PRESSRELEASE プレスリリース

第21071号

代替肉、食用昆虫などの代替タンパク商品の市場を調査
―2030年世界市場予測―
食用昆虫をはじめとする昆虫系代替タンパク商品は2020年比8.0倍の8,000億円。
食用や飼料用としての昆虫活用が世界的に注目

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、世界規模で食肉などのタンパク質需要が急増することによって起こるプロテインクライシスへの備えやサスティナビリティの観点からも期待される代替タンパク商品(代替肉などの商品やそれら商品の原料)の市場を調査した。その結果を「「プロテインクライシス」を救う“代替タンパク源生産技術"の最新トレンド」にまとめた。

この調査では、植物系や藻類系、昆虫系、微生物系、細胞培養系の代替タンパク商品について、現状や将来に向けた市場性を分析するとともに、国内外注目参入メーカーのケーススタディや、今後量産化において求められる生産技術・環境などのトレンドを整理した。

◆調査結果の概要

■代替タンパク商品の世界市場

 

2020年

2030年予測

2020年比

全 体

1兆 500億円

3兆2,000億円

3.0倍

 

植物系

6,000億円

1兆6,000億円

2.7倍

 

昆虫系

1,000億円

8,000億円

8.0倍

※植物系、昆虫系は全体の内数

世界的な人口の増加や新興国の経済発展に伴う食生活の変化により、人が必要とする食肉などのタンパク質の需給バランスが崩れるプロテインクライシスが懸念されている。一方でタンパク質確保のための畜産や養殖には膨大な量の飼料や水資源が必要とされるほか、耕作地や牧草地を開拓するための森林破壊や家畜が放出するメタンガスなどが地球温暖化の一因となることからサスティナブルな食糧生産が求められている。また、ベジタリアンやヴィーガンと言われる動物性タンパク質を摂らない菜食主義者が欧米を中心に増加している。これらを背景に代替タンパク商品は注目を集めており、市場が拡大している。

生産される素材から植物系や藻類系、昆虫系、微生物系、細胞培養系に分類した代替タンパク商品の市場は拡大しており、2020年に1兆500億円となった。世界各国で様々な企業が研究開発、本格的なビジネス展開を進めていることから、今後も拡大は続くと予想される。最も市場規模が大きいのが植物系で、それに次ぐのが藻類系である。昆虫系や微生物系の市場規模はまだ小さいが、2030年に向けて大きく伸びる。特に、昆虫系は2030年には藻類系を超え、植物系に次ぐ市場規模になるとみられる。

植物系は大豆を主原料にした大豆ミートをはじめ、エンドウ豆などを用いた商品や微生物系の酵母菌による発酵を組み合わせた商品も登場しており、代替肉の代表としての地位を確立している。味や香り、食感、見た目など、どのようにして“肉らしさ"を再現するかが代替肉商品開発の最大ポイントとなっている。また、エビや卵加工品などの代替商品についても販売がはじまっている。

市場は北米や欧州を中心に形成されている。代替肉を製造するImpossible FoodsやBeyond Meatの“肉らしい"商品に注目が集まっている。今後はこれらの商品の、中国をはじめとしたアジアなどへのグローバルな展開による市場拡大が期待される。日本ではこれまで豆腐ハンバーグが一定需要を獲得してきたが、大豆ミートについても健康志向の高まりとともに、大手食品メーカーや小売・外食チェーンで取り扱いが増えている。なお、海外に比べるとヴィーガン食やサスティナビリティといったキーワードの訴求力は弱く、健康や美味しさでの訴求が重要となっている。今後市場は代替肉の認知度向上や外食チェーンでの定番メニュー化、また、海外メーカーの参入により拡大が期待される。

昆虫系はローストした食用昆虫のほか、菓子やプロテインバーなどの加工食品、粉末状の食品原料などがある。素材としてはコオロギやミルワームなどが一般的である。また、バッタやアメリカミズアブを活用した加工食品や魚・動物向け飼料の販売も始まっている。日本ならではの事例としては蚕を食用とする取り組みがある。昆虫はこれまで有効活用できていなかったが、タンパク質やその他栄養素の豊富な新たな食品・食品原料とし期待されている。

市場は2013年の国連食糧農業機関(FAO)の報告をきっかけに、昆虫の食用や飼料用としての活用が世界的に注目されるようになって拡大しており、2030年には2020年比8.0倍の8,000億円が予測される。日本では伝統的に昆虫を食してきた地域もあるが、無印良品がコオロギせんべいを販売するなど、ここ数年注目度が高まっている。また、参入企業も多いことから、今後も市場は拡大すると予想される。

◆調査対象

代替タンパク商品(商品および商品原料)

植物系

藻類系

昆虫系

微生物系

細胞培養系

 

 

 

 

 

ケーススタディ

国内外注目参入メーカー15社


2021/07/19
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