PRESSRELEASE プレスリリース
■サプリメント市場 1兆606億円(98.6%)
脂肪・コレステロール値改善を中心に苦戦し、縮小の見込み
スポーツサポートや美容効果は好調を維持
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流が増えたことや訪日外国人観光客の増加に伴うインバウンド需要の回復がみられ、また、訴求効能別では美容効果やビタミン・ミネラルチャージ、スポーツサポートなどが好調であるものの、消費マインドの低下による顧客離れがみられるサプリメントの国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.1 機能志向食品編」にまとめた。
この調査では、27の訴求効能別にサプリメント市場を分析した。なお「同 No.2」では健康や美容を訴求する一般加工食品を効能訴求別に分類した明らか食品とドリンク類、「同 No.3」では保健機能食品の市場を分析し、「同 総括・パーソナライズ編」ではこれまでの分析結果を総括する。
H・Bフーズ:健康(Health)の維持増進・回復や美容(Beauty)を目的に飲食する
何らかの効能・効果(機能性)を期待できる・期待されるイメージをもつ食品
◆調査結果の概要
■サプリメントの国内市場
2015年の機能性表示食品制度の開始以来、新型コロナが流行するなかでも体調管理や健康意識の高まり、コロナ太り対策などで需要を獲得し、市場は拡大を続けてきた。
2023年は、人流増加やインバウンド需要の回復によって、ドラッグストアなどの店頭チャネルを中心に需要が増加した。特に、美容サプリメントやビタミン・ミネラルチャージサプリメントが好調だったほか、スポーツサポートサプリメントはユーチューバー監修商品や運動後の疲労回復サポートが期待できるとしてアミノ酸の認知が広がったことにより好調だった。しかし、通信販売は競合激化や広告表現の規制強化により新規顧客の獲得効率が低下したことや、コロナ禍で発生したダイエット関連などの特需も落ち着き、市場の伸びは鈍化した。
2024年は、スポーツサポートはパリ五輪の影響などで引き続き需要が増加すると予想されるが、広告表現の規制強化や競合激化が市場拡大の逆風となっている。また、脂肪・コレステロール値改善を中心に顧客の離脱や消費マインドの低下がみられ、市場に大きな影響を及ぼすと予想される。
◆注目市場
●美容効果
コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸などの成分を含み、しわやにきび、肌荒れ対策など美容効果を訴求する商品を対象とする。
高齢者人口の増加や健康意識の高まりにより、美容だけでなく健康維持や体調管理を目的とした栄養素補給の志向が高まっている。2023年は、「ニッピコラーゲン100」(ニッピコラーゲン化粧品)など加齢によるコラーゲン減少を補う商品やビタミンの吸収効率の高さをうたった商品が伸びたことから、2023年の市場は前年比9.6%増の584億円となった。
・美容効果の成分種類別
今後も、美容トレンドの変化や健康情報の発信によって、美容効果に加えてコラーゲンやビタミンなど体に必要な栄養素が補給できる商品の需要が高まるとみられる。また、訪日外国人客の増加に伴うインバウンド需要の増加により市場拡大が予想される。一方で、知名度の高いプラセンタやヒアルロン酸などは安定した需要を獲得しているものの、新奇性の低下や既存企業の注力低下で減少しており、新商品の投入や新奇性の高い成分の登場が期待される。
●スポーツサポート
プロテインのほかアミノ酸などを配合し、身体づくりや運動時のパフォーマンス向上、運動後の回復サポートなどを訴求した商品を対象とする。運動を伴わない痩身やダイエットをコンセプトとした商品は対象外とした。
2023年は、2015年以降のプロテインブームをきっかけに獲得したライトユーザーの一部離脱がみられたものの、継続的にトレーニングや運動を行うユーザーがプロテインバー・ドリンクなどからシフトするケースがみられた。また、ユーチューバー監修商品が需要を喚起したほか、必須アミノ酸であるEAAが運動後の疲労回復や筋肉生成などへの効果が期待できるとして認知が高まり市場は拡大した。
・スポーツサポートの成分種類別
プロテインは、2022年以降ブームが落ち着きライトユーザーの離脱があったものの、アシッドホエイプロテインといった新商品による需要喚起もあり伸びている。今後も継続的にトレーニングを行うユーザーでは、明らか食品やドリンク類など他商品から需要が流入するとみられる。
アミノ酸は、EAAを筆頭に筋肉のエネルギー源としてトレーニングの効率向上や運動後の疲労回復促進といった認知の高まりで、企業の新規参入が続き市場が活性化している。
2024年は、パリ五輪の影響で新規ユーザーの獲得が進んだほか、EAAの好調な伸びが続くが、市場は成熟期を迎えているため拡大は緩やかになるとみられる。
◆富士経済H・Bフーズの定義
◆調査対象
機能志向食品(サプリメント)1.滋養・強壮
ローヤルゼリー、ニンニク、高麗人参、黒酢・香醋、深海鮫エキス、スッポン、マカ、他
2.肝機能改善
オルニチン、ウコン、スルフォラファン、カキ肉エキス、肝臓エキス、他
3.美容効果
コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、アスタキサンチン、他
4.整腸効果
アロエ、プルーン、ビフィズス菌、乳酸菌、食物繊維、他
5.食事代替ダイエット
カロリー調整食品、酵素系カロリー調整食品
6.抑制系・燃焼系ダイエット
ターミナリアベリリカ由来没食子酸、エラグ酸、ブラックジンジャー、葛の花由来イソフラボン、L-カルニチン、サラシア、ギムネマ酸、他
7.その他ダイエット
酵素、食物繊維・マンナン、他
8.スポーツサポート
プロテイン、アミノ酸、他
9.脂肪・コレステロール値改善
DHA・EPA、ナットウキナーゼ、キトサン、レシチン、他
10.血糖値改善
サラシア、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、他
11.高血圧予防
サーデンペプチド、GABA、ラクトトリペプチド、他
12.認知機能サポート
DHA・EPA、イチョウ葉、他
13.その他生活習慣病予防
ルテオリン、アンセリン、他
14.抗酸化・抗加齢
核酸、酵素、ゴマエキス、コエンザイムQ10、レスベラトロール、NMN、他
15.血行促進
ビタミンE、生姜、シトルリン、モノグルコシルヘスペリジン、ヒハツ由来ピペリン類、他
16.免疫対策
乳酸菌類、プロポリス、アガリクス、霊芝、β-カロチン、他
17.基礎栄養チャージ
プロテイン、アミノ酸、他
18.骨サポート
カルシウム、他
19.関節・筋肉サポート
グルコサミン、コラーゲン、アミノ酸、他
20.貧血予防・改善
非ヘム鉄、ヘム鉄
21.オーラルケア
植物抽出エキス、乳酸菌類、シャンピニオンエキス、他
22.アイケア
ルテイン、ブルーベリー、カシス、アスタキサンチン、他
23.ビタミン・ミネラルチャージ
マルチビタミン・ミネラル、ビタミンC、マルチビタミン、葉酸、マルチミネラル、ビタミンB群、亜鉛、他
24.ホルモンバランス
大豆イソフラボン、ノコギリヤシ、ザクロ、ガウクルア、他
25.ストレス緩和
乳酸菌類、GABA、セントジョーンズワート、他
26.睡眠サポート
グリシン、GABA、テアニン、他
27.グリーンチャージ
青汁(大麦若葉、ケール、その他)、ミドリムシ(ユーグレナ)、クロレラ、野菜粒、スピルリナ、他