マーケット情報


リチウムイオン二次電池材料の世界市場を調査

−リチウムイオン二次電池材料世界市場−
2021年予測 2.9兆円 2016年から5年間で市場規模は倍増


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、自動車向けでリチウムイオン二次電池の需要増加が想定されることで、拡大が期待されるリチウムイオン二次電池材料市場について調査した。その結果を報告書「2017 電池関連市場実態総調査 下巻」にまとめた。

この報告書では、リチウムイオン二次電池材料(LIB材料)12品目をはじめとする二次電池材料16品目と一次電池材料4品目に加え、リチウム化成品(炭酸リチウム・水酸化リチウム)/コバルト/LIB正極前駆体、リチウムイオン二次電池リサイクルの金属資源・原料2品目、計22品目の市場動向をまとめた。

なお、リチウムイオン二次電池をはじめとする二次電池と一次電池については「(同)上巻」でまとめており、市場調査結果は9月21日に発表している。

◆注目市場

1.リチウムイオン二次電池材料世界市場

正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータ、その他に含まれる正極・負極バインダ、正極・負極集電体、外装材を対象とする。

自動車向けを中心としたリチウムイオン二次電池の需要増加によって材料市場も拡大が予想され、2021年には2016年比2.1倍の2兆9,024億円が予測される。

自動車向けリチウムイオン二次電池では、航続可能距離の向上を目的とした電池の高容量化が継続した課題である。正極活物質ではグラム当たりの容量が大きいハイニッケル系/三元系正極活物質の採用や混合比率の引き上げ、負極活物質では放電容量の大きい合金系材料が採用されている。これらハイエンド材料では依然として日系メーカーの優位性は高いとみられるものの、中国メーカーの技術進歩も著しい。

自動車向けリチウムイオン二次電池の主戦場である中国では、政府が補助金などによって中国メーカー製電池を搭載するEVやPHVの普及促進を進めている。中国電池メーカーは中国電池材料メーカー製品の採用が多いことから、電池材料も中国メーカーの台頭が一層進んでいる。

2.主要4材料の動向

リチウムイオン二次電池材料は正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータが主要材料といわれ、この4材料で市場の80%以上を占める。

1)正極活物質



正極活物質は主にコバルト酸リチウム、三元系、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウムが使用される。

コバルト酸リチウムは、角型やラミネート型に使用される。コバルト地金の相場に市場は左右されやすく、近年はコバルト地金価格の高騰が懸念材料となっている。他材料への置き換えにはアプリケーションの再設計が必要となるため、価格高騰には高電圧充電によって高容量化したコバルト酸リチウムの使用量低減などで対応している。主要アプリケーションがスマートフォンであるため、今後も需要は緩やかに増加するものの、伸長著しい自動車向けでの採用がほぼないこともあり、構成比の低下が予想される。

三元系は、シリンダ型と自動車向けで使用され、特に自動車向けで市場が拡大している。EVの航続可能距離向上の要求も強く、容量の大きい三元系の需要は今後も増加し、市場は2021年に2016年比2.2倍が予測される。

マンガン酸リチウムは、中国のEVトラック向けで需要が伸びている。しかし、容量が小さいこともあり、日欧米の自動車メーカーはマンガン酸リチウムから三元系へシフトしている。日産自動車のEV「LEAF」に搭載されるリチウムイオン二次電池でも新モデル投入ごとにマンガン酸リチウムの混合比率は引き下げられている。

ニッケル酸リチウムは、TeslaのEV向けなどで採用されており、市場が拡大している。自動車向け以外にも充電式電動工具向けで高容量化の進展により、ニッケル酸リチウムの採用が進んでいる。市場は2021年に2016年比4.4倍が予測され、構成比も大きく上昇するとみられる。

リン酸鉄リチウムは、中国の大型電池向けで主流であり、特にEVバス向けで需要が伸びている。このほか欧州自動車メーカーのアイドリングストップ車向けで鉛電池の代わりに採用される。2016年は中国で新エネルギーバスをリン酸鉄リチウム採用のリチウムイオン二次電池搭載車へ実質一本化したこともあり急拡大したが、中国でも乗用車は三元系へのシフトがみられることもあり、今後構成比は低下するとみられる。

