PRESSRELEASE プレスリリース

第23101号

パン&スイーツの国内市場を調査
― 2023年見込(前年比) ―
■パン市場 3兆1,071億円 (3.0%増)
流通パンがけん引。弁当やスイーツの代替需要により、菓子パンや惣菜パンが好調
■スイーツ市場 1兆6,332億円 (2.2%増)
スイーツショップがけん引。プチ贅沢需要、クリスマスケーキなどの催事需要獲得

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、弁当やスイーツなどの代替需要により好調なパン、プチ贅沢需要により本格志向商品が好調なスイーツの国内市場を調査した。その結果を「パン&スイーツ市場の全貌・課題分析 2023」にまとめた。

この調査では、パン&スイーツ市場を種類別、チャネル別に現状を把握し、将来を予想するとともに、注目市場やトレンドの分析を行った。

◆調査結果の概要

●パンのチャネル別国内市場(小売ベース)

 

2022年

2021年比

2023年見込

2022年比

流通パン

1兆8,455億円

103.4%

1兆9,060億円

103.3%

ベーカリーパン

4,149億円

97.0%

4,149億円

100.0%

外食パン

7,549億円

106.4%

7,862億円

104.1%

合 計

3兆 153億円

103.2%

3兆1,071億円

103.0%

量販店やCVSでの販売が中心の流通パン、焼き立てパンをメインに販売するベーカリー、ハンバーガーやサンドイッチ、ドーナツショップ、コーヒーショップといった外食でのパンメニューを対象とする。

2020年は、巣ごもり需要や外食でのテイクアウト・デリバリー需要の獲得により好調だった一方、CVSの苦戦、ベーカリーや外食店の休業・営業時間短縮などにより市場は一時的に縮小した。2022年は、ベーカリーでは食パン専門店の閉店が相次いだものの、人流が回復したことによる外食でのイートインの伸び、流通パンでも自宅外で喫食されることが多い菓子パンや惣菜パンの好調などにより拡大し、市場は3兆円を超えた。

2023年は、ベーカリーパンでは付加価値商品の投入や百貨店ベーカリーの回復により、流通パンは7月の再値上げによる単価上昇に加え、経済性がよいことから菓子パン、惣菜パンを中心に好調であり、引き続き市場は拡大するとみられる。

低価格商品へ需要が集中する傾向にあり、流通パンでは食パンで200円以内、量販店インストアベーカリーでは300円以内が消費者の購入の目安となっている。弁当やパスタなど他の主食と比較して経済的といった観点から、需要流入が期待できる。また、2023年は鶏卵不足などによりスイーツの価格が上昇する中、ドーナツなどが代替需要を捉えている。

なお、パンにおける健康を軸とした付加価値商品としては、これまで全粒粉入りや減塩などが中心だったが、完全栄養食が新たな健康訴求商品として定着が期待される。

●スイーツのチャネル別国内市場(小売ベース)

 

2022年

2021年比

2023年見込

2022年比

流通スイーツ

5,846億円

101.7%

5,770億円

98.7%

スイーツショップ

9,130億円

104.7%

9,478億円

103.8%

外食スイーツ

1,002億円

113.2%

1,084億円

108.2%

合 計

1兆5,978億円

104.1%

1兆6,332億円

102.2%

量販店やCVSでの販売が中心の流通スイーツ、洋菓子や和菓子などのスイーツショップ、ファミリーレストランやコーヒーショップ、回転ずしといった外食でのスイーツメニューを対象とする。

2020年は、流通スイーツで巣ごもり需要によりアソートタイプのシュークリーム、2個入のBOXケーキなど複数個入りのファミリー向け商品が好調だったものの、単価の高いスイーツショップや外食での落ち込みが大きく、市場は前年比二桁近く縮小した。2021年、2022年と流通スイーツの続伸、自家需要の安定と贈答需要回復によるスイーツショップの伸び、催事予約ケーキといった高単価商品の旺盛な需要などにより、2022年の市場はコロナ前の規模を上回った。

2023年は、鳥インフルエンザの感染拡大に起因する鶏卵不足により、流通スイーツではシュー、プリン、どら焼き、カステラなど多くの商品で休売や出荷調整がみられるが、スイーツショップではプチ贅沢需要に加え、クリスマスケーキを中心とした催事需要獲得、外食ではコーヒーショップや回転ずしでスイーツメニュー強化を進めており、市場は拡大が予想される。

原料価格高騰や鶏卵不足などによる値上げから、値ごろ感を訴求している流通スイーツの需要減退が顕著であり、マリトッツォや生ドーナツなどがヒットした菓子パンなどへの需要シフトがみられる。一方、価格改定などが実施されているものの、スイーツショップの需要は堅調であり、流通スイーツでも、ショコラティエコラボや有名パティシエ監修のケーキなどの本格志向商品は比較的好調である。

