PRESSRELEASE プレスリリース

第22107号

ユーザーが増加するサプリメントの国内市場を調査
―2022年見込(前年比)―
■機能志向食品(サプリメント)の国内市場  1兆651億円(2.3%増)
新型コロナウイルス感染症流行の特需は落ちついたものの、定番の訴求が好調を維持
●ストレス緩和・睡眠サポート市場  164億円(24.2%増)
参入企業の注力度アップにより拡大。大手サプリメントメーカーの新規参入にも期待

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナの流行で体調管理ニーズが高まり、ヘルスケアへの意識向上によりユーザーが増加しているサプリメントの国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2023 No.1 機能志向食品編」にまとめた。この調査では訴求効能別に25カテゴリーのサプリメントを対象とし、商品の最新動向を提示したほか、種類別や成分別の特性、トレンドも分析した。さらに、懸念事項である原材料・製造コスト高騰により生じる価格改定の現状など市場への影響をカテゴリーごとにまとめた。

◆調査結果の概要

■機能志向食品(サプリメント)の国内市場

2021年

2020年比

2022年見込

2021年比

1兆 411億円

103.3%

1兆 651億円

102.3%

新型コロナ流行の影響で体調管理のニーズが高まり、2020年は市場が拡大した。2021年は一部品目で反動減も起こったが、一方で運動不足解消やコロナ太り対策で市場が盛り上がるスポーツサポートは伸びが続いたほか、抑制系/燃焼系ダイエットや脂肪・コレステロール値改善も底堅い需要がみられた。またビタミン・ミネラルなどの基礎栄養に対する需要が依然として高く、コロナ禍での健康意識の高まりが市場拡大に繋がった。

2022年は、新型コロナの流行に関連した特需は落ち着きがみられるが、サプリメントユーザーは着実に増加している。スポーツサポートは市場内の競合激化が懸念材料であるものの引き続き伸びが予想される。新しい生活様式が定着したことにより、ストレス・睡眠対策商品やアイケア商品などが好調であるほか、高齢社会のニーズに対応した骨・関節・筋肉サポート商品や認知機能サポート商品も需要が高まっており、市場は前年比2.3%増が見込まれる。

◆注目市場

●ストレス緩和・睡眠サポート

2021年

2020年比

2022年見込

2021年比

132億円

107.3%

164億円

124.2%

機能性表示食品制度の開始によってストレスの緩和や睡眠の質向上などの機能を表示できるようになったことから、市場は大幅に拡大した。新型コロナの流行に伴う生活リズムの乱れによりストレス、睡眠関連の悩みが顕在化したことで需要が増加しており、2021年は上位企業が通信販売を中心とした広告展開で実績を伸ばしたことや、新商品発売があったことから市場は前年を上回った。

2022年は上位企業が引き続き注力する方針であることに加え、新規参入の増加により、大幅な拡大が予想される。特にサプリメント最大手のサントリーウエルネスが睡眠サポート商品のテスト販売を開始したことから、今後の需要開拓が期待される。

●スポーツサポート

2021年

2020年比

2022年見込

2021年比

1,064億円

117.3%

1,164億円

109.4%

運動による身体作りを目的とした商品を対象としており、プロテインやアミノ酸が市場の多くを占める。2015年頃からプロテインブームが起こり、近年はタンパク質の重要性に関する啓発が進んだことで、スポーツシーン以外の一般消費者にも裾野が広がっている。

2021年はコロナ太り対策の追い風は減ったものの、テレビ番組での情報発信により、ライトユーザーや運動をしない消費者の獲得につながり、市場はさらに拡大した。

2022年は、プロテインブームによって、女性などライトユーザーの獲得が続いており、市場は前年比9.4%増が見込まれる。ブームによってゼリー飲料などのドリンク類(市場対象外)でもタンパク補給食品が多く発売されていることから、サプリメントとの相乗効果を発揮している。

懸念材料として、新規参入の増加によって競合が激化しており、企業によっては近年の伸びの反動で苦戦が見られること、世界的なホエイ原料の高騰により2022年は値上げが相次いでいることなどが挙げられる。

●抑制系/燃焼系ダイエット

2021年

2020年比

2022年見込

2021年比

384億円

106.1%

433億円

112.8%

脂肪の分解、燃焼、吸収抑制等を訴求する商品を対象とする。サプリメントは食事制限を必要とせず、ダイエットができるという手軽さで需要を獲得してきた。近年はダイエット手法の多様化による需要分散の影響も見られるが、サプリメントの手軽さへのニーズは依然として底堅い。

2020年はコロナ太り対策需要が生まれ、通信販売を中心に好調だったことで市場は大きく拡大した。2021年はコロナ太り対策の需要は落ち着いたが、機能性表示食品の新興ブランドが急激に実績を伸ばし、市場をけん引したことから、引き続き前年を上回った。2022年も新興ブランドが積極的な広告投資で大幅に伸びるとみられ、市場も二桁増が見込まれる。

