PRESSRELEASE プレスリリース
■健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の国内市場 1兆6,026億円(4.7%増)
ストレス緩和・睡眠サポートや脂肪・コレステロール値改善がけん引
●ストレス緩和・睡眠サポート市場 562億円(81.9%増)
「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)の大ヒットと新規参入で大幅拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、健康維持や予防意識が高まり、ヒット商品も登場して活性化する健康志向食品の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2023 No.2 健康志向食品編」にまとめた。この調査では訴求効能別に26カテゴリーの明らか食品とドリンク類を対象とし、商品の最新動向を提示したほか、種類別や成分別の特性、トレンドも分析した。さらに、懸念事項である原材料・製造コスト高騰により生じる価格改定の現状など市場への影響をカテゴリーごとにまとめた。
◆調査結果の概要
■健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の国内市場
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
1兆5,311億円 |
102.4% |
1兆6,026億円 |
104.7% |
2021年の市場は前年比2.4%増の1兆5,311億円で、2年ぶりに前年を上回った。新型コロナウイルス感染症流行を受けた自粛生活によるコロナ太り対策需要が継続したことから、脂肪・コレステロール値改善が好調を維持した。コロナ禍で健康維持や感染症などへの予防意識も高まり、ストレス緩和・睡眠サポートや基礎栄養チャージも伸びた。
2022年は「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)がメディアで多く取り上げられ、生産能力増強などの対応が取られるほどのヒット商品となった。これらの商品がけん引してストレス緩和・睡眠サポートは前年に続き大幅に拡大するとみられる。また脂肪・コレステロール値改善は、大手飲料メーカーが注力度を高めていることや、機能性表示食品の新商品が活発に発売されていることから二桁増になるとみられ、健康志向食品の市場は前年比4.7%増の1兆6,026億円が見込まれる。
◆注目市場
●ストレス緩和・睡眠サポート
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
309億円 |
191.9% |
562億円 |
181.9% |
2021年は、コロナ禍でストレス緩和や、睡眠の質向上ニーズの高まりを受けて新規参入や新商品の発売が活発であった。ヤクルト本社が訪問販売専用の「Yakult1000」を全国展開し、さらに店頭販売用の「Y1000」を発売し、ヒット商品となったことで市場をけん引した。
2022年春にこの二商品がメディアで取り上げられて話題を呼び、品薄になるほどの爆発的なヒット商品となり、生産能力の増強を進めているが、需要に供給が追い付かない売れ行きとなっている。同商品の認知が向上することにより、市場の注目度が高まって新規参入が相次いでおり、市場は前年比2倍近く拡大するとみられる。
●脂肪・コレステロール値改善
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
2,383億円 |
103.5% |
2,759億円 |
115.8% |
2019年秋に「お~いお茶 濃い茶」(伊藤園)が機能性表示食品にリニューアルされて市場に加わったことや、コロナ太り対策の一つとして、“体脂肪を減らす"などのヘルスクレームを表示した機能性表示食品の需要が増えたことにより、2020年の市場は拡大した。2021年は消費者の健康志向の高まりと家飲み機会の増加がマッチして、機能性表示食品のノンアルコールビール・ドリンクの需要が高まったことや、調味料や飲料など幅広い食品で脂肪・コレステロール値改善の新商品が活発に発売されたことにより拡大した。
2022年は「お~いお茶 濃い茶」が続伸し、特定保健用食品の「伊右衛門 特茶」(サントリー食品インターナショナル)も、同社が拡販に注力したことで回復しつつあるほか、「サントリー烏龍茶 OTTP」が機能性表示食品になったことでラインアップが強化された。他にも大手メーカーから新商品が発売されていることから市場は15.8%増の2,759億円が見込まれる。
●基礎栄養チャージ
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
865億円 |
118.2% |
935億円 |
108.1% |
