PRESSRELEASE プレスリリース
■住宅設備・建材市場 4兆7,508億円 (6.4%増)
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが進むことで拡大、断熱分野が伸長続く
●水洗金具市場 735億円(11.7%増)
新型コロナを契機に、タッチレスタイプが伸び、普及進む
●フェンス市場 759億円(16.8%増)
省施工商品や高強度製品などラインアップ拡充により、伸びる
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、新設住宅着工戸数の減少が予想されるものの、カーボンニュートラルの実現に向けたZEH住宅の増加により、堅調な需要が期待される住宅設備・建材の国内市場を調査した。その結果を「2022年版 住設建材マーケティング便覧」にまとめた。
この調査では、水廻り設備5品目、水廻り関連機器6品目、空調3品目、エコ設備3品目の住宅設備17品目、内装材(木質)6品目、内装材(非木質)2品目、断熱4品目、外部建具3品目、外装材8品目、エクステリア3品目の建材26品目、計43品目を対象に、新型コロナウイルス感染症の流行以降の市場規模およびメーカーの最新動向や商品開発、流通チャネルの最新トレンドなど市場の現状と今後の展望について整理・分析した。
◆調査結果の概要
■住宅設備・建材の国内市場
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2021年度見込 |
2020年度比 |
2025年度予測 |
2020年度比 |
住宅設備 |
2兆6,417億円 |
100.4% |
2兆7,727億円 |
105.4% |
建材 |
1兆9,314億円 |
105.2% |
1兆9,782億円 |
107.7% |
合 計 |
4兆5,731億円 |
102.4% |
4兆7,508億円 |
106.4% |
※市場データは四捨五入している
2021年度の市場は、新型コロナ流行の影響で落ち込んだ2020年度から拡大し、4兆5,731億円が見込まれる。感染症対策の一環として、換気や衛生面などに対する意識が向上しており、それに対応する製品の需要が増えている。また、在宅時間の増加に伴い、住宅のインテリアやエクステリア、水廻り設備の見直しが増えており、生活スタイルの変化が市場にプラスとなっている。
新設住宅着工戸数は人口・世帯数の減少や人手不足などもあり減少が想定されるものの、2021年度から2022年度にかけて、半導体不足やウッドショックなどで部品や材料の価格が高騰し、価格改定を実施する製品があることや、今後もカーボンニュートラルの実現に向けたZEH住宅の増加により、高断熱や高気密など省エネ性の高い製品の拡充、需要の開拓が進み、市場は2025年度に2020年度比6.4%増が予測される。
住宅設備市場は、新設住宅着工戸数の増加とリフォーム需要が堅調だったことから、多くの品目で2021年度は伸長するも、空調分野はルームエアコンが前年度に需要が大きく増加した反動により減少するため、拡大は小幅にとどまるとみられる。
建材市場は、新設住宅着工戸数の増加に加え、2021年度は断熱分野が価格改定により大きく伸びており、前年度比5.2%増が見込まれる。
■断熱分野
2021年度見込 |
2020年度比 |
2025年度予測 |
2020年度比 |
1,905億円 |
109.0% |
2,154億円 |
123.3% |
住宅用断熱材(繊維系・発泡系)、複層ガラス、遮熱/断熱塗料を対象とした。
住宅用断熱材や複層ガラスは新築住宅への採用が多いため、2020年度の市場は二桁近く縮小した。2021年度は住宅用断熱材(繊維系・発泡系)の価格改定もあり、前年度比9.0%増が見込まれる。また、2022年度以降は、2025年度の省エネ基準適合義務化などが予定されていることから、カーボンニュートラルの実現に向けた動きが本格化し、市場は拡大していくとみられる。
断熱材では、断熱性能の向上以外にも、在宅時間の増加を背景に防音対策ニーズが増えており、遮音性の高さを訴求した展開がなされている。また、複層ガラスについては台風などの災害対策として、メーカーは高い強度を持たせた製品のPR展開を進めている。
◆注目市場
●水栓金具
2021年度見込 |
2020年度比 |
2025年度予測 |
2020年度比 |
684億円 |
104.0% |
735億円 |
111.7% |
システムキッチンや洗面化粧台およびシステムバスなどの設備機器に付帯する水栓金具を対象とする。市場はシステムキッチンなど水廻り設備一式の需要に影響され、故障による交換以外で水栓金具単体での需要獲得が難しい。
感染症対策としての手洗い意識の向上により、タッチレスタイプの製品が伸びており、2021年度の市場は前年度比4.0%増が見込まれる。また、在宅時間の増加による家事の負担の軽減と清潔性維持を目的に撥水効果のある製品も注目されている。今後も、タッチレスタイプがけん引し、市場は緩やかながら、拡大するとみられる。
●フェンス
2021年度見込 |
2020年度比 |
2025年度予測 |
