PRESSRELEASE プレスリリース
■代替タンパク商品の世界市場 6兆5,000億円(4.0倍)
植物系が拡大をけん引、微生物発酵系や昆虫系も大きく伸長
●植物系 4兆円(3.3倍)
風味や食感など肉の再現性向上や分子農業など新技術を用いた展開によって市場拡大
●微生物発酵系 8,000億円(13.3倍)
2025年まではマイコプロテイン由来が先行、中期的には精密発酵由来の代替タンパク商品も普及
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、世界的な人口増加などによってタンパク質の需給バランスが崩れるプロテインクライシスや環境対応、食生活の多様化といった背景から注目が集まる代替タンパク商品の世界市場を調査した。その結果を「2023年版 プロテインクライシスを救う“代替タンパク源生産技術・市場"の最新トレンド」にまとめた。
この調査では、代替タンパク商品を、植物系、藻類系、昆虫系、微生物発酵系、細胞培養系の原料別に分け、それぞれの市場を明らかにし、将来を展望した。また、代替タンパク生産に関する最新技術開発動向や注目参入メーカー15社の事業展開動向、グローバルで急増する参入メーカー270社の基礎情報についても整理した。
◆調査結果の概要
●代替タンパク商品の世界市場
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2022年 |
2030年予測 |
2022年比 |
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全体 |
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1兆6,400億円 |
6兆5,000億円 |
4.0倍 |
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植物系 |
1兆2,000億円 |
4兆 円 |
3.3倍 |
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微生物発酵系 |
600億円 |
8,000億円 |
13.3倍 |
※植物系と微生物発酵系は、全体の内数
プロテインクライシスや、畜産や養殖に膨大な量の飼料や水資源が求められること、地球温暖化の一因とも指摘される耕作地や牧草地の確保を目的とする森林破壊、家畜が放出するメタンガスなどの問題を背景に、サスティナブルな食糧生産に注目が集まっている。加えて、ベジタリアンやヴィーガンの増加や、食生活の多様化などを背景として代替タンパク商品市場は拡大している。2022年の市場は1兆6,400億円となった。
代替タンパク商品を原料別でみた場合、最も市場が大きいのは植物系で、藻類系、昆虫系、微生物発酵系、細胞培養系が続く。今後も、植物系が市場拡大をけん引するが、微生物発酵系や昆虫系も大きく伸長するとみられる。また、再生医療などで用いる技術を応用した「培養肉」として注目される細胞培養系は2025年までには市場が立ち上がり、2030年以降に本格化が予想される。代替タンパク商品は、スタートアップを中心とした参入メーカーによって生産・販売体制の構築や商品開発、コストダウンの取り組みなどが積極的に進められており、2030年の市場は2022年比4.0倍の6兆5,000億円が予測される。
大豆やエンドウ豆などを用いる植物系は、味、香り、食感、見た目など「肉らしさ」を再現するための技術開発が進められており、Beyond MeatやImpossible Foodsなどの大手代替肉メーカーが展開する代替肉商品が北米市場を中心に販売されている。さらに、代替乳や代替魚介、代替卵など肉だけにとどまらない展開もみられ、2022年の市場は1兆2,000億円となった。国内では、豆腐ハンバーグに加え、大豆ミートがハンバーグやソーセージ、ナゲットなどに使用されており、食品メーカーから多様な代替肉商品が販売されている。
今後は、短期的には、参入メーカー増加や欧州、アジアなど新興国での販売強化により市場の伸びが予想される。中期的には、風味や食感など肉の再現性向上や分子農業など新技術を用いた展開などによって市場は拡大するとみられる。また、国内でも健康志向の高い消費者に加えライトな消費者の獲得や、食糧危機、サスティナブルに対する意識の向上で需要が増加するとみられる。
微生物発酵系は、欧米が市場の中心である。Meati FoodsやQuorn Foodsなどのメーカーが菌糸体由来のタンパク質であるマイコプロテインを商品化している。また、The Every CompanyやPerfect Dayは、卵白タンパク質や乳タンパク質を、遺伝子組み換えした微生物の発酵作用で得る精密発酵で生産しており、これらを使用した商品を、欧米を中心に展開するなど動きが活発化している。2022年の市場は600億円となった。
今後は、当面は加工性が高いマイコプロテインを中心に代替肉や代替魚介の商品化が進むとみられる。国内でも、キノコ菌糸体を由来とするマイコプロテインの代替肉が2024年にまでに販売され、市場が本格化すると予想される。中期的には、精密発酵由来のタンパク質が代替乳や代替卵商品の原料として普及するとみられるため、2030年の市場は2022年比13.3倍の8,000億円が予測される。
◆調査対象
代替タンパク商品 |
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・植物系 |
・昆虫系 |
・細胞培養系 |
・藻類系 |
・微生物発酵系 |
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ケーススタディ |
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国内外注目参入メーカー15社 |
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基礎情報 |
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国内外参入メーカー270社 |