PRESSRELEASE プレスリリース

第21081号

清涼飲料の国内市場を調査
2020年は9年ぶりに5兆円を下回る
―2020年(前年比)/2021年見込(前年比)―
■清涼飲料の国内市場 4兆9,748億円(5.7%減)/5兆551億円(1.6%増)
2020年はイエナカ需要が増加し大容量商品が好調も、家庭外需要は落ち込む
2021年は緩やかに増加。大容量商品の好調続き、パーソナル需要の回復で中容量商品も伸びる
●植物性飲料の国内市場 824億円(7.0%増)/848億円(2.9%増)
オーツミルクが注目され、アーモンド飲料をはじめ植物性飲料の取り扱い強化により、市場活性化

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、2020年は苦戦したものの、イエナカ需要の増加で大容量商品が好調だった清涼飲料の国内市場を調査した。その結果を「2021年 清涼飲料マーケティング要覧」にまとめた。

この調査では、清涼飲料16分野49品目の市場に加え、容器容量別の市場やコロナ禍の影響なども分析した。

◆調査結果の概要

■清涼飲料の国内市場

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

4兆9,748億円

94.3%

5兆551億円

101.6%

2020年の市場は、前年比5.7%減の4兆9,748億円で、2011年以来9年ぶりに市場は5兆円を下回った。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛や、テレワークの普及による外出先やオフィスでの飲用機会の減少、在宅時間の増加に伴う日常の活動量の減少による止渇需要の落ち込みなどが市場の縮小につながった。なお、イエナカ需要が増加したことで大容量商品、チャネルとしては量販店、通販が好調だった一方、家庭外での需要の落ち込みにより小・中容量のパーソナル商品、チャネルとしてはCVS、自動販売機が不調だった。

2021年は、依然としてコロナ禍収束の見通しが立たないものの、前年ほどの需要の落ち込みはみられないことから、市場は前年比1.6%増の5兆551億円が見込まれる。コロナ禍の長期化に伴う外出自粛の継続やテレワークの普及などにより清涼飲料を飲用する目的やシーンが変わっており、メーカー各社はその変化に対応した提案や新商品の投入などを進めている。

分野別では、最も市場規模の大きい無糖茶飲料が、2020年は家庭外での止渇需要が減少したほか、家庭内でも茶葉やティーバッグを使用し自分で淹れる機会が増えたことで縮小した。2021年は日本茶と麦茶の需要が回復し、市場は前年比5.5%増が見込まれる。

次に市場規模が大きいコーヒー飲料は、自動販売機の比率が高い缶コーヒーが10%以上落ち込んだことに加えて、近年パーソナルPET飲料の成長で好調だったリキッドコーヒーがオフィスでの飲用機会の減少による落ち込みもあり、2020年の市場は縮小した。2021年は、リキッドコーヒーが増加するものの、缶コーヒーの減少は続き、市場は縮小するとみられる。

このほか、飲用牛乳が学校の休校などで家庭内での飲用機会が増加し、2020年は5年ぶりに伸長した。野菜系飲料や植物性飲料は、消費者の健康志向の高まりにより拡大した。また、炭酸飲料は有糖炭酸飲料で不調な品目が多く縮小したものの、無糖炭酸飲料は健康志向の高まりや割り材としての需要増加を追い風に大きく伸びた。機能性飲料は、日常的な活動量の減少、パウチゼリー飲料などの食事代替需要の減少、宴会自粛による健康サポート飲料の減少などにより2014年以来の縮小となったが、エナジードリンクは変わらず好調だった。

■容量帯別市場

 

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

大容量商品

1兆4,053億円

100.4%

1兆4,306億円

101.8%

中容量商品

1兆8,921億円

92.9%

1兆9,597億円

103.6%

小容量商品

1兆6,774億円

91.1%

1兆6,648億円

99.2%

容量帯の区分としては700ml以上を大容量、300ml以上700ml未満を中容量、300ml未満を小容量とした。

イエナカ需要が増えたことで、2020年は大容量商品の市場が拡大した。大容量商品は量目単価が比較的安いことから、販売量ベースでの需要シフトはさらに大きいものとみられる。一方、自動販売機やCVSの販売比率が高い小容量・中容量商品は縮小した。2021年は大容量商品が引き続き拡大し、中容量商品は家庭外での需要が回復するものの、小容量商品は缶コーヒーなど缶商品の低迷により縮小するとみられる。

