PRESSRELEASE プレスリリース

第24099号

メディカルコスメ、ドクターズコスメの国内市場を調査
― 2028年予測(2023年比) ―
■メディカルコスメの国内市場  310億円(54.2%増)
美容クリニックの受診者や施設数の増加、商品の消費者認知拡大により伸びる
■ドクターズコスメの国内市場  1,025億円(44.6%増)
低刺激などの安心・安全性と機能性を兼ね備えた商品が増加して拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、美容クリニックでの治療や施術に対する関心が高まり、高い機能性が注目されるメディカルコスメと、安心・安全と機能性の両立で消費者ニーズが高まるドクターズコスメの市場を調査した。その結果を「メディカルコスメ・ドクターズコスメの最新動向 2024」にまとめた。

この調査では、国内のスキンケア化粧品(洗顔料、クレンジング、モイスチャー、スポットケア、化粧水、乳液、美容液、パック)のうち、メディカルコスメ、ドクターズコスメを5つの機能(美白、アンチエイジング、敏感肌・術後ケア、肌荒れ・ニキビケア、角質・毛穴ケア別)に分類して最新の市場を捉え、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■メディカルコスメ、ドクターズコスメの国内市場

メディカルコスメ、ドクターズコスメの国内市場

メディカルコスメは、美容クリニックをメインチャネルとして販売するスキンケア化粧品を対象とし、治療や施術に使用する化粧品や院内製剤は対象外とする。ドクターズコスメは、医師や皮膚科などの医療機関が監修または開発に携わったことを訴求し、消費者が市販ルートで購入するスキンケア化粧品を対象とする。

新型コロナウイルス感染症流行の影響によるマスク生活で、皮脂・毛穴トラブルやシワ、フェイスラインのたるみなどに悩む消費者が増えたことや、マスク生活と外出機会の減少のためクリニックでの施術後のダウンタイム(手術などによる赤みや痛み、腫れ、内出血などが回復するまでの期間)への許容度が高まった。それによりクリニックの受診客が増加し販売促進に繋がったことでメディカルコスメが伸び、2022年以降市場は毎年10%以上拡大している。2023年になると脱マスクが進み、肌トラブルのケア需要がさらに高まってより効果実感が期待できるメディカルコスメ、ドクターズコスメ市場が活性化した。

メディカルコスメは、美容クリニックの増加と低価格化、心理的な受診ハードルの低下などから、しわやシミの治療に通う消費者が増えたことに伴い拡大してきた。2022年までは、高濃度の美容成分を配合し高い効果が期待できる“攻め"のスキンケアが話題となり高成長が続いた。2023年からは、レチノールなど高濃度配合商品の使用による肌トラブル事案を受けて販売方法の見直しなどがあったため、市場の伸びはやや緩やかになるものの、引き続き消費者ニーズは大きいため、2024年の市場は前年比10.4%増の222億円が見込まれる。

今後も美容クリニックの受診ハードルの低下やクリニック数の増加に加え、SNSを活用した医師からの情報発信や、コロナ禍で活発化したクリニックのECサイトへの広告などで消費者認知も進んでおり、市場拡大が続くとみられる。

ドクターズコスメは、安全性や低刺激処方のイメージが強いことから、敏感肌を自認する消費者が増加することで緩やかに拡大してきた。安全・安心ニーズが底堅い一方、より積極的な美容効果を求める消費者が増えていることから、近年は皮膚科医と共同開発し高い機能性を打ち出した商品の投入が活発化して、市場が拡大している。市場は順調に拡大し、2028年には1,000億円を上回ると予測される。

■機能別構成比(2024年見込)

機能別構成比(2024年見込)

メディカルコスメ市場、ドクターズコスメ市場における各機能の構成比を示した。複数の機能を訴求した商品(アンチエイジングと敏感肌など)の実績はそれぞれの機能にカウントしている。

メディカルコスメはアンチエイジング訴求商品の構成比が50%程度、美白が30%程度となる。美容クリニックでの施術はシミやしわ、たるみの改善を目的とすることが多いため、化粧品の機能も連動する形となっている。

