PRESSRELEASE プレスリリース

第24082号

業務用食品80品目の国内市場を調査
― 2024年国内市場見込(2023年比) ―
■業務用食品80品目  2兆5,298億円(102.7%)
外食市場の活性化に加え、各品目の値上げにより伸びる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナウイルス感染症流行の収束に伴う人流増加やインバウンドの回復による外食市場の活性化に加え、値上げで使用量が減少しているものの、単価が上昇し拡大が続く国内の業務用食品市場を調査した。その結果を「業務用食品マーケティング便覧 2024」にまとめた。

この調査では、業務用食品80品目の市場の最新動向や将来展望をまとめ、課題を明らかにするとともに、ユーザーである外食業態別の動向や、食シーン別の需要分析を行った。

◆調査結果の概要

■業務用食品80品目の国内市場

業務用食品80品目の国内市場

市場は新型コロナによる飲食店の休業や外出自粛、インバウンド需要の喪失などで外食の需要が落ち込んだため2020年に大きく縮小したが、2021年以降徐々に回復して2023年にはコロナ前の規模を上回った。新型コロナの5類移行による外食市場の活性化や観光地の人流回復に加え、2022年以降続いている各品目の値上げで市場は拡大している。飲食業では人流の本格的な回復に伴い人手不足が顕著となり、簡便性の高い付加価値商品のニーズが高いものの、単価上昇により付加価値商品の使用量が抑制されるなどの課題もみられる。

2024年も外食市場は引き続き活性化しており、値上げが続く品目もあることから市場はさらに拡大するとみられる。一方で、値上げに伴って使用量の減少や安価な商品へのシフトが起こっており、フライなど油調メニューの一部は、商品価格と揚げ油の価格上昇によりユーザー離れが目立つ。チーズではナチュラルチーズからプロセスチーズ、プロセスチーズからチーズフード・乳主原へのシフト、油ではオリーブ油からブレンドオイル(調査対象外)などへのシフトがみられる。

外食は、ファストフード、ファミリーレストラン、料飲店、ホテル・宿泊宴会場、カフェ・喫茶、その他外食店(専門料理店、レジャー施設など)向けを対象とする。
新型コロナの収束以降、外食市場の活性化に伴って外食向けの構成比が高まりつつある。特にインバウンド・国内旅行客共に動きが活発な宿泊・宴会場向けや、コロナ禍での落ち込みから回復しつつある居酒屋向けなどの伸びが大きい。宿泊・宴会場は簡便性ニーズが根強く、ビュッフェ用の冷凍焼き魚・煮魚、冷凍ケーキなどが需要を集めている。

中食は、量販店デリカ、CVSデリカ、弁当・デリカショップ、その他中食(デリバリー、ベーカリーショップなど)向けを対象とする。
いずれの業態向けも2023年、2024年ともに市場は微増になるとみられる。各店舗では、値上げの影響が大きいフライ類から、冷凍ギョーザや冷凍春巻などにシフトするなど、コスト抑制に向けた動きが起こっている。

給食は、学校・幼稚園・保育所給食、産業給食、高齢者施設・病院向けを対象とする。
2023年は企業の出社率向上に伴い産業給食向けが全体をけん引した。特に産業給食では、そば・うどんメニューの値ごろ感が支持されて食数が増加しており、冷凍そば・冷凍うどんの好調に寄与している。

加工用は、加工食品の製造に使用されるものを対象とする。
市場は値上げの影響が大きいことに加え、簡便性の高い応用調味料向けなどが好調であり、2024年は伸びが続くとみられる。一方であらゆる食品の値上げによって消費者による最終商品の買い控えが目立ち、今後市販用向け、業務用向けともに需要減退が懸念される。

◆注目市場

●オリーブ油

オリーブ油

オリーブの果実から搾油した植物油を対象とし、ブレンドオイルは対象外である。2022年から2023年の干ばつにより、スペイン産やイタリア産のオリーブ収穫量が大幅に落ち込み原料価格が高騰しため、メーカーでは複数回の値上げを余儀なくされた。2023年の市場は値上げにより2年連続で10%以上拡大し、2019年以来となる100億円台に戻したが、大手油脂メーカーが商品を一時休売するなど、供給への影響が顕在化した。ユーザーが価格の安いブレンドオイルにシフトしたことなどから数量ベースでは前年比20%以上のマイナスとなった。