基礎栄養の摂取や低栄養補助を目的とする食品が対象であり、形状ではブロック・バーやゼリー飲料などが主体である。
2021年はプロテインブームによってタンパク質補給を訴求した商品が多く発売された。また完全栄養食が広がりはじめ、大手コンビニエンスストア(CVS)で採用されたことや、新型コロナワクチンの副反応対策としてゼリー飲料の需要が高まったこともあり、市場は前年比18.2%増の865億円となった。
2022年はプロテインブームで急増したタンパク質補給食品の競合が激化し、一部で商品の淘汰が見られる。しかし、人流の増加でCVSの集客力が回復し、ゼリー飲料が好調であることや、話題性の高い完全栄養食の新規参入や新商品発売が増加していることから、市場は前年比8.1%増の935億円が見込まれる。
◆調査対象
健康志向食品(明らか食品、ドリンク類) |
|
1.滋養・強壮 | ビタミン、高麗人参、マカ、ローヤルゼリー、他 |
2.肝機能改善 | ウコン、肝臓エキス、オルニチン、カキ肉エキス、他 |
3.美容効果 | コラーゲン、プロテオグリカン、セラミド、プラセンタ、他 |
4.整腸効果 | 乳酸菌、ビフィズス菌、食物繊維、アロエ、乳酸菌・ビフィズス菌複合、オリゴ糖、プルーン、他 |
5.食事代替ダイエット | カロリー調整食品 |
6.その他ダイエット | 食物繊維・マンナン、新甘味料、他 |
7.スポーツサポート | プロテイン、アミノ酸、他 |
8.脂肪・コレステロール値改善 | 茶カテキン、難消化性デキストリン、乳酸菌類、ローズヒップ由来ティリロサイド、黒酢・香醋、ウーロン茶重合ポリフェノール、大豆たんぱく質、植物ステロール、DHA・EPA、中鎖脂肪酸、他 |
9.血糖値改善 | 難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、イソマルトデキストリン、他 |
10.高血圧予防 | ゴマペプチド、GABA、α-リノレン酸、酢酸、ラクトトリペプチド、他 |
11.認知機能サポート | GABA、βラクトリン、テアニン、茶カテキン、イチョウ葉、他 |
12.その他生活習慣病予防 | 黒酢・香醋、乳酸菌類、もろみ酢、他 |
13.抗酸化・抗加齢 | カカオポリフェノール、核酸、酵素、他 |
14.血行促進 | 生姜、モノグルコシルヘスペリジン、ビタミンE、他 |
15.免疫対策 | 乳酸菌類、プロポリス、アガリクス、霊芝、β-カロチン、他 |
16.基礎栄養チャージ | プロテイン、糖質、アミノ酸、他 |
17.骨・関節・筋肉サポート | グルコサミン、カルシウム、大豆イソフラボン、他 |
18.覚醒効果 | カフェイン、メントール |
19.貧血予防・改善 | 非ヘム鉄、ヘム鉄 |
20.喉の不快感除去 | 複合、ハーブ・ミント系、メントール系 |
21.オーラルケア | キシリトール、クロロフィル系、ハーブ・ミント系、ユーカリ抽出物、リカルデント、フラボノ系、他 |
22.アイケア | ブルーベリー、ルテイン、他 |
23.ビタミン・ミネラルチャージ | ビタミンC、マルチビタミン、マルチミネラル、他 |
24.ホルモンバランス | ザクロ、大豆イソフラボン、クランベリー、他 |
25.ストレス緩和・睡眠サポート | 乳酸菌、GABA、テアニン、他 |
26.グリーンチャージ | 青汁、ミドリムシ(ユーグレナ)、他 |
*富士経済H・Bフーズの定義 H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。
*同H・Bフーズの分類 全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。 さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。 (1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載) ●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。 ●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤型は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。 (2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載) ●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。 ●ドリンク類:明らか食品で飲料分野に属するものは、(医薬品/新・医薬部外品のドリンク剤と区分するために)本調査では「ドリンク類」と呼称する。
*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係 特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。 |