ドクターズコスメは角質・毛穴ケアとアンチエイジングの構成比が30%台で拮抗し、敏感肌・術後ケアがそれに続く。2023年まではアンチエイジングの構成比が最も大きかったが、2024年は角質・毛穴ケアが大きく伸びているため逆転するとみられる。近年は、敏感肌でも使用できる美白やアンチエイジングケアを訴求する商品が活発に発売されているため、各機能の拡大とともに敏感肌・術後ケアも伸びている。低刺激でありながら、効果も期待できるとして、敏感肌ではない消費者の需要獲得にもつながっている。

◆注目市場

●アンチエイジング

アンチエイジング

メディカルコスメは、高いアンチエイジング効果が期待できる高濃度レチノールを配合した化粧品がヒットし、2020年以降レチノールブームが起こったことで急拡大した。高濃度レチノール配合の化粧品は、高い効果が期待できる一方で肌の赤みや皮むけなどの副反応が生じやすいが、シワ・たるみなどの肌悩みが増加したことに加え、マスク生活や外出機会の減少により、化粧品使用でトラブルが生じても肌を見せる機会が少なかったため消費者の使用意向が高まった。2024年は脱マスクが進んで副反応が生じる化粧品の使用意向が低下したことに加え、肌トラブル事案を受けて、レチノール配合化粧品の販売方法の見直しなどから苦戦する商品もみられる。しかし消費者のアンチエイジングへの意欲は高いことから、メーカーでは新たなトレンド成分の訴求やレチノール非配合商品の重点展開を進めている。植物由来成分やペプチド配合によるエイジングケアを打ち出した海外新興ブランドも登場して認知が高まっており、市場は拡大が続くとみられる。

ドクターズコスメは、メディカルコスメでのレチノール配合化粧品のヒットが波及し市場が活発化し、レチノールとの同時配合が難しいビタミンCと組み合わせた処方で差別化を図った商品などの展開で処方技術の高さを訴求し、美容感度の高い消費者を掴んでいる。メディカルコスメでは高濃度レチノール商品は、肌トラブルの問題もあって苦戦する商品も見られるが、ドクターズコスメでは、高い効果を訴求した商品から、副反応の出にくい低刺激訴求商品までバリエーションが増え、今後もレチノールを取り入れたスキンケアが定着することで伸びが予想される。

●角質・毛穴ケア

角質・毛穴ケア

メディカルコスメは、美容クリニックでのピーリングと並行したホームケア用品として市場が拡大してきた。美容医療においてピーリングは定着しており、施術メニューのバリエーション増加や低価格化により、若年層を含めた幅広い消費者の受診が増えている。コロナ禍での受診増加や美容クリニックへの配荷拡大で2020年、2023年と市場は大幅に拡大した。商品面では皮脂コントロールによる毛穴詰まりや黒ずみの根本的なケアが医師からの支持を集めているほか、日本人の肌に合わせた商品も発売され、今後も拡大が続くとみられる。

ドクターズコスメは、従来ピールオフ用のパックなど物理的に角質を剥がすケアが定番であったが、肌への刺激を懸念する消費者が増える中で「タカミ スキンピール」(日本ロレアル)が"剝がさない角質ケア"が出来る美容液として話題を呼び市場が拡大した。他社からも美容液タイプが発売され、角質ケアアイテムのエントリーユーザー開拓に成功している。今後もドクターズコスメならではの敏感肌でも使用できる低刺激なケアを訴求することで伸びが続くとみられる。

◆調査対象

品目
・メディカルコスメ
・ドクターズコスメ

訴求機能
・美白
・アンチエイジング
・敏感肌・術後ケア
・肌荒れ・ニキビケア
・角質・毛穴ケア

販売チャネル
・薬局・薬店、ドラッグストア・量販店
・百貨店・化粧品専門店
・バラエティショップ・コスメセレクトショップ
・医科ルート
・通信販売
・その他


2024/10/28
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