2024年5月には60%~80%増という大幅な値上げが実施された。2022年以降で4度目の値上げとなり、ユーザーによってはブレンドオイルへのシフトや、オリーブ油を使用するメニューを縮小している。値上げで市場は伸びを維持するものの、数量ベースはコロナ前の2019年比で50%未満まで減少するとみられる。

●業務用デザート4品目の国内市場

業務用デザート4品目の国内市場

ソフトクリーム・シェイクミックス、冷凍プリン・ゼリー、アイスクリーム類、冷凍ケーキを対象とする。コロナ禍のレジャー施設休業や旅行自粛により4品目全ての市場が2020年に減少した。2021年以降市場は回復に向かっており、2024年にはコロナ前の規模を上回るとみられる。

2023年は、外食市場の回復や観光地でのインバウンド需要の高まりから、ソフトクリーム・シェイクミックスやアイスクリーム類が市場をけん引した。ソフトクリーム・シェイクミックスは、円安で海外旅行を控え国内旅行に出掛ける消費者が増えたことから、SA・PAや道の駅など国内旅行者の利用が多い施設向けの需要も高まった。アイスクリーム類は、ホテルのディナー向けデザートとして高品質アイスの採用や入浴後の無料サービスの導入による新規採用がみられ好調であった。また、ファミリーレストランやカフェ・喫茶、ホテルなどでは値上げにあたっての付加価値メニューの投入やアイドルタイムの強化としてデザートメニューをテコ入れする動きも多くみられた。

2024年も引き続きインバウンド需要が活発であり、人手不足対応として簡便性の高い冷凍ケーキや、冷凍プリン・ゼリーを活用する動きもみられる。一方で値上げを受けて価格がネックとなる業態もあり、ファミリーレストランでは冷凍ケーキからより安価なアイスクリーム類へシフトするなど、安価な商品へのシフトが起こっているため、市場は前年比3.9%増にとどまるとみられる。原料高騰に伴う値上げや商品の集約が続いており、特に、チョコレートの価格高騰や果汁不足が、アイスクリーム類やソフトクリーム・シェイクミックス、冷凍ゼリー市場へマイナス影響を及ぼすことが懸念される。

◆調査対象

調味料
・食用油
・オリーブ油
・しょうゆ
・うすくちしょうゆ
・つゆの素
・白だし
・エキス調味料(天然調味料)
・食酢
・すし酢
・ポン酢
・本みりん
・発酵調味料
・マヨネーズ類
・タルタルソース
・ドレッシング類
・トマトケチャップ
・トマトピューレー・ペースト
・ホール・ダイス、クラッシュトマト
・ソース類
・ブラウンソース
・ホワイトソース
・ホール・粉末スパイス類
・ペーストスパイス類
・マスタード
・畜肉系・鮮魚系たれ
・ガラスープ
・ラーメンスープ

乳油製品
・バター
・マーガリン・ファットスプレッド
・ナチュラルチーズ
・プロセスチーズ
・チーズフード・乳主原
・生クリーム類
・冷凍ホイップ済みクリーム
・アイスクリーム類
・ソフトクリーム・シェイクミックス

畜肉系冷凍食品
・冷凍ハンバーグ
・冷凍肉団子・ミートボール
・冷凍鶏のから揚げ・フライドチキン類
・冷凍ギョーザ
・冷凍シューマイ
・冷凍春巻
・冷凍トンカツ
・冷凍メンチカツ・ハムカツ類
・冷凍チキンカツ・ササミカツ

水産系冷凍食品
・冷凍水産カツ
・冷凍水産から揚げ
・冷凍水産フライ
・冷凍えび・いか・かきフライ
・冷凍切り身魚
・冷凍焼き魚・煮魚

ステープル系冷凍食品
・冷凍米飯類(成型タイプ)
・冷凍米飯類(バラタイプ)
・冷凍そば
・冷凍うどん
・冷凍中華めん
・冷凍焼きそば類
・冷凍パスタ

その他冷凍食品
・冷凍ポテトコロッケ
・冷凍クリームコロッケ
・冷凍天ぷら
・冷凍野菜
・冷凍お好み焼き
・冷凍たこ焼き
・冷凍グラタン類
・冷凍パスタソース
・冷凍ケーキ
・冷凍プリン・ゼリー

その他食品
・ソーセージ類
・サラダ類
・卵焼き類
・どんぶりの具
・カレールウ・フレーク
・レトルト・缶詰カレー
・レトルト・缶詰パスタソース
・ふりかけ
・乾燥パスタ
・プレミックスパウダー加糖
・プレミックスパウダー無糖
・から揚げ粉


2024/9/4
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