PRESSRELEASE プレスリリース
― MiniLED、MicroLEDの需要が増加 ―
■化合物半導体とその関連部材・装置の世界市場 17兆8,396億円(2.6倍)
~6G通信対応やEVの本格的な普及、スマートグリッド需要の増加などにより市場拡大~
●MiniLED市場 1,559億円(5.1倍)
~LEDディスプレイ向けを中心に、TVや一部の車載ディスプレイ向けなどが市場をけん引~
●MicroLED市場 1兆1,200億円
~スマートグラスやスマートウォッチでの採用が期待され、急成長~
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、SDGsや低炭素社会の進展を背景に、それらを実現するアプリケーションでの採用が期待され、需要が増加するとみられる化合物半導体と関連部材・装置の世界市場を調査した。その結果を「2022 化合物半導体関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、光デバイスやRFデバイス、パワーデバイス関連の化合物半導体24品目と関連部材・装置19品目のほか、有望アプリケーション6品目の市場を捉え、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■化合物半導体とその関連部材・装置の世界市場
2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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化合物半導体 |
8兆2,114億円 |
129.3% |
14兆6,890億円 |
2.3倍 |
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光デバイス |
5兆1,550億円 |
129.0% |
8兆3,090億円 |
2.1倍 |
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RFデバイス |
2兆7,581億円 |
124.9% |
2兆8,350億円 |
128.3% |
関連部材・装置 |
8,339億円 |
137.8% |
3兆1,506億円 |
5.2倍 |
|
合 計 |
9兆 452億円 |
130.0% |
17兆8,396億円 |
2.6倍 |
※光デバイス、RFデバイスは化合物半導体の内数
※市場データは四捨五入している
化合物半導体市場は、本格的な成長期を迎えており、欧米を中心としたインフレやゼロコロナ政策による中国経済の成長鈍化、ウクライナ・ロシア問題の長期化など経済環境が悪化する中でも堅調な拡大がみられる。従来はSi半導体の代替という位置付けであったものの、Si半導体ではカバーしきれなかった領域での採用が始まっており、その重要性が再認識され、需要が増加している。
光デバイスは、5G通信の導入と普及による基地局やデータセンターへのインフラ投資を受けて好調なほか、次世代ディスプレイとして注目されるMiniLEDとMicroLEDの開発が活発化しており、今後の市場拡大をけん引するとみられる。RFデバイスは、5G通信普及による基地局への投資に加え、長期的には6G通信のインフラ導入により堅調な伸びが予想される。パワーデバイスは、EVのモーターやインフラの急速充電設備に採用されることから、EV市場の拡大に伴い急成長するとみられる。また、SDGsへの関心の高まりにより、スマートグリッド需要の増加が期待されるほか、衛星通信やマグネトロンなど工業分野での採用が増えるとみられる。
関連材料・装置市場は、基板やLED用シリコーン封止材、有機金属、セラミックパッケージなどで構成され、7割以上を基板が占める。基板では、EVとスマートフォンの充電器需要が増加していることからGaN on Si基板とSiC基板の需要が増えている。SiC基板の伸びが大きく、今後市場をけん引するとみられる。
◆注目市場
●MiniLED、MicroLED
|
2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
MiniLED |
657億円 |
2.1倍 |
1,559億円 |
5.1倍 |
MicroLED |
110億円 |
- |
1兆1,200億円 |
- |
合 計 |
767億円 |
2.5倍 |
1兆2,759億円 |
41.6倍 |
MiniLED、MicroLEDは次世代のLED技術・製品として注目されており、従来のLEDチップ・パッケージと比較してサイズが極めて微小となっている。2021年にMiniLED、2022年にMicroLEDの市場が本格的に立ち上がっている。今後MicroLEDが市場をけん引し、2030年には2021年比41.6倍の1兆2,759億円が予測される。
MiniLEDは、チップサイズが50μm~200μm前後およびLEDディスプレイ向けでは200μm~300μm品を対象とする。
MiniLEDは、LEDディスプレイ向けとバックライトユニット向けが中心である。LEDディスプレイ向けが、2021年時点で数量ベースでは6割以上を占めており、アプリケーション市場自体が好調なほか、高精細化に伴う搭載LEDチップ数も増加していることから引き続き伸びるとみられる。バックライトユニット向けの主なアプリケーションはTVやタブレット端末、ノートPC、車載ディスプレイなどである。2021年にタブレット端末ではApple「iPadPro」、TVではSamsung El.やLG El.など主要なメーカーから採用モデルが発売されたことから本格的に市場が立ち上がった。発色性などOLEDと比べメリットは多いものの、現状ではコストが極めて高いことからハイエンドクラスでの採用が中心となっている。今後、出荷数量の増加に伴いコストも低下していくことが予想され、中小型製品での採用も進むとみられる。中長期的にはLEDディスプレイ向けを主用途に、TVや一部の車載ディスプレイ向けなどが市場をけん引するとみられ、2030年には2021年比5.1倍の1,559億円が予測される。
MicroLEDは、チップサイズが50μm以下のRGB自発光デバイスおよび34×58μm品を対象とする。
