PRESSRELEASE プレスリリース

第21125号

セキュリティ関連の国内市場を調査
新型コロナ流行を受けた新たな展開もあり拡大が期待される
―2024年市場予測(2020年比)―
■セキュリティ関連 1兆236億円(7.3%増)
~アクセスコントロールや家庭向け機器/サービス、自動車などの分野が大きく伸びる~
●高齢者在室安否確認サービス 23億円(35.3%増)
~住宅を中心に、サービス付高齢者向け住宅や介護施設での採用増が期待される~
●顔認証 39億円(85.7%増) 静脈認証 143億円(57.1%増)
~新型コロナ流行を受けた非接触対応ニーズにより様々な分野で採用が広がる~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、新型コロナウイルス感染症の流行にともなう、企業における働き方やセキュリティ関連の設備投資の在り方の変化により影響を受けている、セキュリティ関連の国内市場を調査した。その結果を「2021 セキュリティ関連市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、イベント監視/通報関連機器分野3品目、家庭向け機器/サービス分野6品目、監視カメラシステム分野4品目、防災関連システム/サービス分野3品目、アクセスコントロール分野7品目、自動車分野2品目の計25品目の国内市場について現状を調査し、将来を予想した。また、関連ソリューション13分野の動向についても整理した。

◆調査結果の概要

■セキュリティ関連の国内市場

 

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

イベント監視/通報関連機器

4,741億円

101.2%

4,852億円

103.6%

家庭向け機器/サービス

2,364億円

103.1%

2,533億円

110.5%

監視カメラシステム

977億円

105.2%

1,011億円

108.8%

防災関連システム/サービス

882億円

97.7%

922億円

102.1%

アクセスコントロール

559億円

112.9%

605億円

122.2%

自動車

288億円

123.1%

312億円

133.3%

合 計

9,811億円

102.9%

1兆   236億円

107.3%

※市場データは四捨五入している

2020年は東京五輪に向けた設備投資が一段落したほか、緊急事態宣言の発出により新築ビルや住宅の建設計画の見直し/遅延、企業の設備投資が抑制された影響を受けたものの、セキュリティ需要は底堅く、市場は前年比2.2%減にとどまった。

2021年は新型コロナの流行が続いているものの、人々の防犯・防災に対する要望は強く、企業のセキュリティ関連の設備投資も回復に向かっている。また、企業における働き方改革や人々の行動様式の変化により、それらに対応するセキュリティ関連ソリューション/サービスの新たな提案がベンダーによって進められている。

今後、バイオメトリクスが好調なアクセスコントロールや、高齢者在室安否確認サービスをはじめとした家庭向け機器/サービス、ドライブレコーダーを主軸とした自動車などがけん引し、市場拡大が予想される。

アクセスコントロールは、2020年は東京五輪案件の減少や企業の設備投資抑制から縮小したものの、2021年は感染症対策として非接触対応ニーズが高まっており、バイオメトリクス(特に静脈認証や顔認証)の需要が増加している。従来はオフィスや官公庁、データセンターなど高いセキュリティが求められる施設での利用が大半であったが、近年は住宅や店舗向けでの採用が増えている。

家庭向け機器/サービスは、ホームセキュリティサービスや緊急通報サービス、高齢者在室安否確認サービスなどのサービスは、堅調な伸びが続くとみられる。一方、建設市況の影響を受けやすい住宅設備関連機器(テレビドアホンや防犯ロックなど)が苦戦しており、今後は新設住宅着工戸数の減少による影響が懸念されるため、参入ベンダーはリフォームや集合住宅向けの展開を進めている。

自動車は、ドライブレコーダーがあおり運転取り締まりの強化や新モデルの投入などで伸びるとみられる。監視カメラシステムは、IPカメラが堅調に伸びるとみられ、特にAI/画像解析技術を活用した製造現場の作業効率化や、危険防止・事故防止、行動解析、省人化対応などの用途の広がりが予想される。防災関連システム/サービスは、被災者安否確認ツールがBCP対策や危機管理意識の向上を背景に中小企業などで普及が進んでいる。イベント監視/通報関連機器は法人向け機械警備サービスが堅調な需要を獲得している。

◆注目市場

●高齢者在室安否確認サービス

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

19億円

111.8%

23億円

135.3%

高齢者を対象にセンサーが搭載された機器や家具、家電などを使用した在室状況を見守るサービスを対象とする。離れて暮らす高齢者家族の安否確認ができるため、高齢者単身世帯の増加を背景に、市場は堅調に拡大している。

2020年は緊急事態宣言の発出、また、不要不急の外出や都道府県をまたぐ移動の自粛を受けて、訪問せずに高齢者の暮らしを見守ることができる利点により、需要が増えた。2021年以降も新型コロナ流行の影響や高齢者人口の増加により市場拡大が予想される。今後は住宅を中心に、サービス付高齢者向け住宅や介護施設での採用が期待される。

従来はセンサーが搭載された家具や家電を介したサービスが中心であったが、近年は服薬を通して、家族だけでなく薬剤師や介護施設の従業員にも安否確認の通知が届くケースなど、複合的な見守りサービスの提供が広がりつつある。

