PRESSRELEASE プレスリリース

第23137号

機能性成分を添加・強化した
健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の国内市場を調査
― 2023年見込(2022年比) ―
●脂肪・コレステロール値改善市場 3,138億円 (9.9%増)
人流回復によるCVS来店客数の増加、猛暑により止渇需要拡大、商品投入も相次ぐ

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナウイルス感染症に関連する特需は収束したものの、消費者の健康意識は確実に底上げされており、今後もライトな健康対策需要を取り込んでいくと期待される健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2024 No.2 健康志向食品編」にまとめた。

この調査では、機能性成分を添加・強化し、それを訴求する一般加工食品(明らか食品、ドリンク類)を健康志向食品とし、29の訴求効能別に市場を分析した。なお、「同 No.1」では27の訴求効能別にサプリメント市場を調査・分析し、その結果の概要については2023年10月19日に公開している。また、「同 No.3」では保健機能食品市場を調査・分析し、「同 総括編」ではそれまでの調査・分析結果を総括する。

H・Bフーズ:健康(Health)の維持増進・回復や美容(Beauty)を目的に飲食する何かしらの

効能・効果(機能性)を期待できる・期待されるイメージをもつ食品

◆注目市場

●脂肪・コレステロール値改善

茶カテキンや難消化性デキストリン、乳酸菌類、ウーロン茶重合ポリフェノールなどの成分を含み、脂肪やコレステロールの低減などを訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「恵megumiガセリ菌SP株ヨーグルト」(雪印メグミルク)、ドリンク類では「お~いお茶 濃い茶」(伊藤園)、「伊右衛門 特茶 TOKUCHA」「サントリー烏龍茶 OTPP」(いずれもサントリー食品インターナショナル)、「からだを想うオールフリー」(サントリー)などがある。

2022年の市場は、2019年に機能性表示食品としてリニューアル発売された「お~いお茶 濃い茶」の躍進が続いたほか、「伊右衛門 特茶 TOKUCHA」の復調、機能性表示食品としてリニューアル発売された「サントリー烏龍茶 OTPP」や新商品の「伊右衛門 濃い味」(サントリー食品インターナショナル)の上乗せによって急拡大した。2023年は人流回復によるCVS来店客数の増加、猛暑により止渇需要が増えたことなどが市場の追い風となっている。また、飲料メーカーを中心とした値上げは、販売数量は落ち込むものの、販売金額ではプラスとなるケースが多く、ドリンク類の中では濃い系緑茶が伸びている。商品投入も相次ぎ、市場は前年比9.9%増の3,138億円が見込まれる。

商品投入が活発であり、中高年の生活習慣病予防に留まらず、脂肪対策やそれに付随するベネフィットの提案によってダイエットや美容ニーズなども取り込むなど、今後も市場は堅調な推移が期待される。

●睡眠サポート

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

768億円

147.7%

982億円

188.8%

乳酸菌類、テアニン、GABAなどを主成分とし、睡眠の質の向上・改善などを訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「メンタルバランスチョコレートGABAフォースリープ」(江崎グリコ)、ドリンク類では「Yakult1000」、「Y1000」(いずれもヤクルト本社)などがある。

市場は2015年の機能性表示食品制度の開始によって“睡眠の質向上"などの機能を明確に表示できるようになり、商品投入が進んだことで形成された。2022年の市場は、前年に全国発売となった、睡眠の質向上などを訴求する「Yakult1000」、「Y1000」の大ヒットにより急伸した。コロナ禍による生活リズムの乱れなどにより睡眠に対して悩みを抱える消費者が増加したことから、睡眠の質向上に対する関心が高まり、多くのメディアから睡眠対策情報が発信されたことで需要が顕在化した。2023年は、睡眠に対する意識が引き続き高く、食品・飲料での睡眠対策が消費者に浸透しつつある。「Yakult1000」、「Y1000」の好調が続いているほか、新商品投入も活発であることから、市場は前年比47.7%増の768億円が見込まれる。

今後も市場は拡大するが、一般用医薬品からも睡眠対策を訴求した小瓶タイプの商品が展開されており、剤形も近いことから、より機能を求めるユーザーは一般用医薬品へシフトする懸念もある。

●ビタミン・ミネラルチャージ

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

1,467億円

107.1%

1,500億円

109.5%

ビタミン、ミネラルといった成分を含み、各種栄養成分の補給やバランス維持を訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「塩分チャージタブレッツ」(カバヤ食品)、ドリンク類では「C.C.レモン」シリーズ、「グリー ン ダ・カ・ ラ」(いずれもサントリー食品インターナショナル)、「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ)、「キレートレモン」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)などがある。