●スイーツの種類別動向(小売ベース)

 

2023年見込

2022年比

全体

1兆6,332億円

102.2%

 

チルド洋菓子

6,572億円

100.6%

 

ドライ洋菓子

3,698億円

104.6%

 

和菓子

4,235億円

101.8%

※チルド洋菓子、ドライ洋菓子、和菓子は全体の内数

チルド洋菓子はケーキやシュー・エクレア、プリン・ゼリーなどを対象とし、市場はスイーツ全体の4割程度を占める。2023年は、鶏卵不足により、シュークリームは、CVSでの新商品の投入制限、量販店での特売頻度の減少など、流通スイーツを中心に影響がみられたことから、シュー・エクレアは4%近い減少が予想される。このほか、プリン、クレープなどの減少もあり、価格改定やケーキの堅調な需要などから市場は拡大するものの、伸びは小幅とみられる。

ドライ洋菓子はバウムクーヘン、ドーナツといった焼き菓子・半生菓子などを対象とし、市場はスイーツ全体の2割程度を占める。2023年は新型コロナによって大きく落ち込んだ贈答需要や手土産需要などが回復し、スイーツ市場の拡大をけん引するとみられる。

和菓子は団子やまんじゅうといったドライ和菓子とチルド和菓子を対象とする。メインユーザーの高齢化やフォーマルギフトの需要低迷などにより以前から縮小しており、2020年には市場が大きく縮小した。2021年以降は高い伸びで回復に向かっているが、2023年は鶏卵不足によりどら焼きやカステラの出荷に影響が出ているため、伸びは鈍化するとみられる。

◆注目市場

●催事予約ケーキ(小売ベース)

2022年

2021年比

2023年見込

2022年比

653億円

104.0%

667億円

102.1%

クリスマスを主軸とした、ひな祭りやこどもの日など催事向けの予約ケーキを対象とする。

世帯の少人数化、少子化を背景とした小型商品の需要増加に伴う単価下落、予約不要のカットケーキなど他品目への需要流出などにより、2019年まで市場は縮小していた。2020年は、コロナ禍により家庭でイベントを楽しむ頻度が増えたことから、市場は拡大に転じ、2021年、2022年とスイーツショップが好調である。2023年はクリスマスイブが日曜日であることから旺盛な需要が想定され、引き続きスイーツショップがけん引することで市場は拡大が予想される。

◆調査対象

パン

種類別

・食パン  [食パン、バラエティ食パン]

・テーブルパン  [ロールパン、クロワッサン、バゲット・バタール・パリジャン・クッペ、イングリッシュマフィン、  フォカッチャ、スティックパン、ベーグル、塩パン、その他]

・惣菜パン  [カレーパン、ハム・ソーセージ入り、フライ入り、焼そばパン、ピザ・ピザパン、サンドイッチ・バーガー、その他]

・菓子パン  [デニッシュ、蒸しパン、フィリング(包あん)タイプ、メロンパン、ベーカリースイーツ、ドーナツ、パイ、その他]

・チルドパン  [チルドサンドイッチ・バーガー、その他]

チャネル別

流通パン  [量販店、CVS、ドラッグストア、その他]

・ベーカリー  [オーブンフレッシュベーカリー、量販店インストアベーカリー、百貨店ベーカリー、食パン専門店]

・外食  [ハンバーガーショップ、宅配ピザ、ドーナツショップ、サンドイッチショップ、コーヒーショップ]

スイーツ

種類別

・チルド洋菓子  [ケーキ、タルト、ロールケーキ、催事予約ケーキ、シュー・エクレア、プリン・ゼリー類、クレープ・ワッフル類、その他チルド洋菓子、カップ入りデザート]

・ドライ洋菓子  [バウムクーヘン、パウンドケーキ、ドーナツ、その他焼き菓子・半生菓子、その他ドライ洋菓子]

・ドライ和菓子  [ようかん・水ようかん、まんじゅう、大福・団子・最中、どら焼き、カステラ、あんみつ・みつ豆・ぜんざい、鯛焼・今川焼・人形焼、その他ドライ和菓子]

・チルド和菓子  [チルド和菓子、カップ入り和菓子]

・その他菓子

チャネル別

・流通スイーツ  [量販店、CVS、ドラッグストア、その他]

・スイーツショップ  [洋菓子店、和菓子店、百貨店スイーツショップ]

・外食  [コーヒーショップ、回転ずし、ファミリーレストラン]

注目市場

・業務用冷凍パン生地

・業務用焼成済・

半焼成済冷凍パン

・市販用冷凍パン

・市販用冷凍洋菓子

・ロングライフパン

トレンド分析

・チャネル分析

・売り場分析

・間食市場

・完全栄養食(パン)市場


2023/09/14
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