PRESSRELEASE プレスリリース

第22022号

ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエアや
3Dラインプロファイルカメラなど、画像処理システムの世界市場を調査
―2024年予測(2020年比)―
■AI・ディープラーニング応用製品市場   811億円(6.5倍)
PoCから実導入段階に移行し、市場拡大
●3Dラインプロファイルカメラ市場       166億円(30.7%増)
画像処理の2Dから3Dへの移行や、自動車、鉄道、物流関連での普及進展で、市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、自動車関連の設備投資回復や車載・デジタル機器などに関連した半導体需要の増加、物流関連の人手不足による自動化ニーズへの対応などから注目が集まる画像処理システムの世界市場を調査した。その結果を「2022年版 画像処理システム市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、AI・ディープラーニング応用製品2品目、単体機器18品目、検査アプリケーション13品目、物流・ロボティクス3品目、観察・測定関連機器5品目を対象とし、2024年に向けた画像処理システム市場を展望した。

◆調査結果の概要

■画像処理システム世界市場

 

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

AI・ディープラーニング応用製品

192億円

154.8%

811億円

6.5倍

単体機器

6,079億円

114.2%

7,652億円

143.8%

検査アプリケーション

3,681億円

111.6%

4,728億円

143.4%

物流・ロボティクス

431億円

113.1%

813億円

2.1倍

観察・測定関連機器

1,703億円

114.4%

2,048億円

137.5%

AI・ディープラーニング応用製品は、従来のルールベースの装置では対応が難しい画像処理や、検出プログラミング工数が多いランダムな傷やムラの発見に適しており、注目が集まっている。新型コロナウイルス感染症流行の影響によりPoC(概念実証)が長期化しているため、伸び率は鈍化しているものの、2021年の市場は54.8%増が見込まれる。

今後は、外観検査向けで普及が進むほか、アプリケーションに特化したライブラリを提供することで少ない学習工数かつ高い認識精度で運用できる点が受け入れられ、ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエアがけん引することで、2024年の市場は2020年比6.5倍が予測される。

2021年の単体機器は、前年比14.2%増が見込まれる。処理装置は自動化ニーズにより各品目とも好調で特に画像処理装置(筐体型)は物流関連の旺盛な需要が市場をけん引している。また、カメラは設備投資が回復に向かっていることから伸びており、産業用CIS、3Dラインプロファイルカメラなどが注目されている。

半導体不足の影響が懸念されるものの、物流関連の自動化やEV生産への設備投資増加、車載電装品など電子部品関連の需要増加によって堅調に推移し、2024年の市場は7,652億円が予測される。

2021年の検査アプリケーションは、基板実装関連でAXIがX線検査の義務化で欧州を中心に伸長している。また、設備投資増加に伴って自動車関連や食品・薬品関連が回復に向かっており、前年比11.6%増が見込まれる。

今後、自動車関連は目視検査の置き換えとして伸びるほか、農作物など食品関連は各国のHACCP導入による検査の厳格化で、また健康サプリメントの需要増加に伴う検査機器の増強などを要因として伸長し、2024年に向けて市場は拡大すると予想される。

物流・ロボティクスは新型コロナの影響によるEC市場拡大に伴う配送量の増加で、人手不足が深刻化しているため、自動化に向けた設備投資が進んでいることから、2021年は市場拡大している。

AI画像認識活用物流システムはAI活用により精度の高い仕分けやピッキングが可能であり、米州や中国を中心に導入が増加するとみられる。また、Visual SLAMは、スタートアップ企業を中心に展開され、ロボティクスや自動車関連の案件が活発化している。

2021年の観察・測定関連機器は、主に半導体や電子部品関連で伸びている。特に、共焦点レーザー顕微鏡(工業用)は、従来は測定が困難であった対象物の測定が可能となるため、需要が増えるとみられる。

今後は、EVや5G通信の普及に伴う半導体や電子部品関連の研究開発、品質管理向けの需要増加が期待され、観察・測定関連機器の導入が進むことで、2024年には2020年比37.5%増が予測される。

◆注目市場

●3Dラインプロファイルカメラ

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

140億円

110.2%

166億円

130.7%

カメラとレーザーの一体型で、光切断方式で得た複数枚の断面プロファイルから、三次元画像を結合することができる製品を対象とする。用途は、自動車関連が大半を占めるが、中国を中心に鉄道関連でも使用されている。

外資系メーカーの製品が普及している中国や欧州、米州が中心で、検査・計測における自動化ニーズや大型製品の三次元画像情報を高速に取得したいという要望が高まっているため導入が進んでいる。日本では、日系メーカーの事業本格化や外資系メーカー製品を扱う代理店の増加によって普及しつつある。2021年の市場は前年比10.2%増が見込まれる。

