PRESSRELEASE プレスリリース
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、2013年頃から米国で広がり、日本でも新型コロナウイルス感染症の流行を背景とした栄養摂取意識の高まりや小売店への展開による認知の広がりなどから拡大している、完全栄養食の国内市場を調査した。その結果を「変革期を迎える完全栄養食の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、拡大の兆しをみせる完全栄養食について、商品展開や技術開発の進展、参入各社の取り組みなどを分析することにより、市場の現状を捉え、将来を予想した。
◆調査結果の概要
■完全栄養食市場
2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
144億円 |
2.3倍 |
546億円 |
8.5倍 |
完全栄養食は2013年頃に米国から広がり、日本では2016年に市場が立ち上がったが、ベンチャー企業による参入が大半であり、市場は小規模で推移した。2019年には日清食品が参入したことで話題となったが、メインチャネルがECであり、プロモーションも限定的だったことから、一般消費者への浸透は進まず、需要は新しい物好きなど一部の層にとどまっていた。
しかし、新型コロナの流行を背景とした栄養摂取意識の高まりによって2020年、2021年と市場は拡大した。2021年末頃からのベースフードによるCVSなど小売店への全国展開、2022年の日清食品による新ブランド「完全メシ」の発売により、一般消費者の認知が急速に広がっており、2022年の市場は前年比2.3倍の144億円が見込まれる。
健康意識の高まりから、健康食品でのビタミン・ミネラルなど基礎栄養摂取への再評価やプロテインブームによるたんぱく質摂取が進んでおり、“完全栄養"という訴求がフックとなって、健康意識の高い消費者に加え、漠然と健康を気にしている層の需要を獲得している。
チャネル別では通信販売の比率が高いものの、2022年はベースフードと日清食品がけん引することでCVSや量販店など小売店の比率が3割を超えるとみられる。商品別では、パンや麺、米飯など主食を完全栄養食とした商品が、粉末や飲料と比較して1食の食事と置き換えやすく、抵抗感が低いこともあり、需要を取り込んでいる。
ベースフードや日清食品が、フレーバー展開や商品カテゴリーの強化などラインアップの拡充に意欲的であり、引き続き活発な商品展開やプロモーション展開が予想される。また、認知向上により多様な商品カテゴリーで新規参入が期待されており、完全栄養食が食の新たな選択肢として定着していくことで、2030年の市場は2021年比8.5倍の546億円が予測される。
◆調査対象
完全栄養食 |
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・主食(パン/麺/米飯) |
・粉末 |
・飲料 |
・その他 |
完全栄養食の定義 |
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■厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」や「栄養素等表示基準値」などの基準をもとに1日に必要な栄養素を1/3以上含む、もしくはカロリー当たりの配合量が基準値を上回り、全般的な栄養摂取や完全栄養であることを訴求した加工食品を対象とする。 |
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完全栄養食の栄養素設計 |
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1/3日基準型 :1食分の置き換えを主とし、1食換算の栄養素が1日に必要な栄養素の1/3となるように設計されている商品 |