PRESSRELEASE プレスリリース

第14061号

国内の外食産業市場6分野65業態を調査
−2014年市場見込(2013年比)−
テイクアウト分野6兆1.,818億円(2.1%増)カウンターコーヒー好調のCVSデリカなどがけん引
ファストフード宅配262億円(24.8%増)大手参入企業の積極的な展開により市場は拡大
病者・高齢者食宅配976億円(7.1%増)参入企業の増加により競合が激化

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋)は、2014年4〜9月にかけて、国内14分野131業態の外食市場の調査、外食企業の事例研究、外食産業の都道府県別マーケットポテンシャルの分析などを行い、その結果を4回に亘り報告する。

第1回となる今回は、テイクアウト、料飲店、ファストフード、ホームデリバリー・ケータリング、レジャー施設、交通機関の6分野65業態の外食市場について調査を実施し、その結果を報告書「外食産業マーケティング便覧 2014 No.1」にまとめた。 今後、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、給食、宿泊宴会場の 8分野の調査結果を「(同)No.2」、外食産業の総合研究や外食企業の事例研究などを「(同)No.3」、外食産業の都道府県別マーケットポテンシャルなどを「(同)No.4」にまとめる。

◆調査結果の概要

今回対象とした6分野の市場動向

2013年
前年比
2014年見込
前年比
テイクアウト
6兆0,549億円
102.1%
6兆1.,818億円
102.1%
料飲店
5兆7.,731億円
98.1%
5兆6.,958億円
98.7%
ファストフード
3兆0,438億円
101.5%
3兆1.,006億円
101.9%
ホームデリバリー・ケータリング
1兆1.,831億円
100.2%
1兆1.,880億円
100.4%
レジャー施設
9.,996億円
100.0%
9.,855億円
98.6%
交通機関
951億円
99.9%
965億円
101.5%

1.テイクアウト

市場規模が大きくかつ成長率の高いCVSデリカ、量販店デリカが市場をけん引し、2013年の市場は6兆円を突破した。2014年は前年比2.1%増の6兆1.,818億円が見込まれる。 CVSデリカは、東日本大震災以降、CVSが社会インフラとしての重要性が見直され利用者層が広がったのに加え、各社が注力するカウンターコーヒーのヒットにより、引き続き市場をけん引するとみられる。 量販店デリカは、メインユーザーである主婦層の他に、高齢者や単身者向けメニューの投入などで顧客開拓を進めており、上位チェーンを中心に好調である。

2.料飲店

料飲店は、若者のアルコール離れや家飲み志向によって、ほとんどの業態で市場が縮小し、2013年の市場は前年比1.9%減の5兆7.,731億円となった。2014年は市場の3割以上を占める居酒屋・炉端焼が、アルコール離れによる客数減少に加え、上位チェーンにおける不採算店の閉鎖や、消費増税の影響により苦戦しており、前年比1.3%減の5兆6.,958億円が見込まれる。

3.ファストフード

市場規模が大きくかつ成長率の高い回転ずし、立ち食い・セルフ式そばうどん、ギョーザがけん引し、2013年の市場は前年比1.5%増の3兆438億円となった。2014年は、サンドイッチ、とんかつ・かつ丼、スープカフェなども拡大を続けており、前年比1.9%増の3兆1.,006億円が見込まれる。

4.ホームデリバリー・ケータリング

病者・高齢者食宅配の大幅な成長や、宅配釜飯が好調を維持したことから、2013年の市場は前年比0.2%増の1兆1.,831億円となった。2014年は、病者・高齢者食宅配が引き続き拡大するとみられ、前年比0.4%増の1兆1.,880億円が見込まれる。

5.レジャー施設

2013年の市場は、景気回復に伴う好況感や恵まれた天候により集客が増加したことで、ゴルフ場やスキー場、レジャーランドが好調であったが、その他のレジャー施設では前年割れが目立ったため、9.,996億円と横ばいとなった。2014年は、2月の大雪によるゴルフ場の落ち込みや、前年の好調の反動でレジャーランドが縮小するとみられ、前年比1.4%減の9.,855億円が見込まれる。

6.交通機関

2013年は、列車内食が東海道旅客鉄道の在来線特急における車内販売廃止の影響で縮小したものの、有料道路SA/PAや機内食が好調で、市場は前年と比べて微減の951億円にとどまった。2014年は、車内販売の需要減少がみられる一方、食堂車が国内外の富裕層を中心に人気となり、列車内食の減少幅を抑えていることや、円安や東南アジア5カ国の来日ビザ免除および緩和による訪日外国人旅行客の増加により、機内食の需要増加が期待されることなどから、前年比1.5%増の965億円が見込まれる。

