PRESSRELEASE プレスリリース

第21075号

ファストフードやテイクアウトなど
6カテゴリー64業態の外食産業国内市場を調査
―2021年市場見込(2020年比)―
●唐揚げ      1,200億円(114.3%)
テイクアウト・デリバリーが好調で、市場は大きく拡大

●ハンバーガー   7,798億円(105.1%)
テイクアウト・デリバリー需要の取り込みが進んでいることから、引き続き伸長

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、イートインが新型コロナ対策による店内での飲食機会の減少から苦戦を強いられているものの、テイクアウトやデリバリーを軸に対応が進む外食産業国内市場について調査した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2021 No.1」にまとめた。

この調査では、ファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食の6カテゴリー64業態の市場について現状を捉え、将来を展望した。

なお、外食産業のうち料飲店やファミリーレストラン、喫茶などについては、「外食産業マーケティング便覧 2021 No.2」でまとめており、その結果は今後発表する。

◆注目市場

●唐揚げ

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

1,050億円

123.1%

1,200億円

114.3%

唐揚げは、共働き世帯の増加や油の廃棄など煩雑な工程が多いことを背景に家庭内調理頻度が減少していることもあり、外食の需要が増加している。2010年頃よりテイクアウト専門店の出店が進み、2014年以降大手外食チェーンもテイクアウトに参入したことにより、テイクアウトを中心に市場は拡大してきた。

2020年の市場は在宅時間が増加したものの油の廃棄などを含めた調理の煩雑さから家庭内調理が敬遠され、むしろテイクアウトの唐揚げの簡便性や時短効果に注目が集まったため、テイクアウト・デリバリーを中心に需要を取り込んだ。さらに、既存のテイクアウト専門店の好調や従来のイートインを中心としてきたチェーンでも需要の獲得が進んでおり、前年比23.1%増の1,050億円となった。

2021年は引き続き在宅時間の増加や感染対策に伴う店内飲食の機会低下がテイクアウト・デリバリーの需要を高め、前年比14.3%増の1,200億円が見込まれる。

●ハンバーガー

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

7,420億円

105.1%

7,798億円

105.1%

ハンバーガーは2015年以降、上位チェーンのけん引により市場拡大を続けてきた。

2020年の市場は新型コロナ流行の影響により在宅時間が伸び、住宅街立地の店舗を中心に需要が増加した。また、デリバリーも好調で前年比5.1%増の7,420億円となった。

2021年は年明けから緊急事態宣言が発出されたが、コロナ禍以前よりデリバリーやテイクアウトの需要の取り込みが進んでいることや日常食としての需要を獲得していることから、在宅時間の増加は前年同様プラスに影響するとみられ、市場は前年比5.1%増の7,798億円が見込まれる。

●回転ずし

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

6,194億円

92.4%

6,553億円

105.8%

回転ずしは、低価格で高品質のすしのほか、ラーメンやスイーツなど他業態の主力メニューを提供し、需要を獲得している。また、2013年以降はオーダーレーンやタッチパネルの導入など顧客の利便性向上を図る施策や上位チェーンの積極的な出店により、市場は拡大してきた。

2020年の市場は新型コロナ流行の影響により売上高が3月~5月に激減し、6月~10月に改善傾向となった。また、高価格帯メニューの投入で、客数が減少する中でも単価アップを図るチェーンや11月~12月にGo To Eatキャンペーンにより売上高が急伸したチェーンもみられた。しかし通年でみると新型コロナ流行の影響が大きく、前年比7.6%減の6,194億円となった。

2021年は期間限定や高価格帯のメニューの開発が続くほか、ロードサイド立地の飽和感や顧客接点の増加を背景に都心、駅前、SCなど他業態の空き店舗を活用した出店が拡大している。また、テイクアウト・デリバリーの強化や自動案内機・セルフレジなどを導入した非接触型店舗も増加しており、市場は前年比5.8%増の6,553億円が見込まれる。

●スタミナ丼

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

71億円

94.7%

83億円

116.9%

スタミナ丼は、豚バラ肉と野菜を炒めご飯の上に盛った丼メニューを主力として販売する店舗を対象とする。

2000年にアントワークスが安価でボリューム感のあるメニューとして出店を開始し、市場は成長してきた。

2020年は参入各社がテイクアウト・デリバリーに注力したことでリピーターや女性を中心とした新規顧客獲得が進んだ。しかし、外出・外食の自粛や営業時間の短縮により、最も需要のあるディナー帯のイートインが大幅に減少し、市場は前年比5.3%減の71億円となった。

2021年は前年同様テイクアウト・デリバリーの需要獲得が進む一方、イートインも回復に向かうとみられる。また、デリバリーに強みを持つ上位チェーンがFC店舗の出店を急速に進めており、市場は前年比16.9%増の83億円が見込まれる。

●宅配ピザ

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

1,738億円

122.3%

1,755億円

101.0%

宅配ピザは、2016年に微減したものの、上位チェーンを中心とした積極的な出店やテイクアウト需要の取り込みにより2017年以降市場拡大を続けている。

2020年の市場は新型コロナの流行によりパーティー需要が落ち込んだものの、外出自粛による宅配需要の増加で上位チェーンを中心に大きく伸びた。また、「ドミノ・ピザ」による最低注文金額の撤廃や各社の1人向けメニューの強化などを背景に、ハレの日だけでなく日常利用が増加した。さらに、宅配代行サービスから注文できるようになったことで消費者との接点が増え、新規や休眠顧客の取り込みに繋がり前年比22.3%増の1,738億円となった。

2021年の市場は日常利用の定着や上位チェーンによる積極的な出店が続くものの、前年程の需要は見込めず、各社の1人向けメニューの強化やテイクアウト時の割引販売などが客単価の低下に繋がるとみられ、前年比1.0%増の1,755億円にとどまるとみられる。