◆注目市場

●植物性飲料

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

824億円

107.0%

848億円

102.9%

植物性飲料は豆乳類、アーモンド飲料、その他植物性飲料を対象とした。

健康志向の高まりに加え、近年では植物性原料への認知・注目度の高まりによりアーモンド飲料、さらには“第3のミルク"としてのオーツミルクが注目されている。オーツミルクの盛り上がりにより植物性飲料全体の取り扱いが強化されるなど市場が活性化しており、2020年の市場は前年比7.0%増と拡大した。

豆乳類は、牛乳代替やイソフラボンといった栄養素の認知向上により需要が増加しており、値ごろ感も支持されて大容量商品によるリピート需要、フレーバータイプを中心としたトライアル需要を獲得している。2020年は、コロナ禍により家庭内での飲用や料理用途の増加で無調整タイプが伸びた。今後も、ヘビーユーザーの底堅い需要や植物性飲料内での価格優位性から拡大するとみられる。

アーモンド飲料は、「アーモンド効果」(江崎グリコ)の継続的な販促によりトライアル需要を獲得している。飲みやすいことから新規ユーザー獲得の余地はまだ大きく、今後も伸長が期待されるが、豆乳類と比較して価格が高くリピートの障壁になっていることから、価値訴求での効果的なアプローチが求められる。

その他植物性飲料は、植物性食品への関心の高まりとともに徐々に商品数も増加しており、オーツミルクが今後大きく伸長するとみられる。

●果実野菜混合飲料

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

1,003億円

102.1%

991億円

98.8%

2016年以降、スムージーがヒットしたことで市場は成長したものの、より健康イメージの強い野菜飲料との競合やスムージーのブームが落ち着いたことで2019年は縮小した。

2020年は健康志向が高まったことと、ビタミンなどが摂取できる野菜系飲料の中でも飲みやすいことからトライアル需要の獲得が進み、巣ごもり需要により大容量商品が好調だったことから、市場は拡大した。

PB商品や大容量商品などに対する価格ニーズが強いが、メーカーはパーソナル商品や機能性表示食品など、高付加価値商品の提案による新たな需要開拓を進めている。

●無糖炭酸飲料

2020年

2019年比

2021年見込

2020年比

908億円

110.1%

965億円

106.3%

かつてはアルコールの割り材としての需要が中心だったものの、2010年以降直飲みが定着していったほか、健康志向の高まりによる他の飲料からのシフトが進んでいる。

市場拡大とともに年々伸びは鈍化しているが、2020年は消費者の健康志向の高まりに加えて、コロナ禍における在宅時間の増加に伴う割り材としての需要増加も追い風となり、二桁増を維持した。今後も市場は拡大を続け、2022年には1,000億円を突破するとみられる。

◆調査対象

果実飲料

・100%果汁飲料

・低果汁入清涼飲料

・果肉飲料

・果汁入飲料

・果粒含有果実飲料

 

野菜系飲料

・トマト飲料

・野菜飲料

・果実野菜混合飲料

炭酸飲料

・コーラフレーバー飲料

・乳類入炭酸飲料

・その他炭酸飲料

・透明炭酸飲料

・ジンジャーエール

 

・果汁系炭酸飲料

・無糖炭酸飲料

 

飲用牛乳

 

 

 

乳飲料

・白物乳飲料

・色物乳飲料

 

・コーヒー系乳飲料

・プラカップ入り乳飲料

 

ドリンクヨーグルト

 

 

 

乳酸菌飲料類

・乳製品乳酸菌飲料

・乳酸菌飲料

 

乳類入清涼飲料

 

 

 

コーヒー飲料

・缶コーヒー

・リキッドコーヒー

 

紅茶飲料

 

 

 

無糖茶飲料

・日本茶

・麦茶

・その他ティードリンク

・ウーロン茶

・ブレンドティ

 

ミネラルウォーター類

・国産ミネラルウォーター類

・輸入ミネラルウォーター類

機能性飲料

・食系ドリンク

・機能性清涼飲料

・スポーツドリンク

・健康サポート飲料

・パウチゼリー飲料

・エナジードリンク

植物性飲料

・豆乳類

・アーモンド飲料

・その他植物性飲料

ビネガードリンク

 

 

 

バラエティドリンク

・ココアドリンク

・スープ

・おしるこ

・ゼリー飲料(パウチ除く)

・甘酒

 


2021/08/19
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。