PRESSRELEASE プレスリリース

第22085号

自動運転車の世界市場を調査
―レベル別自動運転車の世界市場(生産台数ベース)2045年予測―
■レベル3車両 2,847万台 …高級車が先行し、大衆車は2025年以降
■レベル4/5車両 2,051万台 …ロボタクシーや無人バスなどの商用車が先行し、乗用車は2030年以降に市場形成
―注目市場(金額ベース)2045年予測―
●LIDAR 3兆5,375億円 …自動運転レベル3以上で複数搭載が必須なため需要増加
●DMS 9,349億円 …2026年までは欧米での搭載義務化で増加、
以降はDMS ECUの統合が進み、伸びは緩やかに

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、レベル3車両が普及段階に入りつつあり、レベル4/5車両の一部実用化が進んでいる自動運転車の世界市場について調査した。その結果を「2022 自動運転・AIカー市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、自動運転車市場をレベル別、地域別に捉えるとともに、自動運転を実現するためのAI技術や自動運転に必要な自動運転制御製品6品目、コックピット関連製品7品目、セーフティ関連製品12品目の市場を把握し、自動運転・AIカー市場の将来を予想した。

◆調査結果の概要

■自動運転レベル2以上車両の世界市場(生産台数ベース)

 

2022年見込

2030年予測

2045年予測

レベル2

3,608万台

6,176万台

6,166万台

レベル3

3万台

580万台

2,847万台

レベル4/5

9万台

433万台

2,051万台

自動車事故の減少を目指した安全装備の拡充や搭載が進められており、2022年の自動運転レベル2以上の車両の市場は拡大するとみられる。

レベル3では本田技研工業が「LEGEND」を2021年にリース限定での市販を始め、以降そのほかでもレベル3の車両の発売がみられる。レベル3の自動運転システムは、高価なセンシングデバイスを多く採用しているため、高級車から搭載が進み、大衆車には2025年以降になるとみられる。また、レベル3以上は、運転主体が部分的に自動運転システムになるため、法規制や事故時の責任問題などクリアすべき課題があり、これらの課題がクリアとなってくる2030年以降、普及段階に入ると予想される。

レベル4はロボタクシーや無人バスといった商用車で先行しており、2022年は米国と中国でそれらの車両によるサービスが堅調に増加している。レベル4の乗用車発売を計画する中国メーカーも出てきているが、本格的な市場拡大は2030年以降になると予想される。

レベル5の実現には、車両側の技術向上だけでなく、インフラの整備や自動運転に対する社会的な受容性の向上など、さまざまな要素が関わってくるため、市場の形成には時間を要するとみられる。

■自動運転レベル3以上車両のエリア別市場(生産台数ベース)

 

2022年見込

2030年予測

2045年予測

日本

僅少

97万台

377万台

欧州

2万台

306万台

1,294万台

北米

5万台

278万台

1,042万台

中国

4万台

237万台

1,411万台

その他

1万台

95万台

774万台

2022年は中国と米国でレベル4のロボタクシーや無人バスといった商用車が先行しており、市場をけん引している。2025年頃にドメインコントローラーやビークルコンピューターに搭載されるビークルOSの完成を目指している自動車メーカーが多数あることから、2030年以降に本格的な市場拡大が予想される。

◆注目市場

●LIDAR

2022年見込

2030年予測

2045年予測

129億円

9,548億円

3兆5,375億円

レーザー光をパルス状に照射して物体に反射されて返ってくるまでの時間から対象物の距離や方向、属性などを測定するリモートセンシング技術の一つで、レベル2+以上の自動運転システムに採用され、高度な位置測定、対向車や歩行者などの識別、白線検知などの周辺情報検知を行う。

2021年から中国各省でLIDARを採用した自動運転システムを搭載するロボタクシーによるサービスが始まっており、新興EVメーカーもLIDARを搭載した車両を発売するなど、2022年には市場は中国を中心に129億円が見込まれる。

レベル3では、自動運転システム主体の制御を実現するためにLIDARとダイナミックマップを組み合わせて搭載する必要があり、特にレベル4/5では、自動運転システムを2重、3重にして、一つの系統に不具合があっても最低限の安全性が保てるようにすることが必須であることから、市場は大幅に拡大すると予想される。

●DMS(Driver Monitoring System)

2022年見込

2030年予測

2045年予測

664億円

5,857億円

9,349億円

車内カメラを用いてドライバーやその他乗員の状態を検知するシステムを対象とし、近赤外線カメラとDMS ECUで構成されている。自動運転のレベルごとに担う役割が異なる。レベル2では部分自動運転中にドライバーがDDT(Dynamic Driving Task)を担っていることを担保するために利用される。レベル3では、自動運転中に運転をドライバーに切り替える必要が発生した場合に、ドライバーが運転可能な状態か判断するために使用される。

欧州では2024年にDMSの搭載が義務化されるほか、北米でも2026年までに搭載が推奨されることから、市場は拡大するとみられる。一方で、2026年頃からDMS ECUがADASや自動運転系ドメインコントローラーやビークルコンピューターに統合が進み、市場の伸びは緩やかになると予想される。

◆調査対象

【自動車の自動運転レベル】

レベル0

レベル1

レベル2

レベル3

レベル4

レベル5

手動運転

運転支援機能

部分的

自動運転

条件付き

自動運転

高度自動運転

完全自動運転

【関連製品】

自動運転制御製品

 

 

・ビークルコンピューター

・自動運転用SoC/AI

・セントラルゲートウェイ

・ドメインコントローラー

制御プロセッサー

 

・TCU

・車載メモリー

 

コックピット関連製品

 

 

・セルラーモジュール

・HMI

・HUD

・受信用アンテナ

・ディスプレイ

 

・Ethernet

・ドライブレコーダー/EDR

 

セーフティ関連製品

 

 

・LIDAR

・レーダーセンサー

・慣性センサー/IMUセンサー

・センシングカメラ

・超音波センサー

・生体センサー

(単眼/ステレオ/三眼)

・DMS

・HD/ダイナミックマップ

・サラウンドカメラ

・高精度ロケーター

 

・電子ミラーシステム

・走行距離計(DMI)

 


2022/08/03
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。