●顔認証、静脈認証

 

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

顔認証

27億円

128.6%

39億円

185.7%

静脈認証

130億円

142.9%

143億円

157.1%

顔認証は、登録した顔情報と目、鼻、口などの位置を基にして本人の顔を照合する認証方式である。ここでは入退室管理とPCアクセス管理用途を対象とする。スマートフォンの認証方式や東京五輪関連の施設で採用されたことから認知度が向上している。また、新型コロナ流行を契機に完全な非接触での認証が可能である点や体温測定機能、マスクを付けた状態でも認証可能な製品展開などで需要が増えている。

入退室管理用途は、非接触対応や測温機能の追加を利点として、感染症対策でニーズが高まっている。低価格なサーマルカメラの採用を切り口に新興メーカーが多く参入し、製品単価が下落したこともあり、2020年は一時的に縮小したが、2021年以降は感染症対策を軸に伸びるとみられる。PCアクセス管理用途は、前年の生命保険会社の大規模導入による特需の反動により、2020年は大幅に縮小した。しかし、今後は、情報セキュリティのガイドラインが刷新されたことで、官庁や金融機関、教育分野での採用が増えるとともに、テレワーク用端末への導入も拡大しており、伸長が期待される。

静脈認証は、身体内部の指静脈パターンを利用して本人認証を行い、偽造やなりすましが困難で高度なセキュリティが実現できることから、需要が増加している。ここでは入退室管理とPCアクセス管理用途を対象とし、指静脈と指紋を組み合わせたハイブリッド型や、静脈と動脈を組み合わせた血流認証なども含む。

入退室管理用途は、2020年は設備投資を抑制する動きがみられたものの、影響は軽微であった。2021年は非接触対応や認証精度の高さ、認証速度の速さが評価され、オフィスビルや官庁、データセンター、コールセンターなど、高いセキュリティが要求される分野を中心に採用が進んでいる。PCアクセス管理用途は、2020年は予定案件の導入延期など設備投資抑制の動きがみられ、前年比30%以上の縮小となった。しかし、落ち込みは一時的なものであり、2021年以降は自治体向けのリプレース需要や、厚生労働省が策定する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」改定により医療分野での採用が期待され、市場拡大が予想される。

●監視カメラ

 

2021年見込

2020年比

2024年予測

2020年比

IPカメラ

437億円

109.8%

464億円

116.6%

アナログカメラ

156億円

94.5%

155億円

93.9%

合 計

593億円

105.3%

619億円

109.9%

2020年は前年に東京五輪や再開発案件などで大きく伸びた反動減に加えて、新型コロナ流行によるビル工事の遅延や企業の設備投資抑制などにより、市場は前年比5.4%減となった。

2021年は新型コロナ流行により営業時間が制限された飲食業界や、利用者数が減少している鉄道施設、空港、宿泊施設など一部では設備投資抑制の動きがみられるものの、需要は堅調で、市場は前年比5.3%増の593億円と2019年と同等の規模までに回復するとみられる。

製品タイプ別ではIPカメラが中心となっている。利便性の高さや低価格化が進んだことで需要が堅調であり、主要メーカーも主力製品に位置づけているため、2021年以降も順調な伸びが予想される。アナログカメラは、アナログCCTVカメラからの切り替えが進むアナログHDカメラは底堅い需要がみられる。

画像解析ソリューションとして、新型コロナ流行の影響により混雑検知で使用されるケースが増えている。製造現場向けの作業効率化や安全対策、検品対応などの需要も堅調である。また、2020年にはサーマルカメラが急速に伸び、国内ベンダーが中国をはじめとした海外製品を調達し、販売する動きがみられた。

◆調査対象

セキュリティ関連システム・サービス

イベント監視/通報関連機器分野

 

 

・警備用ロボット/

・侵入センサー

・法人向け機械警備サービス

ドローン関連サービス

 

 

家庭向け機器/サービス分野

 

 

・ワイヤレスチャイム

・テレビドアホン/住宅情報盤

・緊急通報サービス

・ホームセキュリティサービス

・防犯ロック

・高齢者在室安否確認サービス

監視カメラシステム分野

 

 

・監視カメラ

・映像総合管理ソフトウェア

・画像伝送装置

・画像録画装置

 

 

防災関連システム/サービス分野

 

 

・火災報知設備

・ガス漏れ警報器

・被災者安否確認サービス

アクセスコントロール分野

 

 

・入退室管理システム

・指紋認証

・虹彩認証

(非接触カード式)

・静脈認証

・鍵管理ボックス

・フラッパーゲート

・顔認証

 

自動車分野

 

 

・ドライブレコーダー

・後付け盗難防止装置

 

用途別関連ソリューション

・AIカメラ

・作業効率化

・離院対策

・ビルタッチレス

・車両入退場管理

・医療機関遠隔監視

・混雑回避

・顔認証×MaaS

・スマートロック関連

・無人店舗

・顔認証改札

 

・生体認証

・顔認証ロックシステム

 


2021/12/21
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。