PRESSRELEASE プレスリリース
■グリーン電力の国内市場 2兆2,375億円 (13.5倍)/1,011億kWh (8.5倍)
環境価値証書の活用が増え、拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、2050年カーボンニュートラル宣言を契機にニーズが高まっている、グリーン電力の国内市場を調査した。その結果を「発電~調達~小売に至るグリーン電力市場の全体像・将来予測調査 2023」にまとめた。
この調査では、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電されたグリーン電力の市場の最新動向を発電・需要両面から包括的に捉え、現状と将来を分析した。
◆調査結果の概要
■グリーン電力の国内市場
グリーン電力小売(環境価値証書の活用、非FIT再エネ電力の小売)と太陽光発電PPAサービス(PPAモデル、リース)を対象とし、金額には再エネ賦課金および消費税は含まない。
グリーン電力小売は、法人向けが中心であり、特別高圧が大部分を占めている。需要家は製造業や小売・流通などの大企業、自治体や官公庁などが多く、それらの電力需要に対して部分的な活用が多い。2023年度に省エネ法改正が施行予定であり、年間エネルギー使用量が原油換算で1,500kl以上の事業者(およそ1.2万社)は再エネ導入の目標策定が義務化されることから、採用拡大の追い風になるとみられる。RE100加盟企業を中心に、2030年度もしくは2035年度のグリーン電力導入を目標として掲げる企業が多く、中長期的にグリーン電力の活用が進むとみられる。また、2050年度にCO2排出実質ゼロを表明する自治体も増えており、今後は電力入札を通じた調達も増えていくとみられる。
なお、グリーン電力小売では、非化石証書やグリーン電力証書、Jクレジットなど環境価値証書を活用しCO2フリーの電源からの供給とみなすもの、再エネ電源で発電した電力のみの小売メニューを契約するものの二通りがある。2021年11月にFIT非化石証書の最低価格が大幅に引き下げられ、各種環境価値証書の中で最安値となったことから、2022年度にはFIT非化石証書の活用が急増している。将来的には、再エネ発電量と環境価値ニーズの増加により、環境価値証書化とグリーン電力の活用が進み、市場拡大が予想される。
太陽光発電PPAサービスは、住宅向け(低圧電灯)が中心であり、次に、非住宅の高圧の比率が高い。今後、住宅向けでは太陽光発電システムの設置義務化が進むとみられ、初期費用を抑えた導入手法としてPPAが定着し、市場拡大が予想される。
2035年度のグリーン電力市場は、金額ベースで2021年度比13.5倍の2兆2,375億円、数量ベースで同8.5倍の1,011億kWhが予測される。グリーン電力小売における価格は電力料金価格に連動することから、電力料金の上昇に伴い、金額ベースの伸びが数量ベースの伸びを上回るとみられる。一方、太陽光発電PPAサービスは、太陽光発電システムのコスト低下に伴い、今後も販売電力の単価下落が予想されることから、金額ベースよりも数量ベースの伸びが高くなるとみられる。
◆調査対象
グリーン電力市場 |
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・ グリーン電力小売 |
・太陽光発電PPAサービス |