◆注目市場

1.ファストフード宅配

2013年
前年比
2014年見込
前年比
市場規模
210億円
108.2%
262億円
124.8%

大手企業が積極的に宅配導入店舗を増やしたことで、2013年の市場は前年比8.2%増の210億円となった。東日本大震災後、外食メニューを宅配やテイクアウトにより家庭内で食べる動きが強まり、利便性の高さから定着したことも市場拡大の一因となっている。 2014年の市場は、大手企業が宅配導入店舗を大幅に増加させるとみられ、前年比24.8%増の262億円が見込まれる。宅配はバイクやコールセンターなどの専用インフラが必要となるが、これまでのように店舗で客を待つだけでなく、自ら客のもとへ届けることで新たな需要獲得につながるため各社が注力しており、今後も市場の拡大が期待される。 現状では、各社とも宅配エリアは都市部が中心であるが、今後は地方都市をはじめ全国への広がりが想定される。

2.CVSデリカ

2013年
前年比
2014年見込
前年比
市場規模
2兆2.,442億円
104.0%
2兆3.,473億円
104.6%

CVSで販売されている、おにぎり、弁当、惣菜、サンドイッチ、カウンタースナック、カウンターコーヒーなどを対象とした。 量販店デリカが展開する低価格弁当との競合から市場は横ばいが続いていたが、2011年の東日本大震災を契機にCVSの社会インフラとしての重要性が見直され、利用者層が従来の男性中心から、高齢者や女性にまで広がり、需要が増加した。 2013年は、カウンターコーヒーが、セブン-イレブンの「セブンカフェ」の提供開始や、ローソンやファミリーマートをはじめとした既存各社の注力により爆発的にヒットした。また、カウンターコーヒー購入時のカウンタースナックなどの“ついで買い”が増加したこともあり、市場は前年比4.0%増の2兆2.,442億円と拡大した。 2014年は、引き続き各社が展開するカウンターコーヒーが好調であるのに加え、大手チェーンを中心に出店攻勢が進められ店舗数が増加していることもあり、前年比4.6%増の2兆3.,473億円が見込まれる。

3.病者・高齢者食宅配

2013年
前年比
2014年見込
前年比
市場規模
911億円
107.4%
976億円
107.1%

糖尿病や腎臓病の患者や高齢者に向けた完全調理済食(完成食)、また生活習慣病の予防食の宅配サービスを対象とした。高齢化社会のポテンシャルを見込んだ大手企業の参入により、2000年代に市場は大きく拡大した。 2013年は、上位企業が積極的に拠点数・店舗数を拡大し、市場は前年比7.4%増の911億円となった。市場は拡大を続けているものの、2012年に日清医療食品、2013年にオリジン東秀、ライドオン・エクスプレス、松屋フーズ、モンテローザなど多くが参入したことで、競合が激化している。 2014年の市場は、前年比7.1%増の976億円が見込まれる。積極的な拡大戦略により成長を続ける企業がある一方で、競合の激化により、上位企業でも成長が鈍化あるいは縮小するケースが想定される。とは言え、引き続き拡大が期待される市場であるため、今後も新規の参入は増加するとみられる。

◆調査対象

ファストフード ハンバーガー、チキン、ドーナツ、サンドイッチ、クレープ、アイスクリーム、ギョーザ、 ラーメン、カレーショップ、ステーキ、立ち食い・セルフ式そばうどん、クイックパスタ・ピザ、回転ずし、たこ焼き・お好み焼き類、牛丼、天丼、海鮮丼、とんかつ・かつ丼、ビビンバ、定食チェーン、スープカフェ
テイクアウト テイクアウト弁当・惣菜、デリカショップ、おにぎり、テイクアウトずし、ベーカリーショップ、チェーン系スイーツ店(洋生菓子)、百貨店スイーツ店、シュークリーム専門店、百貨店デリカ、CVSデリカ、量販店デリカ、たい焼き専門店
ホームデリバリー・ ケータリング 宅配ピザ、宅配ずし、宅配中華料理、宅配釜飯、FR(ファミリーレストラン)宅配、 FF(ファストフード)宅配、病者・高齢者食宅配、仕出し弁当・ケータリング
料飲店 居酒屋・炉端焼、アッパー居酒屋、低価格型居酒屋、均一価格型居酒屋、やきとり専門店、ビアレストラン、ディスコ・クラブ、カフェバー・ショットバー、スナック・クラブ・パブ
交通機関 駅構内飲食店、列車内食、機内食、有料道路SA/PA、客船食堂
レジャー施設 ゴルフ場、スキー場、健康ランド・スーパー銭湯、レジャーランド、野球場、映画館・シネコン、フードテーマパーク、ギャンブル場、カラオケボックス、複合カフェ

 


2014/08/29
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。