PRESSRELEASE プレスリリース
ライドシェア(カープール型)131億円(187.1倍)
駐車場シェアリング1,094億円(68.4倍)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、欧米や中国で普及が進んでおり、日本国内でも多様な形態が登場し今後の需要増加が期待される自動車関連のシェアサービス市場を調査した。その結果を「自動車関連インフラシステム/パーキング&シェアサービスの市場予測 2019」にまとめた。
この調査では、ライドシェア(カープール型)や駐車場シェアリングといったシェアサービス、コインパーキングなど自動車関連のパーキング&シェアサービス9品目をはじめ、駐車場や駐輪装置、充電器などインフラシステム14品目、計23品目の市場を調査・分析した。
◆注目市場
1.ライドシェア(カープール型)
同じ目的地へ向かうドライバーと利用者がガソリン代や高速代といった交通費を割り勘(ドライバーの利益なし)するカープール(相乗り)型のライドシェアを対象とする。市場は、ドライバーと利用者をマッチングさせる仲介手数料とする。メディアなどでも数多く取り上げられたシェアリングエコノミーの一つとして認知が進み、2018年はさらに認知度を高めるためにライドシェア事業者がイベント会社や地方自治体との提携を進めPRを積極的に行ったことから、市場は1億円が見込まれる。今後は、ライドシェア事業者が将来的にはTNC(Transportation Network Company)に近いサービスを展開できるよう行政に働きかけていることなどや、政府もタクシードライバーの高年齢化とタクシードライバーの人材不足を危惧していることから、2025年頃から、市場の活性化が期待される。
2.駐車場シェアリング
2018年見込 |
2017年比 |
2030年予測 |
2017年比 |
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市場規模 |
35億円 |
2.2倍 |
1,094億円 |
68.4倍 |
駐車場シェアリングとは、個人や企業の空いた駐車スペースを駐車場シェアリング事業者が仲介して利用者に貸し出すシステムである。市場は提供者と利用者をマッチングさせる仲介手数料とする。利用者はパソコンやスマートフォンで、地図を見ながら駐車場を探すことができ、利用可能な時間を予約することで、使える仕組みである。利用者にとって使い勝手がよいためサービス加入者数は増加しており、市場は拡大している。また、駐車場シェアリングは、コインパーキングの不足を補うサービスとしても注目されており、今後も大幅な市場拡大が期待される。
3.カーシェアリング
2018年見込 |
2017年比 |
2030年予測 |
2017年比 |
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市場規模 |
36億円 |
124.1% |
260億円 |
9.0倍 |
カーシェアリングとは、事前登録した会員間で車をシェアして使用するシステムである。市場はカーシェアリングのサービス料とする。カーシェアリングには、借りた所と返す所が同じ「ラウンドトリップ方式」と、借りた所と異なる所にも返せる「ワンウェイ方式」があるが、日本では「ラウンドトリップ方式」が大半を占めている。利便性のよさが口コミで評判となっており会員数は増加し、市場は拡大している。2020年の東京五輪開催に向け、事業者各社が車両台数やステーション数を増やしていくとみられ、利用者はカーシェアリングを身近に感じるようになるため、会員数も増加し、市場は拡大するとみられる。
◆調査結果の概要
1.インフラシステム
2018年見込 |
2017年比 |
2030年予測 |
2017年比 |
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市場規模 |
1,964億円 |
105.4% |
4,996億円 |
2.7倍 |
パーキング系のインフラシステム市場は、自走式立体駐車場(プレハブ・建物型)が伸びており、今後も中核都市の郊外部および一部都心部において、商業施設の附置駐車場を中心に需要は増加するとみられる。駐車装置・機器(機械式パーキングシステム)は、主要供給先であるマンション向けの回復に伴い、今後は伸びていくとみられる。
駐車場管制・案内システムは、市街地での駐車場案内板、高速道路での広域駐車場案内板として導入されているが、2030年には広域道路情報システムの一部として統合されるため需要減少が予想される。ドライバーが車外からリモートで車両をコントロールする駐車アシスト・支援システム(リモート駐車システム:STEP3)は、現状では一部車種のみでの採用となっているが、駐車スペースが狭く、駐車が苦手と感じるドライバーが多い日本にはマッチしているため、今後一定規模の市場が形成されるとみられる。