◆調査結果の概要

 

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

ファストフード

3兆 180億円

93.6%

3兆2,023億円

106.1%

テイクアウト

7兆 728億円

92.2%

7兆3,552億円

104.0%

ホームデリバリー
・ケータリング

8,245億円

69.3%

9,028億円

109.5%

交通機関

219億円

20.4%

228億円

104.1%

レジャー施設

6,238億円

62.3%

7,152億円

114.7%

給食

3兆8,319億円

93.7%

3兆9,424億円

102.9%

2020年のファストフードは、テイクアウト比率の高いハンバーガーやチキンが好調だったものの、イートイン主体の業態が苦戦し前年比6.4%減の3兆180億円となった。2021年は様々な業態でテイクアウトやデリバリーを強化する動きがみられることやイートイン需要が徐々に回復する予想から前年比6.1%増の3兆2,023億円が見込まれる。

2020年のテイクアウトは、巣ごもり需要の増加によりロードサイド立地が好調となった。一方、都市部を中心にオフィス街や百貨店、駅ビルなどの店舗ではテレワークの定着による客数減や出店先施設自体の休業、時短営業を受け、前年比7.8%減の7兆728億円となった。2021年は緊急事態宣言の再発出でテイクアウトの需要が維持されているほか、前年に苦戦した都市部店舗の客数も回復が予想されるため市場は拡大するとみられる。一方、コロナ禍で不採算店舗の撤退が進むほか、他業態もテイクアウトに注力しているためコロナ禍以前の2019年の規模までは回復しないとみられる。

2020年のホームデリバリー・ケータリングは、宅配ピザや宅配ずし、宅配釜飯などは外出自粛の影響で需要が増加し、自社配送や宅配代行サービスの躍進を背景に好調な動きがみられた。しかし、仕出し弁当やケータリングはテレワーク普及によるオフィスでの需要の低下や集会機会の減少により大きく落ち込んだため、市場は前年比30.7%減の8,245億円となった。2021年は、宅配ピザや宅配釜飯、病者・高齢者食宅配など続伸する品目もあるが、仕出し弁当やケータリングなどはテレワークや集会自粛の影響が長引くことから、市場は2019年の規模には至らないとみられる。

2020年の交通機関は、新型コロナの影響で国際線を中心に大幅な減便や運休が相次ぎ、機内食が激減した。また、列車内食はインバウンド需要や出張者が減少、客船食堂もダイヤモンドプリンセス号の集団感染などにより利用客が大幅に減り、前年比79.6%減の219億円となった。2021年は新型コロナの影響があるものの、前年に比べて機内食や客船食堂は増加する予想である。しかし、テレワークの定着による駅の利用客の減少や車内販売の終了・休止などから列車内食が減少し、2019年の規模までは回復しないとみられる。

2020年のレジャー施設は、店舗や施設の一時休業や時短営業で、全業態が大幅なマイナスとなった。比較的新型コロナの影響が落ち着いた秋頃でも、外出先での飲食の敬遠やカラオケボックスなどの感染リスクに関する報道によって、前年比37.7%減の6,238億円となった。2021年は2020年の緊急事態宣言下の休業とは異なり、人数制限をしつつも営業を続ける店舗がみられるため、市場は回復に向かうと予想される。しかし、新型コロナが収束していないことから、2019年の規模までは回復しないとみられる。

2020年の給食は、高齢者福祉施設給食が新型コロナの影響を受けずに伸長したが、産業給食はテレワークによる喫食者の減少、学校給食、学生食堂は休校、オンライン授業の実施などにより縮小し、市場は前年比6.3%減の3兆8,319億円となった。2021年は高齢者福祉施設給食が有料老人ホームなどの新設により伸長するとみられる。また、給食が例年通り実施されることから学校給食が、保育所及び幼保連携型認定こども園の設置増から幼稚園・保育所給食が、それぞれ伸びるとみられる。そのほか、学生食堂も対面授業の再開によって喫食者の増加が予想され、市場は前年比2.9%増の3兆9,424億円が見込まれる。

◆調査対象

ファストフード(21)

・ハンバーガー

・カレーショップ

・天丼・天ぷら

・チキン

・ステーキ

・海鮮丼

・ドーナツ

・セルフ式そば

・スタミナ丼

・サンドイッチ

・セルフ式うどん

・とんかつ・かつ丼

・クレープ

・クイックパスタ・ピザ

・唐揚げ

・アイスクリーム

・回転ずし

・定食チェーン

・ラーメン

・牛丼

・スープカフェ

テイクアウト(15)

・テイクアウト弁当

・ベーカリーショップ

・スイーツ店

・デリカショップ

・量販店デリカ

・百貨店スイーツ店

・百貨店デリカ

・CVSテイクアウトフード

・シュークリーム専門店

・おにぎり

・CVSカウンターFF

・たこ焼き・お好み焼き類

・テイクアウトずし

・CVSカウンターコーヒー

・たい焼き専門店

ホームデリバリー・ケータリング(7)

・宅配ピザ

・宅配釜飯

・ケータリング

・宅配ずし

・病者・高齢者食宅配

 

・宅配中華料理

・仕出し弁当

 

交通機関(5)

・駅構内飲食店

・機内食

・客船食堂

・列車内食

・有料道路SA・PA

 

レジャー施設(9)

・ゴルフ場

・レジャーランド

・ギャンブル場

・スキー場

・野球場

・カラオケボックス

・健康ランド・スーパー銭湯

・映画館・シネコン

・複合カフェ

給食(7)

・産業給食

・高齢者福祉施設給食

・学生食堂

・学校給食

・有料老人ホーム給食

 

・病院給食

・幼稚園・保育所給食

 


2021/07/30
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。