PRESSRELEASE プレスリリース
■ソフトウェア52品目 3兆6,638億円(45.8%増)
業務システムが市場をけん引
●労務管理(SaaS/PaaS) 940億円(3.9倍)
バックオフィス業務のDX需要が増加し市場は拡大の見込み
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、働き方改革などの法改正対応や、業務のDX対応に向けた生成AIの搭載やアプリケーション連携などで継続的な需要増加が期待される企業向けソフトウェアの国内市場を調査した。その結果を「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」にまとめた。
この調査では、業務システム18品目、顧客接点/CX10品目、アナリティクス3品目、コミュニケーション/コラボレーション11品目、ミドルウェア10品目の計52品目の市場について、SaaS/PaaSとパッケージの提供形態別から、現状を明らかにして将来を展望した。
◆調査結果の概要
■ソフトウェア52品目の国内市場
2024年度は、業務システムの伸びがけん引し市場は拡大するとみられる。基幹系システムのリプレースを契機とした業務システム領域全体の刷新案件の増加や、業務効率化を目的とした製品や、インボイス制度や働き方改革などの法改正によるデジタル化・ペーパレス化に対応可能な製品の需要が高まっている。また、生成AIの活用で、ソフトウェアの機能強化や高付加価値化、業務の効率化・自動化が進んでいる。
法改正の需要ピークは過ぎるものの、引き続き基幹系システムのリプレースを契機とした需要増により、2028年度の市場は2023年度比45.8%増が予測される。
業務システムは、システムの老朽化やソフトウェアのサポート期間終了を契機としたリプレースに加えて、労務管理や請求書受領管理など、バックオフィス業務のDXを目的とした製品の需要が増加している。また、働き方改革関連法への対応や電子契約、契約書審査など、法務関連業務の効率化ニーズが高い。
顧客接点/CXは、マーケティングスイートやマーケティングオートメーションなど、多様化する顧客接点への対応や、高度な顧客理解、関係性の強化を目的とした製品の需要が伸び、市場拡大につながっている。
アナリティクスは、BI(Business Intelligence)やテキストマイニングなど、データに基づいた経営ニーズに応える製品の導入が増え、市場拡大に貢献している。また、AI/生成AIを活用することでデータ分析や分析後のレポート生成など、システムの機能強化や業務効率化の期待ができるため需要が高まっている。
コミュニケーション/コラボレーションは、働き方の多様化に伴いコミュニケーション強化を目的としたビジネスチャットや、業務プロセスのペーパーレス化・自動化、承認やデータ入力などの間接業務の効率化を進めるため、ワークフローやファイル共有システムなどの需要が増加し、市場拡大に寄与している。
ミドルウェアは、IT人材不足のなかでも迅速なシステムの開発ニーズが高まっていることから、Webデータベース/ノーコード開発、ローコード開発の需要が伸びている。データ利活用ニーズに伴う統合的なデータ基盤構築に向けて、DWH(データウェアハウス)用DB、データ連携が伸び、市場拡大につながっている。
■ソフトウェア52品目の提供形態別の国内市場
提供形態別では、パッケージはカスタマイズニーズやセキュリティ面から需要が継続する一方、SaaSは低コスト・短期間でシステム構築が可能なことや運用負荷が軽減されることのほか、多様な働き方への対応や最新機能へ迅速にアップデートができるため市場の主体となっている。
SaaS/PaaSはパッケージからの移行に加え、請求書受領管理や労務管理、電子契約などでシステム化の需要が増加するため、引き続き市場拡大をけん引するとみられる。
◆注目市場
●労務管理(SaaS/PaaS)【業務システム】
従業員の労働時間や福利厚生、賃金、手当などの情報管理や、保険手続きなど労務管理業務を一元的に管理する製品で、帳票の逐次アップデートが可能で法改正などに対応ができ、労務管理に特化したSaaS/PaaSのサービスを対象とする。ERP(企業資源計画)や人事・給与ソフトウェアといった統合製品のモジュール、オプションとして提供される製品、社会保険労務士事務所向け製品は対象外とした。
