PRESSRELEASE プレスリリース
■半導体材料の世界市場 470億ドル(9.0%増)
NANDやGPUなど半導体デバイスの需要回復で、市場は拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、次世代通信やAI、IoT技術の進展に伴い需要が高まる半導体の材料市場を調査した。その結果を「2024年 半導体材料市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、前工程材料24品目、後工程材料9品目を対象に、半導体材料の世界市場の現状を明らかにし、将来を展望した。また、半導体デバイス4品目の市場についても調査を行った。
◆調査結果の概要
■半導体材料の世界市場
新型コロナウイルス感染症の流行で在宅時間が増え通信機器の需要が増加したことで、2022年の市場は大幅に拡大した。しかし、2023年はメモリーを中心とした半導体デバイスの在庫調整の影響を受け、需要が減少し市場は縮小した。2024年は、半導体デバイスの需要が回復に向かうことで、市場は前年比9.0%増の470億ドルが見込まれる。2025年以降は、新たなAI搭載機器の登場やデータセンター設備投資の増加に伴いサーバー出荷の拡大により需要が増えるとみられ、定期的に在庫調整の影響は受けながらも長期的には市場拡大が予想される。
前工程材料では、半導体の微細化が進み、EUV露光装置に使用するフォトマスクやフォトレジストの需要が増加している。また、半導体の高性能化を目的とするトランジスタ構造の変化や3D-NANDの高層化によって工程数が増加するため、成膜材料やエッチング材料、洗浄液などの需要が増えるとみられる。2024年の市場は前年比6.9%増の374億ドルが見込まれる。
後工程材料では、データセンターの新設に伴い、サーバー向けのパッケージ基板用銅張積層板材料、層間絶縁材料の需要が伸びるとみられる。また、パワー半導体向けを中心に、鉛が含まれ環境負荷が大きいはんだやダイボンドペーストといった材料からシンタリングペーストへ置き換えが進んでいる。2024年の市場は前年比17.1%増の96億ドルが見込まれる。
◆注目市場
1.フォトレジスト
半導体の基盤となるウエハーにパターン形成を行うフォトリソグラフィ工程で使用される各種の感光性材料を対象とする。照射光の波長が短い順に、EUV用、ArFエキシマレーザー用、KrFマキシマレーザー用、i線用、g線用に分類され、光の波長が短いほど微細なパターン形成の成型が可能である。
2023年は、ノートPCやスマートフォンなどのメモリーを中心とした半導体デバイスの需要減少で市場は縮小した。ただし、先端品向けが主軸のEUV用は微細化需要を背景に伸びた。
2024年は、半導体デバイスの需要回復でロジックやDRAMが伸びている。特に、AI学習の普及によるGPU(画像処理半導体)の需要増加で、従来のDRAMよりも膨大なデータを処理でき、HBM用途で使用される先端DRAMの生産量が増え、使用されるEUVレジストの需要が増加している。また、g線やi線、ArF、KrFといったDUVレジストも中国のレガシー半導体への投資増大を背景に需要が増えており、市場拡大が予想される。
2.シランガス
半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)、太陽電池などの成膜の際に使用されるモノシラン、ジシラン、テトラエトシキシランを対象とする。主に、モノシランはFPDやシリコン半導体、太陽電池、ジシランはメモリーや先端ロジック、テトラエトシキシランはFPDやシリコン半導体で使用される。
2023年は、最終製品の需要減少や在庫調整による影響が懸念されたものの、モノシランはFPDや太陽電池向け、ジシランは3nm世代ロジック向けが伸びた。
2024年は、過剰在庫の解消によりFPD向けやシリコン半導体向け、メモリー向けが回復している。また、高性能スマートフォンやAI搭載端末の増加を背景にロジック向けでジシランの需要が増え、市場拡大が予想される。
今後も、引き続き半導体や太陽電池の需要が増加するとともに、半導体の高性能化を目的としたメモリーセルの高層化が進みシリコン半導体の需要が高まることなどから、市場は拡大するとみられる。
3.PFCエッチングガス
半導体製造工程での絶縁膜のエッチングや装置のクリーニングで用いられる炭素とフッ素が結合した化合物を対象とする。
2023年は、在庫調整の影響で3D-NANDなど各種半導体デバイスの需要が減少し市場は縮小した。2024年以降は、各種半導体デバイスの需要が回復し、材料のニーズも高まるとみられる。特に、スマートフォンやノートPCなどの伸びに加え、それらのAI搭載端末の発売により買い替えが進み材料のニーズが高まることから、市場拡大が予想される。
4.パッケージ基板用銅張積層板材料
半導体のパッケージ基板に用いられる銅張積層板やプリプレグを対象とする。スマートフォンやタブレット端末に使用されるFC-CSP、PCやサーバーを動かすCPUに使用されるEC-BGAなどがある。
2023年は、前年からスマートフォンやPCの販売量が減少したことと、データセンターの設備投資が減少したことで通信機器向けが落ち着き、市場は縮小した。
2024年は、スマートフォンやPCなどの需要や、データセンターの設備投資が回復に向かうため、市場拡大が予想される。今後は、膨大なデータを高速処理する需要が高まり、サーバーの出荷数の増加やFC-BGA基板の大面積化が進むことで、市場は拡大するとみられる。
◆調査対象
前工程材料・シリコンウエハー
・フォトマスク
・フォトマスク用レジスト
・フォトレジスト
・高純度洗浄液
・CMPスラリー
・CMPパッド
・CMP後洗浄液
・イソプロピルアルコール
・アンモニアガス
・シランガス
・Low-k材料
・High-k材料
・六フッ化タングステン
・メタルプリカーサ
・PFCエッチングガス
・HFCエッチングガス
・硫化カルボニル
・塩素系ガス
・臭化水素
・三フッ化窒素
・フッ素混合ガス
・ターゲット材
・バッファーコート膜・再配線形成材料
後工程材料
・バックグラインドテープ
・ダイシングテープ
・ダイアタッチフィルム
・ダイボンドペースト
・シンタリングペースト
・ボンディングワイヤー
・パッケージ基板用銅張積層板材料
・層間絶縁材料
・封止材
半導体デバイス
・CPU(モバイル)
・GPU(PC)
・NANDフラッシュメモリー
・DRAM