今後は、画像処理が2Dから3Dへ移行していくため、市場は拡大するとみられる。また、主流の自動車関連に加えて、日本や中国では鉄道関連、米州では物流関連での採用が増えており、新たな用途で需要が増えることなどから、順調な市場拡大が予想される。

●ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエア

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

180億円

156.5%

785億円

6.8倍

画像処理に特化したディープラーニングソフトウェアを対象とする。

電機・電子部品や自動車関連などに加え、食品や薬品、化粧品関連など用途が広がっている。特に、半導体・液晶関連で、現状はルールベースの画像処理技術が一般的であるが、ディープラーニング活用型と組み合わせることで、高精度かつ曖昧さを許容する外観検査システムを構築できるため、導入が増加している。現在は研究開発目的から生産ライン実装目的に移行する段階にあり、2021年は新型コロナ流行の影響によりPoCが長期化するケースもみられるが、市場は前年比56.5%増が見込まれる。

自動車関連では本格的な導入ケースもみられ、今後は学習工数の削減と様々なワークの検査に対応するライブラリの増加が普及を後押しし、2024年の市場は2020年比6.8倍が予測される。

●AXI

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

305億円

124.5%

579億円

2.4倍

実装基板の不良検知や目視が困難なクラック、異物混入などの判別に対応するX線検査装置であり、二次元透過検査に対応する2Dタイプと3D-CT検査に対応する3Dタイプを対象とする。

2021年は、X線検査の義務化への対応によって、欧州での自動車関連の導入が増加している。また、アジア地域ではスマートフォン関連や半導体パッケージで需要が高まっている。

中国ではローエンド機が中心のスマートフォン関連から、ハイエンド機が中心の車載電装関連まで幅広く需要が高まっている。日本や欧米では、車載電装や情報通信関連の需要が回復しており、検査の完全自動化に向けて普及していくとみられる。また、自動車のヘッドライトやスマートフォンのバックライトといったミニLED関連の用途が新たに加わるほか、発展途上国の5G通信関連の基地局への投資が活発化しており、全世界的に5G通信関連向けの需要が高まることから、2024年の市場は2020年比2.4倍が予測される。

●Visual SLAM

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

9億円

128.6%

19億円

2.7倍

自動車やドローンなど移動体が、搭載されたカメラなどで得られる映像をもとに自己位置推定を行うVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)のソフトウエア開発キットやソフトウエア料金、評価・開発に対するサービス料金を対象とする。

スタートアップ企業による製品開発が活発化し、市場が立ち上がった。新型コロナ流行の影響により、開発プロジェクトの遅れがみられたものの、2021年からプロジェクト再開が本格化しているため、市場は拡大が予想される。

オープンソースをベースにVisual SLAMを自社開発する企業は多いものの、開発人員の問題などからサードパーティ製品の需要が増えており、自動運転やロボットなどは自動化が進む社会において欠かせない製品であるためそれらの伸びに伴い、Visual SLAMの市場も拡大するとみられる。また、現在は日本や欧州、米州の需要が中心であるものの、中国での開発案件や参入企業も増えており、2024年の市場は2020年比2.7倍が予測される。

◆調査対象

AI・ディープラーニング応用製品

・ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエア

・産業用AI機能搭載カメラ

単体機器

処理装置

・画像処理装置(筐体型)

・3Dデジタイザ

・画像処理装置

・Embedded Visionシステム

(ボード型・ライブラリライセンス)

・製造業向けドライブレコーダー

・画像センサ

 

カメラ

・FA用エリアスキャンカメラ

・ハイパースペクトルカメラ

・FA用ラインスキャンカメラ

・マルチスペクトルカメラ

・産業用CIS

・紫外線カメラ

・3Dラインプロファイルカメラ

・産業用ToFカメラ

・赤外線カメラ

 

キーコンポーネンツ

・画像処理用LED照明

・産業用イメージセンサ

・画像処理用レンズ

 

検査アプリケーション

基板実装関連

・クリームはんだ印刷外観検査装置

・AXI

・インライン実装検査装置(リフロー前後)

自動車関連

・自動車部品外観検査装置

・タイヤ外観検査装置

・自動車ボディ塗装検査システム

 

製紙・印刷関連

・Web外観検査装置

・印刷面外観検査装置

食品・薬品関連

・飲料容器外観検査装置

・食品用X線検査装置

・文字検査装置

・食品・農作物選別機

・錠剤・顆粒剤検査装置

 

物流・ロボティクス

・ロボットビジョンシステム(2D/3D)

・Visual SLAM

・AI画像認識活用物流システム

 

 

観察・測定関連機器

・CNC画像測定機

・工業用X線検査装置

・デジタルマイクロスコープ

・非接触三次元測定機

・共焦点レーザー顕微鏡(工業用)


2022/03/10
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