が求められており、品質・工程管理や安全・健康管理などにおいて「ヒト」の状態や行動を検知するヒューマンセンシングの活用が期待されている。すでに、安全管理ではスマートデバイスやAIを駆使した作業者の危機管理を行うサービスが提供され、人が管理を行っている業務の負担軽減や省人化のニーズが高まっている。今後は品質・工程管理、施工管理において活用が広がるとみられる。
 

◆調査結果の概要

■ヒューマンセンシング関連機器・システム市場の活用形態別動向

 

2020年見込

2030年予測

2020年見込比

現場エッジ処理

44億円

70億円

159.1%

遠隔モニタリング

16.5億円

62億円

3.8倍

クラウドサービス

2億円

8億円

4.0倍

現場エッジ処理は、作業者の建機などとの接触事故や危険箇所への立ち入りを防ぐため、レーザーや超音波センサーなどで人を物体として検知するのではなく、生体として識別し、危険情報を発するとともに建機などを自動的に緊急停止させるシステムである。大手ゼネコンなどが安全補助装置の設置を推進しており、搭載機種が増加している。2030年に向けて市場は堅調に拡大していくとみられる。

遠隔モニタリングは、カメラの画像データやセンシング情報により現場から離れてモニタリングし、作業管理・支援や安全・健康管理を行うシステムを対象とし、クラウドの利用は対象外とする。センシング方法としては作業者にICタグを装着して現場入退場や現場での位置、動きのモニタリングをしたり、ウェアラブルデバイスを利用して作業者の健康管理を行ったりする。人手不足を背景とした管理業務の負担軽減ニーズや、安全や健康に対する意識の高まりから導入が進んでおり、2030年に向けて市場は大幅な伸長が予想される。

クラウドサービスは、画像データや生体データをクラウド上にアップロードし、現場の内外でモニタリングをするシステムである。サーバーなどが不要で、初期投資が抑えられることから需要は増加している。クラウドサービスは他の活用形態と比べると限定的な伸びとなっているものの、2030年の市場は2020年見込比4.0倍が予測される。

■ヒューマンセンシング関連機器・システム市場の品目別動向

 

2020年見込

2030年予測

2020年見込比

ウェアラブルデバイス

15億円

35億円

2.3倍

設置型センサーデバイス

0.5億円

20億円

40.0倍

XR

0.5億円

4億円

8.0倍

AI

2億円

12億円

6.0倍

品目別では、特にウェアラブルデバイスの市場規模が大きい。建設業界でも働き方改革により健康管理が重要視され、熱中症対策などでの活用が増加するとみられる。

設置型センサーデバイスは大きな伸びが予想される。ビーコンやICタグによるシステムは、非GPS環境下となるトンネル坑内やビル建設作業においても位置情報を管理することができるため、人や資機材のモニタリングシステムとしての採用が増加するとみられる。

XRは加速度センサーやカメラにより人の頭部の動きをトラッキングすることで人の視点に対応した映像をスマートグラス上に展開表示するシステムである。市場規模はまだ小さいものの、ゼネコン各社では業務の効率化を目的に、実証実験を含めた施工管理分野でXRを利用した技術開発が進んでいる。施工から点検まで幅広い活用が想定され、市場拡大が期待される。

AIはセンサーで取得した情報の分析サービスを対象とする。建設現場におけるAIの活用はまだ始まったばかりであるが、作業者・管理者の負担軽減のニーズは高いため、市場は拡大していくとみられる。

◆調査対象

活用形態別

 

・遠隔モニタリング

・クラウドサービス

・現場エッジ処理

品目別

 

・カメラ・画像処理

・設置型センサーデバイス

・AI

・ウェアラブルデバイス

・XR

・ビッグデータ


2020/12/17
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