主なアプリケーションはTVやLEDディスプレイ、スマートグラス、スマートウォッチなどである。TVはすでにSamsung El.などから採用製品が発売されており、ラインアップが増加する2022年に本格的に市場が立ち上がるとみられる。ただし、依然としてMass Transfer技術をはじめ、欠陥補正やメンテナンスなど、生産技術が発展途上であることから製造コストが極めて高い。2022年時点では、一般消費者向けではなく富裕層向けのハイエンド製品に採用されており、普及期に入るには時間を要するとみられる。LEDディスプレイはシネマスクリーンなどで採用が期待されるが、生産技術・コストの観点から本格的な採用増加には至っていない。
一方、大型と比較して生産技術・歩留まりの難易度が下がる小型ディスプレイを搭載するスマートグラスやスマートウォッチへの採用が注目されており、2023~2024年頃にそれら向けの需要が増えるとみられる。現在、競合品であるOLEDとの価格差が大きいことから普及へのハードルは高いものの、量産によるコスト低下が、市場全体を押し上げる契機になると期待され、2030年には1兆1,200億円が予測される。
◆調査対象
アプリケーション |
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・自動車 |
・データセンター |
・モバイル機器 |
・車載ディスプレイ |
・一般照明 |
・基地局 |
化合物半導体 |
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光デバイス |
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LEDパッケージ |
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・白色LEDパッケージ |
・赤外光LEDパッケージ |
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・有色LEDパッケージ |
・紫外光LEDパッケージ |
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LEDチップ |
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・GaN系LEDチップ |
・赤外光LEDチップ |
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・GaAs・GaP系LEDチップ |
・紫外光LEDチップ |
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MiniLED・MicroLED |
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・MiniLED |
・MicroLED |
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LD |
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・VCSEL |
・DFB・CW+SiPh・ITLA・IC-TROSA |
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・ファブリペロー(その他EEL、励起LDなど) |
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その他光デバイス |
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・化合物イメージセンサー(InGaAs、GeSi) |
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・化合物PD・APD |
・フォトカプラ |
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RFデバイス |
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・GaAs RF |
・GaN on SiC RF |
・次世代RF(InP、ダイヤモンド) |
・GaN on Si RF |
・SiGe RF |
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パワーデバイス |
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・GaN on Si パワー |
・次世代パワー(Ga₂O₃、GaN on GaN) |
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・SiC パワー |
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基板 |
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・サファイア基板 |
・GaN on Si基板 |
・SiC基板 |
・GaAs基板 |
・GaN on SiC基板 |
・Ga₂O₃基板 |
・GaN on GaN基板 |
・InP基板 |
・ダイヤモンド基板 |
その他部材・装置 |
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・LED用シリコーン封止材 |
・ダイボンド材 |
・基板用パッド |
・LED用エポキシ封止材 |
・有機金属 |
・ダイシング装置 |
・LED用熱可塑性リフレクター樹脂 |
・セラミックパッケージ |
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・LED用熱硬化性リフレクター樹脂 |
・基板用スラリー |
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