PRESSRELEASE プレスリリース
■完全栄養食 291億円 (2.1倍)
一般に認知され、新規需要の開拓が進む。パンや麺、米飯など主食形状の商品が人気
■茶系飲料におけるH・Bフーズ 2,082億円 (11.2%増)
濃い味商品が好調。付加価値として健康性を訴求するH・Bフーズは茶系飲料の二割弱
●H・Bフーズ 2兆8,370億円(4.8%増)
サプリメント伸び悩むも、ライトな健康志向の受け皿を担う明らか食品・ドリンク類けん引
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、サプリメント(機能志向食品)や健康性を訴求する食品(明らか食品)や飲料(ドリンク類)を対象としたH・Bフーズ市場を総括・分析した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2024 総括編」にまとめた。
この調査では、訴求効能別のほか、注目コンセプトや注目成分、形状別、チャネル別にH・Bフーズ市場を分析した。さらに健康性を訴求する商品が需要を獲得している加工食品市場におけるH・Bフーズの位置付けについても明らかにした。
◆注目市場
●完全栄養食
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」や「栄養素等表示基準値」などの基準をもとに1日に必要な栄養素を1/3以上含む、もしくはカロリー当たりの配合量が基準値を上回り、全般的な栄養摂取や完全栄養であることを訴求した加工食品を対象とした。なお、1日に必要な栄養素を含む食品であったとしてもダイエットなどを主訴求とする商品については含まない。
2019年頃までは、通信販売を中心としたニッチな市場であったが、コロナ禍を機に需要が高まり、2021年末のベースフードの販路拡大や2022年の日清食品「完全メシ」ブランドの発売に伴い、2020年から2022年まで高い伸びが続いた。
2023年は、引き続きベースフードと日清食品の2社が積極的なプロモーションを行っている。また、完全栄養食という言葉が一般に認知されたことで、その他企業の実績も拡大するなど、新規需要の開拓が進んでおり、市場は235億円が見込まれる。
展開当初は、欧米と同様に粉末飲料が主流だったが、日本では食事1食を粉末飲料に置き換えることへの抵抗感が強く、パンや麺、米飯など主食形状で普段の食事とのギャップが少ない商品が人気となっている。また、主食形状の手軽さにより、独身世帯や共働き世帯の増加が需要獲得につながっており、栄養摂取、ダイエット、時短など現代人のニーズを捉えて今後も市場は拡大を続けるとみられる。
●茶系飲料におけるH・Bフーズ市場
リキッドタイプ(ドリンク類)の紅茶、ウーロン茶、日本茶、麦茶、ブレンドティ、その他ティードリンクを対象とした。
茶系飲料の市場は2023年に1兆1,285億円が見込まれる。記録的な猛暑によって日本茶、麦茶などの需要が高まったものの、ミネラルウォーターへの需要流出により伸びが鈍化している。その中で、茶系飲料のH・Bフーズでは、サントリー食品インターナショナル「伊右衛門 濃い味」、伊藤園「お~いお茶 濃い茶」などの濃い味商品は伸び、前年比二桁増の2,082億円が見込まれる。茶系飲料のうち二割弱が健康性を訴求しているH・Bフーズである。
なお、訴求効能はサントリー食品インターナショナル「伊右衛門 特茶TOKUCHA」に代表される脂肪・コレステロール値改善が9割近くを占める。このほか、高血圧予防、血糖値改善、認知機能サポート、ストレス緩和などもあり、直近ではストレス緩和が伸びている。
今後、嗜好性の高い商品であっても付加価値の一つとして機能訴求を行うケースが増えるとみられる。一方で、訴求効能や関与成分が同一なことが多く、差別化が難しいことから、今後は淘汰される商品が出てくると予想される。
◆調査結果の概要
■H・Bフーズ市場
2023年は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことで外国人旅行客を含め人流が大きく回復するなどコロナ禍からの脱却が本格的なものとなり、市場は前年比3.1%増の2兆7,920億円が見込まれる。
種類別では、サプリメントが広告の表現規制強化によって伸び悩んでいるが、明らか食品・ドリンク類は商品投入が活発であり、訴求効能では脂肪・コレステロール値改善や睡眠サポート、コンセプトでは完全栄養食がけん引役となって伸びている。
健康維持・増進をサポートする存在としてサプリメントだけでなく、明らか食品・ドリンク類もライトな消費者の健康志向の受け皿といった役割を担っており、今後も多様な商品が展開されることで、H・Bフーズ市場を押し上げていくと期待される。
■加工食品におけるH・Bフーズ市場
加工食品におけるH・Bフーズは、明らか食品・ドリンク類を対象とした。
少子高齢化による長期的な人口の減少、SDGsなどを意識した企業・消費者の変化、価格改定などから加工食品市場が苦戦する中、付加価値の一つとして健康訴求の活用が活性化している。
2015年以降は、2020年を除いて、加工食品、H・Bフーズともに市場拡大を続けており、H・Bフーズは加工食品の伸びを上回っている。加工食品市場におけるH・Bフーズの比率は2023年には7.3%が見込まれ、2015年の5.8%から上昇している。
*富士経済H・Bフーズの定義 H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としない。 *同H・Bフーズの分類 全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けた。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品。 さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。 (1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載) ●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象とした。 ●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤形は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称する。 (2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載) ●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能性成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象とした。 ●ドリンク類:一般加工食品のうち、リキッド形状の商品を対象とし、医薬品/医薬部外品のドリンク剤と区分するために本調査では「ドリンク類」と呼称する。 *「保健機能食品」とH・Bフーズの関係 特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象とした。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外とした。 |
◆調査対象
・肝機能改善
・美容効果
・整腸効果
・食事代替ダイエット
・抑制系・燃焼系ダイエット
・その他ダイエット
・スポーツサポート
・脂肪・コレステロール値改善
・血糖値改善
・高血圧予防
・認知機能サポート
・その他生活習慣病予防
・抗酸化・抗加齢
・血行促進
・ストマックケア
・基礎栄養チャージ
・骨サポート
・関節・筋肉サポート
・覚醒効果
・貧血予防・改善
・喉の不快感除去
・オーラルケア
・アイケア
・ビタミン・ミネラルチャージ
・ホルモンバランス
・ストレス緩和
・睡眠サポート
・グリーンチャージ
・生活習慣病予防
・フェムケア・オムケア
・美白・紫外線対策
・においケア
・完全栄養食
・DHA・EPA
・プロテイン
・アミノ酸
・ビタミン
・クエン酸
・コラーゲン
・グミ
・ゼリー
・小瓶ドリンク
・訪問販売
・薬局・薬店
・CVS
・乳酸菌飲料類
・ドリンクヨーグルト
・ビネガードリンク
・ヨーグルト
・チョコレート