自動バレーパーキングシステムは、2020年代初頭の実用化に向け研究開発が進められている。駐輪装置や駐輪場管理システムは、2020年までは自転車活用推進法により駐輪場が増えるとみられるが、2020年以降はリプレース需要が中心となり横ばいが予想される。普通充電器(プライベート)は、PHVやEVの保有者の90%以上が戸建住宅の居住者であることから現状、戸建て住宅向けが中心となっている。車両1台に対して1台必要となることから、今後はPHVやEVの普及拡大に伴い集合住宅や事務所などにも設置が進むとみられる。
普通充電器(パブリック)は、すでに設置が一巡しつつあることや、普通充電器(プライベート)の高出力化や車載バッテリーの大容量化による航続距離の延伸に伴い存在感は薄まるものの、PHVの外出先充電用途として需要があり、急速充電器との価格差が大きいため需要は増加していくとみられる。急速充電器は、50kW、150kW、350kW以上へと大容量化が進むとみられる。2019年頃より150kW機種が普及し始め、2030年頃には350kW以上の超急速充電器の投入も予想される。
ワイヤレス給電システムは、駐車スペースで給電する停車中給電用途では、普通充電器や急速充電器を代替する可能性を秘めているが、本格的な実用化は2020年以降になるとみられる。
電動バイク用充電器は、2018年の7月より東京都が電動バイクに対する事業者向け補助金を導入したことで伸びるが、個人需要の増加にはつながらないため、緩やかな伸びとみられる。V2Xユニット・システムは、震災や台風などの被災時の緊急電源として重要性が再認識されている。また、少しずつではあるがEVの販売価格が安くなり始めており、V2Xユニット・システムの導入が検討されやすい環境が整いつつあり2025年以降の需要増加が期待される。
2.パーキング&シェアサービス
2018年見込 |
2017年比 |
2030年予測 |
2017年比 |
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市場規模 |
1兆3,338億円 |
105.8% |
2兆7,180億円 |
2.2倍 |
コインパーキングは事業者が東京都23区内を中心とした狭小物件の争奪から、各都道府県の郊外部での大型物件の展開へと営業戦略をシフトさせてきたことから伸びている。2025年以降に新車販売台数やドライバー人口の減少も予想されることから、今後、伸び率は鈍化していくとみられる。
レンタカーは、若者の自動車保有に対する価値観の変化や、一部法人における社用車の減少、訪日外国人の増加などにより今後も伸びが予想される。
バレーパーキングサービスは、ホテルや商業施設などで世界的にみられる駐車代行サービスである。ホテルや商業施設、空港など限定的であるが、今後、国内でカジノが本格展開されることになれば需要は増加するとみられる。
充電器ネットワークサービスは、PHVやEVの普及拡大に伴い伸びている。2025年頃には、自動車メーカー各社のPHVやEVの車種ラインアップ拡充による販売台数の増加が予想されるため、充電器ネットワークサービスも伸びるとみられる。
駐輪場は1994年に改正された「自転車の安全利用の推進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」によって、放置自転車対策が推進されて以降伸びている。また、2018年に閣議決定された自転車活用推進計画によってシェアサイクルや通勤時の自転車利用が増加するとみられ、駐輪場も増加が予想される。
シェアサイクルは、2016年末の自転車活用推進法の成立や2020年東京五輪開催などの要因により、多くの企業が2017年から2018年にかけて参入し急激に伸びている。今後は、2018年に閣議決定された自転車活用推進計画により、2020年度目標としてシェアサイクルのポート数を1,700箇所まで増やすことが決定されたことから、さらなる伸びが予想される。
◆調査対象
インフラシステム | 駐車装置・機器(機械式パーキングシステム)、自走式立体駐車場(プレハブ・建物型)、駐車場管理システム、駐車場管制・案内システム、駐車アシスト・支援システム(リモート駐車システム)、自動バレーパーキングシステム、駐輪装置、駐輪場管理システム、普通充電器(プライベート)、普通充電器(パブリック)、急速充電器、ワイヤレス給電システム、電動バイク用充電器、V2Xユニット・システム |
パーキング&シェアサービス | コインパーキング、カーシェアリング、レンタカー、ライドシェア(カープール型)、駐車場シェアリング、バレーパーキングサービス、充電器ネットワークサービス、駐輪場、シェアサイクル |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。