2023年度および2024年度は、テレワークの増加やペーパーレス化の推進で、労務管理SaaSの導入が増えている。また、2024年の働き方改革関連法施行による、建設業従事者や医療従事者などの労務契約変更に伴い、労務管理担当者の業務を軽減するため導入が進み市場拡大が予想される。
2025年度以降、タレントマネジメントや学習管理、健康管理などの人事系システムとの連携が進むとみられる。また、労務だけでなく従業員の能力、業務状況などを統合的に把握可能なシステムとして需要が高まることから、2028年度の市場は2023年度比3.9倍が予測される。
●EPM(SaaS/PaaS)【業務システム】
経営層による現場状況の把握、目標設定や経営戦略の立案、進捗状況管理のため、会計や営業、採用/人件費、サプライチェーンなど各現場の情報を収集、分析する製品を対象とする。予実管理をベースとした製品や、ERPなど他ソフトウェアの機能として提供されている製品、連結管理会計に特化した製品は対象外とする。
2023年度は、管理会計やサプライチェーン計画の構築を目的に大手企業の新規導入が進んだことと、既存顧客がサプライチェーン、人事、営業などに利用領域を広げたため市場は拡大した。
2024年度は、引き続き管理会計に取り組む企業の新規導入や、既存顧客の上位モデルへの乗り換え・関連製品の導入が進んでいる。特に全社導入を検討する大手企業が増加しており、案件規模が大型化している。
2025年度以降は、管理会計など特定領域での部分導入から、組織横断的なプラットフォームとして導入が進み、1社当たりの案件規模が大きくなると予想される。企業の持続可能性、サステナブルな成長という観点から、経営理念や経営計画、ESG情報などの非財務情報が重要視されており、大手企業では財務/非財務統合基盤として需要が増加するため、2028年度に向けて市場拡大が予想される。
●Webデータベース/ノーコード開発【ミドルウェア】
主に業務アプリケーションの開発用途で利用される製品を対象とし、Webデータベース以外の機能などが付随した製品や、製品自体に販売金額が設定されていないOSS製品は対象外とする。非IT部門のユーザーでも、従来は紙や「Excel」などによって行われていた売上管理や発注管理、納期管理などの管理業務を効率化するアプリケーションの作成が可能となる。
2023年度は、IT人材不足でもDX推進や業務効率化が実現できる製品として認知度が高まり、大手企業から中小企業まで新規導入が進んだことから市場は拡大した。
2024年度も、新規導入が進むほか中堅/大手企業における採用部門の広がりによって、市場拡大が予想される。
2025年度以降は、IT人材不足の深刻化を背景に、システム内製化やDXに向けた投資が進み、需要が増加するとみられる。従業員数1,000名以上の大手企業は人数の関係により割安になるパッケージの、中堅/中小企業はSaaSの導入が進み、パッケージ、SaaS/PaaSともに市場拡大が予想される。
◆調査対象
業務システム・大規模企業向けERP
・中規模企業向けERP
・財務・会計管理
・連結会計管理
・EPM
・予実管理
・生産管理
・販売・在庫管理
・BSM/購買管理
・EDI
・請求書受領管理
・経費精算管理
・人事・給与管理
・人材管理
・勤怠管理
・労務管理
・電子契約
・契約書審査
顧客接点/CX
・CX/マーケティングスイート
・マーケティングオートメーション
・メール配信プラットフォーム
・CMS
・ECサイト構築(カスタマイズ型)
・ECサイト構築(カート型)
・CRM(営業系)
・CRM(コンタクトセンター系)
・コンタクトセンタークラウド基盤/CTI
・SMS送信基盤
アナリティクス
・BI
・機械学習/データ分析基盤
・テキストマイニング
コミュニケーション/コラボレーション
・統合コミュニケーションサービス
・グループウェア
・Web会議
・ビジネスチャット
・ワークフロー
・プロジェクト管理
・ファイル共有
・文書管理/ECM
・電子帳票関連ツール(設計・出力)
・電子帳票関連ツール(運用・保存)
・検索エンジン
ミドルウェア
・Webデータベース/ノーコード開発
・ローコード開発
・RPA
・OCR
・データ連携
・ファイル転送
・RDBMS
・DWH用DB
・運用管理/オブザーバビリティ
・ITサービスマネジメント