2020年度比 |
662億円 |
101.8% |
759億円 |
116.8% |
敷地の外周に設置され、住宅の敷地と隣家や道路との境界となるフェンスを対象とする。2018年に発生した大阪府北部地震によるブロック塀倒壊の事故をきっかけに、ブロック塀から軽量なアルミフェンスへのリプレースが続いており、省施工製品が伸びている。また、ユーザーの防災意識の高まりもあり、台風をはじめとする自然災害へのリスク対策として、耐風性を有する高強度製品の需要が増加している。
新型コロナによる外出機会の減少と在宅時間の増加に伴い、子供の遊び場や趣味を楽しむ場として自宅の庭を活用する機会が増え、プライバシーを守るために目隠し機能を備えた製品や高尺タイプの需要が増加したことから、2021年度の市場は拡大するとみられる。
目隠し機能を備えた製品や省施工製品、高強度製品などラインアップの拡充に加え、資材の原料や燃料、物流価格上昇により、2022年度に製品の値上げが行われていることもあり、今後も市場の拡大が予想される。
●樹脂サッシ
2021年度見込 |
2020年度比 |
2025年度予測 |
2020年度比 |
751億円 |
117.9% |
1,030億円 |
161.7% |
住宅サッシは、アルミ、樹脂、木、スチール、ステンレスなどが採用される。近年は、断熱性の高いサッシが主流になっており、このうち樹脂サッシを対象とした。
サッシは新設住宅着工戸数の影響を強く受けるが、樹脂サッシはリフォーム需要が高いことから、新設住宅着工戸数の影響は軽微である。
カーボンニュートラルの実現に向け、ZEH住宅の普及や住宅表示制度における断熱等性能等級5の施行などで、高断熱化の需要が高まっている。また、2025年度の省エネ基準適合義務化に加え、省エネ基準の引き上げなど、国の施策の変化に伴い住宅の高断熱化が一層加速するとみられ、リフォーム需要の高まりとともに市場は拡大し、2025年度には1,000億円を超えるとみられる。
◆調査対象
水廻り設備分野 |
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・ キッチン |
・ 浴室ユニット |
・ 水栓金具 |
・ 洗面化粧台 |
・ トイレ設備 |
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水廻り関連機器分野 |
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・ ビルトインコンロ |
・ 浄水器 |
・ 浴室暖房乾燥機 |
・ 食器洗浄乾燥機 |
・ レンジフード |
・ 家庭用給湯器 |
空調分野 |
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・ ルームエアコン |
・ 全館空調システム |
・ 床暖房システム |
エコ設備分野 |
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・ 住宅用太陽光発電システム |
・ 家庭用燃料電池 |
・ 定置用蓄電システム |
内装材(木質)分野 |
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・ フローリング材 |
・ 収納部材 |
・ 造作材 |
・ 室内ドア |
・ 階段ユニット |
・ 可動間仕切り |
内装材(非木質)分野 |
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・ 壁クロス |
・ クッションフロア |
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断熱分野 |
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・ 繊維系住宅用断熱材 |
・ 複層ガラス |
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・ 発泡系住宅用断熱材 |
・ 遮熱/断熱塗料 |
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外部建具分野 |
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・ サッシ |
・ 玄関ドア |
・ 窓シャッター |
外装材分野 |
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・ 窯業系サイディング材 |
・ 外装タイル |
・ 新生瓦(薄型平板瓦) |
・ 金属系サイディング材 |
・ ALC |
・ 塩ビ雨樋 |
・ 樹脂系サイディング材 |
・ 外装仕上材 |
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エクステリア分野 |
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・ 門扉 |
・ フェンス |
・ カーポート |