2022年は、7月の気温が高かったことから熱中症対策としての需要が増加した。また、コロナ罹患時やワクチン接種時にパウチゼリー飲料を飲用するといった特需が発生したことで、市場は前年比二桁増となった。2023年は、記録的猛暑によってドリンク類、タブレット型商品の多くが大幅に伸びている。パウチゼリー飲料の、前年までの特需が落ち着いていることから、市場の伸びは前年より鈍化するものの、前年比7.1%増の1,467億円が見込まれる。
特需は収束したものの、消費者の基礎栄養補給の意識継続に伴い、今後も市場は拡大が予想される。一方で、対象とした商品は有糖が多いが、消費者の無糖飲料志向が高まっていることから、需要シフトも懸念される。また、近年の値上げで商品によっては販売数量が減少しており、今後も値上げが実施されれば買い控えも懸念される。

◆調査結果の概要

■健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

1兆7,243億円

104.9%

1兆7,719億円

107.8%

2022年は、リニューアルや新商品展開によって脂肪・コレステロール値改善が躍進したほか、社会的に注目が集まった睡眠サポートや人流増加によって市場環境が好転した滋養・強壮、ビタミン・ミネラルチャージも高い伸びとなり、市場は前年比7.5%増の1兆6,433億円となった。2023年は、人流増加が本格化したことに加え、猛暑による後押しを受けてドリンク類を中心に需要が活性化した。脂肪・コレステロール値改善や睡眠サポート、ビタミン・ミネラルチャージなどが引き続き需要を取り込み、市場は前年比4.9%増の1兆7,243億円が見込まれる。

明らか食品は機能系ヨーグルトの需要減退がみられるが、オーラルケア食品の需要回復などプラス要因もみられる。ドリンク類は乳酸菌飲料や、人流増加や猛暑を背景に高カテキン訴求の濃い系緑茶、止渇性の高いビタミン・ミネラル配合の商品が需要を獲得し続伸している。

*富士経済H・Bフーズの定義

H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。

*同H・Bフーズの分類

全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。

さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。

(1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載)

●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。

●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤形は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。

(2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載)

●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能性成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。

●ドリンク類:一般加工食品のうち、リキッド形状の商品を対象とし、医薬品/医薬部外品のドリンク剤と区分するために本調査では「ドリンク類」と呼称する。

*「保健機能食品」とH・Bフーズの関係

特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。

◆調査対象

健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)

1.滋養・強壮

2.肝機能改善

3.美容効果

4.整腸効果

 

5.食事代替ダイエット

6. その他ダイエット

7. スポーツサポート

8.脂肪・コレステロール値改善

 

 

9. 血糖値改善

10 .高血圧予防

11 .認知機能サポート

12 . その他生活習慣病予防

13.抗酸化・抗加齢

14.血行促進

15.免疫対策

16. ストマックケア

17.基礎栄養チャージ

18.骨サポート

19.関節・筋肉サポート

20. 覚醒効果

21. 貧血予防・改善

22. 喉の不快感除去

23.オーラルケア

ビタミン、黒酢・香醋、クエン酸、高麗人参、マカ、ローヤルゼリー、他

肝臓エキス、ウコン、オルニチン、カキ肉エキス、他

コラーゲン、プロテオグリカン、プラセンタ、セラミド、他

乳酸菌、ビフィズス菌、食物繊維、アロエ、オリゴ糖、乳酸菌・ビフィズス菌複合、プルーン、他

カロリー調整食品

食物繊維・マンナン、新甘味料、黒酢・香醋、他

プロテイン、アミノ酸、他

茶カテキン、難消化性デキストリン、ウーロン茶重合ポリフェノール、乳酸菌類、ローズヒップ由来ティリロサイド、黒酢・香醋、大豆たんぱく質、植物ステロール、中鎖脂肪酸、DHA・EPA、他

難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、他

ゴマペプチド、GABA、α-リノレン酸、酢酸、ラクトトリペプチド、他

GABA、βラクトリン、イチョウ葉、他

乳酸菌類、アンセリン、他

カカオポリフェノール、核酸、酵素

生姜、モノグルコシルヘスペリジン、ビタミンE、他

乳酸菌類、プロポリス、他

乳酸菌類

プロテイン、糖質、アミノ酸、他

カルシウム、大豆イソフラボン、他

グルコサミン、他

カフェイン、他

非ヘム鉄、ヘム鉄

複合、ハーブ・ミント系、メントール系、他

キシリトール、クロロフィル系、ハーブ・ミント系、ユーカリ抽出物、リカルデント、他

24.アイケア

25.ビタミン・ミネラルチャージ

26.ホルモンバランス

27.ストレス緩和

28.睡眠サポート

29.グリーンチャージ

ブルーベリー、ルテイン、他

マルチビタミン、ビタミンC、マルチミネラル、他

ザクロ、大豆イソフラボン、他

GABA、他

乳酸菌類、GABA、テアニン、他

青汁(大麦若葉、ケール、その他)、ミドリムシ(ユーグレナ)、他


2023/12/21
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