PRESSRELEASE プレスリリース
●太陽光発電サービス(リース、PPAなど) 424億円(2.4倍)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、従来省エネが中心であった家庭でのCO2削減において、脱炭素エネルギーの供給やエネルギー設備提供の広がりにより更なる進展が期待される家庭向け脱炭素サービスの動向について調査した。その結果を「家庭向け脱炭素サービスのビジネス参入動向調査」にまとめた。
この調査では脱炭素エネルギーの供給やエネルギー設備提供に関するサービスを中心に、家庭向け脱炭素ビジネスの実態と展開事業者の取り組み等をまとめた。
家庭部門でのCO2削減目標達成に向けて取り組みが強化され、各サービスの市場が拡大。
FIT買取価格の下落や制度自体の継続性などの課題もあり、認知向上や経済性の考慮も必要に。
◆注目市場
●太陽光発電サービス(リース、PPAなど)
2025年度予測 |
2022年度見込比 |
424億円 |
2.4倍 |
消費者が初期投資なしで太陽光発電システムを建物屋根などに設置し、発電電力を自家消費できる家庭向けサービスを対象とする。市場は年間サービス料で算出している。
2025年度の市場は2022年度見込比2.4倍の424億円が予測される。中小ビルダーによる新築戸建住宅向けのFIT売電収入を見込んだサービスモデルが主体であり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)推進の観点からこのサービスモデルを標準とした提案が進んでいる。足元のエネルギーコスト高騰が系統電力とサービス利用の価格差を縮め、導入のメリットが生じやすくなり、市場に好影響を及ぼしている。
2022年度からいくつかの自治体で中小規模建築物の新設・増設時に太陽光発電システムの設置を義務化する制度の導入や検討が始まった。将来的には実施する自治体が増え、市場の追い風になるとみられる。現状はFIT売電収入が低下していることもあり、継続的な拡大にむけてはFIT売電収入に頼らない自家消費モデルの創出が求められる。
●CO2フリー電気
2025年度予測 |
2022年度見込比 |
609億円 |
141.6% |
小売電気事業者が需要家に対し、主に水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力や、非化石証書、グリーン電力証書、Jクレジットなどの証書を活用して、ゼロエミッション価値のある電力を供給する家庭向けサービスを対象とする。環境価値をもたないFIT電気の電力小売や、需要家の自家消費を主目的とした太陽光発電サービス(リース、PPAなど)は対象外とする。
2020年度までは旧一般電気事業者や大手ガス事業者が主な参入企業であったが、2021年度から再エネ比率100%電力の採用を条件とするEV補助金事業が開始され、新規事業者の参入が相次いだ。2022年度には補助事業が終了し、電力価格高騰によって自治体と連携したリバースオークション(競り下げ方式により需要家が再エネ電気をより低価格で購入可能となる手法)は縮小したが、大手の参入によりグリーン電力の販売が拡大したことで供給量が急増した。
現状、環境性の訴求だけでは普及が進んでいないため、今後の市場拡大には、ポイント還元や地域貢献などの環境性以外の訴求や、太陽光・蓄電池・EV導入に付随した脱炭素施策との連動プラン導入などの普及促進策が重要になるとみられる。
◆調査結果の概要
●家庭向け脱炭素サービスの方向性
2030年度までの目標である、家庭部門で66%のCO2削減(2013年度比)に向けた官民連携の取り組みや、自治体の補助により、家庭向け脱炭素ビジネスが拡大していくとみられる。2022年度時点で規模が大きいのはピークシフト電気(オール電化・夜間)であり、今後は太陽光発電サービス(リース、PPAなど)や蓄電池サービス(リース、PPAなど)、CO2フリー電気などが伸長するとみられる。
特に、太陽光発電サービスは自治体による設置の義務化や、経済的なメリットの観点から家庭向け脱炭素サービス普及の軸になると位置付けられる。これまで太陽光発電システムの普及に貢献してきたFIT(固定価格買取制度)は買取価格の低下が続き、制度の継続性も不透明であることから、今後の普及に向けては、補助事業の有効活用も重要であるが、消費者の認知向上や経済性の考慮も重要となる。
◆調査対象
家庭向け脱炭素サービス |
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・CO2フリー電気 |
・蓄電池サービス(リース・PPAなど) |
・ピークシフト電気(オール電化・夜間) |
・EV関連サービス |
・カーボンニュートラル都市ガス |
・省エネ・DRサービス |
・太陽光発電サービス(リース、PPAなど) |
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