2)負極活物質

負極活物質は主に黒鉛(グラファイト)が使用される。しかし、電池の高容量化が黒鉛の理論容量に近づいていることから、新たな材料としてシリコン系材料などを採用する動きも目立っており、早いペースで普及が進んでいる。また、ハードカーボン、ソフトカーボン、チタン酸リチウムなどもそれぞれの特性から一定の市場を形成している。

2016年シェアトップは日系メーカーであるものの、中国の政策などもあり中国メーカーが躍進しており、2017年にはシェアの変動も想定される(金額ベース)。

3)電解液

電解液は電解質塩と有機溶媒、添加剤を混合したものである。化学物質規制の影響で国境を超えた輸送が難しく、長距離の輸送では品質面での懸念もあるため、地産地消が好ましいといわれている。

主要4材料の中でも中国メーカーの参入が早い段階で始まったことや、中国の自動車向けの増加もあり、2016年シェアトップ10にランクインした中国メーカーは7社にのぼり、全体における割合は64%と高い。

4)セパレータ

セパレータは正極と負極を電気的に絶縁し電解液を担持する役割を担う。コーティングを施すことで安全性・強度を高めたコーティングセパレータの需要が増加しており、特に自動車向けではスタンダードになっている。

2016年のシェアトップ3は日系メーカーが占め、それらを含めトップ10にランクインした日系メーカーは6社とまだ優位性を保っている。

主要4材料の中では中国メーカーの台頭が緩やかであり、全体における割合は41%と低い。

3.リチウムイオン二次電池材料向け主要金属需要量

リチウムイオン二次電池材料には、様々な希少金属が使用されており、主な金属として、炭酸リチウム、水酸化リチウム、コバルト、ニッケルが挙げられる。

2016年の生産量はコバルトが約9万トン、リチウム化成品(炭酸リチウム・水酸化リチウム)が約22万トンである。このうちLIB材料向けはコバルトが4.6万トン、リチウム化成品が10.2万トンとそれぞれ生産量の半分近くを占める。2021年には、LIB材料向けでコバルトが7.5万トン、リチウム化成品が23万トンの需要が予想され、車載用LIB材料の需要増加による金属資源の逼迫はリチウムイオン二次電池市場の懸念材料となっている。なお、ニッケルも正極活物質(三元系やニッケル酸リチウム)で需要増加が予想されるものの、LIB材料向けよりも他の用途の比率が高く、コバルトやリチウムと比べれば需給バランスも大きな懸念には至っていない。

2017年に入って、コバルトやリチウムの価格が高騰していることもあり、将来的な需給の逼迫を緩和するため、リチウムやコバルト原料採掘に関する新規開発プロジェクトの立ち上げや既存プロジェクトでの増産が金属開発・採掘事業者から相次いで発表されている。

◆調査結果の概要

電池材料世界市場

一次電池材料は、電池の需要が成熟していることや、材料使用量の少ない単3形や単4形の需要増加が続いていることから、市場はほぼ横ばいが予想される。

二次電池材料は、リチウムイオン二次電池材料の拡大に加え、アルカリ二次電池材料も材料使用量の多いHV向けでニッケル水素電池が使用されていることから拡大が予想される。市場としては2021年に3兆円目前まで迫り、2016年と比較し、2倍の拡大が予想される。

◆調査対象

一次電池材料 電解二酸化マンガン、亜鉛粉、金属リチウム箔、アルカリマンガン乾電池用セパレータ
二次電池材料 アルカリ二次電池正極活物質(水酸化ニッケル、硝酸ニッケル)、水素吸蔵合金、アルカリ二次電池セパレータ、アルカリ二次電池集電体(パンチングメタル、発泡ニッケル)
(リチウムイオン
二次電池材料)
正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータ、正極バインダ、負極バインダ、正極集電体、負極集電体、金属外装缶用ニッケルメッキ鋼板※1、ケース用アルミ板、ラミネート外装材(アルミ箔・SUS箔)※1、導電助剤※2
金属資源 原料、リチウム化成品(炭酸リチウム・水酸化リチウム)/コバルト/LIB正極前駆体、リチウムイオン二次電池リサイクル

※1 その他電池向け含む、※2 材料市場合計には含まない
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/12/15
       
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