ダイエットをコンセプトとした商品設計やダイエット訴求の強い商品が対象であるが、近年優良誤認などの問題から広告の表現規制が強まっているため、対策として生活習慣病予防訴求を強めた商品設計で展開する企業が増加している。ダイエット(痩身)とメタボ対策(生活習慣病予防)を広告媒体によって使い分ける、需要に合わせてコンセプトやコミュニケーションを変化させる、など手法を変化させるケースが増加するとみられる。

●認知機能サポート

2021年

2020年比

2022年見込

2021年比

265億円

120.5%

278億円

104.9%

2015年の機能性表示食品制度の導入以降、多数の商品が発売された。上位企業がインフォマーシャルなどの積極的なプロモーションを行うことによって認知度が向上し、高齢者の増加や認知症予防ニーズの高まりもあって、市場は順調に拡大してきた。2021年も上位企業が積極的な広告展開を行って好調だったことに加え、新商品発売も相次いだことから市場は前年比約20%増と大幅な拡大となった。

2022年3月に認知機能関連の機能性表示食品を展開する115社の広告表示に対し、消費者庁から改善指導が行われ、市場に参入するほぼ全社の機能性表示食品が表示の見直し及び広告出稿の削減を余儀なくされた。この影響から2022年は前年比4.9%増と伸びが抑制されるとみられる。

現在広告などの表現の厳格化が求められており、効果的な訴求効果の表示ができるかが、市場の拡大に向けた課題の一つである。一方で高齢者人口の増加に伴い、認知機能サポートへの意識は今後も高まることが予想され、参入企業の注力度も高いことから市場は拡大が続くとみられる。

◆調査対象

機能志向食品(サプリメント)

1.滋養・強壮

ローヤルゼリー、ニンニク、高麗人参、スッポン、マカ、深海鮫エキス、他

2.肝機能改善

ウコン、オルニチン、カキ肉エキス、肝臓エキス、他

3.美容効果

コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、アスタキサンチン、セラミド、他

4.整腸効果

アロエ、プルーン、ビフィズス菌、乳酸菌、食物繊維、他

5.食事代替ダイエット

カロリー調整食品、酵素系カロリー調整食品

6.抑制系/燃焼系ダイエット

L-カルニチン、サラシア、ギムネマ酸、他

7.その他ダイエット

酵素、食物繊維・マンナン、他

8.スポーツサポート

プロテイン、アミノ酸、他

9.脂肪・コレステロール値改善

DHA・EPA、ナットウキナーゼ、レシチン、他

10.血糖値改善

サラシア、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、他

11.高血圧予防

サーデンペプチド、ラクトトリペプチド、他

12.認知機能サポート

DHA・EPA、イチョウ葉、他 

13.その他生活習慣病予防

黒酢・香醋、もろみ酢、アンセリン、ルテオリン、他

14.抗酸化・抗加齢

核酸、酵素、ゴマエキス、コエンザイムQ10、レスベラトロール、ポリフェノール、他

15.血行促進

ビタミンE、生姜、シトルリン、モノグルコシルヘスペリジン、ヒハツ由来ピペリン類、他

16.免疫対策

乳酸菌類、プロポリス、アガリクス、霊芝、β-カロチン、エキナセア、甜茶、他

17.基礎栄養チャージ

プロテイン、アミノ酸、他

18.骨・関節・筋肉サポート

グルコサミン、コラーゲン、カルシウム、アミノ酸、他

19.貧血予防・改善

非ヘム鉄、ヘム鉄

20.オーラルケア

植物抽出エキス、乳酸菌類、シャンピニオンエキス、他

21.アイケア

ルテイン、ブルーベリー、カシス、アスタキサンチン、他

22.ビタミン・ミネラルチャージ

マルチビタミン・ミネラル、ビタミンC、マルチビタミン、マルチミネラル、ビタミンB群、亜鉛、他

23.ホルモンバランス

大豆イソフラボン、ノコギリヤシ、ガウクルア、ザクロ、他

24.ストレス緩和・睡眠サポート

グリシン、GABA、テアニン、セントジョーンズワート、他

25.グリーンチャージ

青汁(大麦若葉、ケール、その他)、ミドリムシ(ユーグレナ)、クロレラ、野菜粒、スピルリナ、他

*富士経済H・Bフーズの定義

H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。

 

*同H・Bフーズの分類

全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。

さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。

(1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載)

●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。

●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤型は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。

(2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載)

●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。

●ドリンク類:明らか食品で飲料分野に属するものは、(医薬品/新・医薬部外品のドリンク剤と区分するために)本調査では「ドリンク類」と呼称する。

 

*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係

特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。


2022/10/17
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