PRESSRELEASE プレスリリース
■パワー半導体 7 兆7,757 億円(2.4 倍)
次世代パワー半導体が電動車の普及、民生機器などへの採用増加で大きく伸長
●SiC パワー半導体 3 兆1,510 億円(8.1 倍)
電動車の増加に伴い採用が増加。将来的には価格下落で自動車以外の採用も広がる
●酸化ガリウムパワー半導体 385 億円
2024 年より量産開始予定。2025 年以降のFET 実用化に向け技術開発が進む
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、2023年は伸びが鈍化したものの、参入企業の設備投資が進んでいることや、SiCをはじめとする次世代パワー半導体の量産化により、中長期的な拡大が予想されるパワー半導体とその構成部材、製造装置の世界市場を調査した。その結果を「2024年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査は、パワー半導体18品目、構成部材20品目、製造装置19品目について、最新の市場動向をまとめ、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■パワー半導体の世界市場
2023年の市場は前年比5.2%増の3兆1,739億円で、シリコンパワー半導体はほぼ横ばい、次世代パワー半導体が同62.2%の伸びであった。今後は次世代が順調に成長し、2035年の市場は2023年比2.4倍の7兆7,757億円と予測され、次世代の構成比が約45%に高まるとみられる。
シリコンは、2023年は中国の景況悪化や民生機器、産業機器における需要低迷、2022年までに先行発注していたユーザーや代理店での在庫調整により伸びが抑制され、市場は前年比0.2%増で着地した。2024年も在庫調整が続くため縮小するとみられるが、2025年以降は自動車・電装向けの需要増加や産業機器向けの回復が期待され、堅調な伸びが続くと予想される。
次世代は、SiC、GaN、酸化ガリウム、ダイヤモンドの4品目を対象とし、2023年時点ではSiCとGaNが実用化されている。SiCは自動車・電装で、GaNは民生機器などで採用が広がっており、2023年はパワー半導体が搭載される主要なアプリケーションの需要が停滞したことで伸びは鈍化したが、今後も電動車の普及などにより市場は大きく拡大していくとみられる。
2024年からは酸化ガリウムも量産が開始されるとみられる。また2030年ごろからはダイヤモンドの市場が立ち上がると予想され、中長期的な市場拡大が期待される。
■構成部材の世界市場
市場はウエハー、前工程材料、後工程材料に大別され、ウエハーと後工程材料で95%以上を占める。
前工程、後工程材料はパワー半導体の需要に左右されるため、2024年は伸びが鈍化し、どちらも前年比10%を下回る伸びに留まると予想される。一方でウエハーは、SiCウエハーの伸びにより同20%以上増加するとみられる。
今後は自動車・電装分野を中心にパワー半導体の需要が増加することで後工程材料は再び大きく伸びていくと予想される。また、ウエハーではSiCウエハーの伸びに加え、現状はサンプル評価や研究開発向けにとどまっているGaNウエハーや酸化ガリウムウエハーも中長期的な伸びが期待される。
■製造装置の世界市場
市場は前工程装置、後工程装置、検査・試験装置に大別され、前工程装置が80%近くを占める。2023年は中国を中心に電動車の普及拡大に向けて、SiC向けの設備投資が積極的に行われたため、前工程装置を筆頭に市場が拡大した。2024年は近年の旺盛な需要の反動で伸びは落ち着くものの、設備投資の継続によって拡大を維持するとみられ、2026年ごろまで毎年10%以上の成長が予想される。
今後もパワー半導体の需要増に伴って製造装置の需要も旺盛であるとみられる。最大の需要エリアである中国では内製化が進み、中国メーカーによる安価な装置が増加する可能性が懸念材料となっている。
◆注目市場
●SiCパワー半導体【次世代パワー半導体】
市場は前工程装置、後工程装置、検査・試験装置に大別され、前工程装置が80%近くを占める。2023年は中国を中心に電動車の普及拡大に向けて、SiC向けの設備投資が積極的に行われたため、前工程装置を筆頭に市場が拡大した。2024年は近年の旺盛な需要の反動で伸びは落ち着くものの、設備投資の継続によって拡大を維持するとみられ、2026年ごろまで毎年10%以上の成長が予想される。
今後もパワー半導体の需要増に伴って製造装置の需要も旺盛であるとみられる。最大の需要エリアである中国では内製化が進み、中国メーカーによる安価な装置が増加する可能性が懸念材料となっている。
●GaNパワー半導体【次世代パワー半導体】
スマートフォンなどの高速充電用ACアダプタやサーバー電源向けがメインの市場であり、2023年は巣ごもり特需の落ち着きなどから前年より伸びは鈍化したが、前年比30%以上の成長となった。
2024年もスマートフォンなどの民生機器やデータセンターのサーバー電源向けなどを中心に需要は増加するとみられる。今後は自動車・電装向けでオンボードチャージャやDC-DCコンバータといった補機系での本格的な採用によって市場は急拡大し、2035年は2,674億円が予測される。
専業メーカーで構成されてきた市場であるが、近年大手パワー半導体メーカーの参入がみられる。供給が増えることにより価格が下落し、高耐圧パワーMOSFETやSiC-FETからの置き換えも期待される。
●酸化ガリウムパワー半導体【次世代パワー半導体】
2023年まではサンプル評価の段階で実績は僅少であるが、SiCやGaNと比較して低価格であることが優位点である。FLOSFIAとノベルクリスタルテクノロジーの日系メーカー2社により実用化に向けた開発が進められており、両社が量産を開始する2024年には、市場は6億円になると見込まれる。
量産開始後は、民生機器やサーバー電源などの情報通信機器、産業機器などへの展開が予想される。参入企業では高耐圧化やFET(電界効果トランジスタ)の実用化に向けて技術開発が積極的に行われており、将来的には自動車・電装にも採用が広がり、2035年の市場は385億円に拡大すると予測される。
◆調査対象
シリコンパワー半導体・整流ダイオード
・SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)
・FRD(ファスト・リカバリー・ダイオード)
・バイポーラパワートランジスタ
・低耐圧パワーMOSFET
・高耐圧パワーMOSFET
・サイリスタ・トライアック
・IGBTディスクリート
・IGBTモジュール
・インテリジェントパワーモジュール
・サイリスタモジュール
・IGBTベアダイ
次世代パワー半導体
・SiC-SBD
・SiC-FET
・SiCパワーモジュール
・GaNパワー半導体
・酸化ガリウムパワー半導体
・ダイヤモンドパワー半導体
・SiC-FETベアダイ
構成部材
・シリコンウエハー
・SiCウエハー
・GaNウエハー
・酸化ガリウムウエハー
・ダイヤモンドウエハー
・半導体レジスト
・バッファーコート膜
・CMPパッド
・CMPスラリー
・ダイボンディングペースト
・はんだ
・シンタリング接合材
・ボンディングワイヤ
・封止材料
・窒化アルミニウム回路基板
・アルミナ系回路基板
・窒化ケイ素回路基板・白板
・金属放熱基板
・放熱シート
・放熱グリース
製造装置
・エピ膜成長装置
・CMP装置
・プラズマCVD
・コータ/デベロッパ
・露光装置
・イオン注入装置
・熱処理装置
・レーザーアニール装置
・ドライエッチング装置
・スパッタリング装置
・洗浄装置
・バックグラインダ
・ダイシング装置
・ダイボンダ
・ワイヤボンダ
・モールティング装置
・ウエハー外観検査装置
・チップ外観検査装置
・電気テスタ装置