PRESSRELEASE プレスリリース
■主要FAロボットの中国市場 1兆160億円(6.1%増)
需要の低迷に底を打ち拡大に向かう。ローエンド製品を中心に中国メーカーが伸長
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、前年の低迷を抜け出し2024年に入り需要が回復しつつある中国のFAロボット市場について、中国ロボットメーカーと外資系ロボットメーカーの動向を踏まえ調査した。その結果を「中国市場でのプレゼンスを高めるローカルロボットメーカー対抗策に関する考察」にまとめた。
この調査では、スカラロボット、垂直多関節ロボット、協働ロボットの主要FAロボットについて、中国市場の現状を把握し、今後の方向性を予想した。また、中国政府の後押しを受けて存在感を増している中国ロボットメーカーの動向を捉えるとともに、現時点で高いシェアを占める外資系ロボットメーカーの対抗策と今後の展開について考察した。
◆調査結果の概要
■主要FAロボット(スカラ、垂直多関節、協働)の中国市場
2023年の市場は、中国経済の悪化により設備投資が低調だったため前年比6.4%減となった。前年に続きスマートフォン関連の需要が低迷したことや、後半には車載バッテリー関連の設備投資に急ブレーキがかかったことが縮小に拍車をかけた。2024年に入り、需要の低迷が底を打ったとみられ、市場は緩やかな回復が予想される。人手不足を背景としたロボットによる自動化ニーズは底堅く、今後、市場は再び拡大に向かうとみられる。
市場は、外資系メーカーが8割以上を占めている。特に、ファナックや安川電機、セイコーエプソン、ヤマハ発動機などの日系メーカー、ドイツのKuka、スイスのABBなどの実績が高い。中国メーカーはEstun、Inovance、JAKA、AUBOなどを中心に実績を伸ばしている。これまで中国メーカー製ロボットは品質面に不安があったが、「中国製造2025」などを背景に、国家戦略としてロボット本体および構成部材の開発に取り組んでおり、外資系メーカーに作業精度や耐久性などの面で追い付こうとしている。また、中国政府は、国内の製造業事業者に対して、中国メーカー製の設備・FA機器の購買を推奨しているため、今後も中国メーカーの存在感が高まると予想される。
ロボットのグレード別にみると、特に、ローエンド領域で中国メーカーの進出が目覚ましい。将来的には技術力向上により、ミドルレンジ領域でも外資系メーカーとの競争が可能になると予想される。外資系メーカーは、価格競争力を高めるための廉価機種の開発や、ハードウェア・ソフトウェアの共通化などにより価格低減に努めるとともに、性能による差別化や付加価値提案の強化、サポートの充実などで対抗策が必要になるとみられる。
◆調査対象
ロボットタイプ
・スカラロボット・垂直多関節ロボット
・協働ロボット
ロボットメーカー
・中国ロボットメーカー・日系ロボットメーカー
・欧米系ロボットメーカー