PRESSRELEASE プレスリリース
■バーチャルPPAサービスの国内導入件数 600件
2030年度以降環境価値の取得方法として導入が広がり急速に拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、運用面での自由度の高さや既存の電力契約を変更することなく環境価値を取得できるため注目されているバーチャルPPAサービスの市場を調査した。その結果を「次世代の脱炭素ソリューションとして導入拡大が予想されるバーチャルPPAサービスの現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、バーチャルPPAサービスの導入状況、出力の現状を調査し将来を展望した。また、サービス提供事業者と、需要家(導入企業)の事例からビジネスモデルやサービスを展開する上での課題を整理した。
バーチャルPPA
Virtual Power Purchase Agreementの略で、日本語では仮想電力購入契約。PPAは発電事業者と需要家による直接の電力売買契約を意味する。PPAは需要家の敷地内に建設した発電所を活用するオンサイトPPAと、需要家の敷地外の発電所から電力を調達するオフサイトPPAがある。
オフサイトにはフィジカルPPAとバーチャルPPAがある。フィジカルPPAでは需要家が再生可能エネルギーを発電事業者から購入する場合、電力と環境価値が付与される。一方バーチャルPPAは環境価値のみを買い取る仕組みである。需要家は発電事業者との間で価格(固定価格)等を取り決め、証書を受け取るが、実際の電力は電力市場や電力会社などから供給される。電気代は固定価格と実際の市場価格との差額を精算する。海外ではGAFAなどのテック企業や大手グローバル企業を中心に導入が広がっている。
◆調査結果の概要
■バーチャルPPAサービスの国内導入件数
国内では2022年度からバーチャルPPAが導入できるようになり、2023年度時点では脱炭素経営に意欲的な一部の企業が導入している。現状、RE100(企業が事業での使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す)達成に向けて、フィジカルPPA(電力と環境価値を一緒に取引する)で調達しきれない電力を補う目的で導入されることが多い。国内ではまずフィジカルPPAの導入が広がり、バーチャルPPAの導入件数は、2025年度ごろまでは年に数件ずつの増加が予想される。
契約で事前に電気の固定価格を定め、実際の市場価格との差額を精算する仕組みであるため、商品先物取引法のデリバティブ取引に該当し、会計処理上の課題があることが導入拡大の障壁であった。しかし、経済産業省の検討で、いくつかの条件に該当すれは商品先物取引法の適用はないとの結果が示された。また、現在業界団体では会計上の課題についてガイドラインの作成が進められており、2024年度にも発表されるとみられるため、導入促進の後押しになることが期待される。
2030年度以降、多くの企業がバーチャルPPAを導入して再生可能エネルギーの導入割合を増やす段階に移行するとみられ、市場は大幅な拡大が予想される。現状は1案件ごとの導入量は5MW程度であるが、今後は大規模な導入も予想され、2040年度には導入件数は600件、出力も3万MWに達すると予測される。
◆調査対象
対象サービス |
・バーチャルPPA |
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調査対象企業 |
・サービス提供事業者3社 |
・ユーザー企業3社 |