PRESSRELEASE プレスリリース
健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場を調査
■健康志向食品(明らか食品・ドリンク類) 1兆7,944億円(1.9%増)
消費者の健康意識は高く、脂肪・コレステロール値改善など主要な健康課題の需要が堅調
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、プロテイン、睡眠などのブームは落ち着いたものの、消費者の健康意識が高く、伸びが続いている健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.2 健康志向食品編」にまとめた。
この調査では、29の訴求効能別に明らか食品とドリンク類の最新市場をまとめ将来を展望した。なお、「同 No.1」ではサプリメント市場を分析した。その調査結果の概要は2024年10月に発表した。今後「同 No.3」では保健機能食品の市場を分析し、「同 総括・パーソナライズ編」ではこれまでの分析結果を総括する。
◆調査結果の概要
■健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場
2023年の市場は前年比6.6%増となった。消費者の健康意識が高いことや、人流回復による需要増加に加え、記録的な猛暑で止渇飲料の需要が増加したこと、また、値上げによる上乗せもあって好調を維持した。訴求効能では、睡眠サポートは関心が引き続き高く、市場が前年比1.5倍ほどに拡大したほか、止渇需要の高まりを受けて無糖茶やビタミン・ミネラルチャージを訴求したドリンクも好調であった。
2024年は、市場規模の大きい脂肪・コレステロール値改善や免疫対策などが伸びており、市場は前年比1.9%増の1兆7,944億円が見込まれる。近年高伸長を続けてきた睡眠サポートは、ブームの沈静化などから伸びが落ち着いたものの、睡眠時間や睡眠の質に関する啓発もあり、安定した需要が期待される。
2024年12月時点では、消費行動に大きく影響するトレンドは見られないが、健康意識の高さに加え、物価高騰によって価格への意識がシビアになっている消費者に対する低価格以外のアプローチとして、今後も健康性・機能性は有望であるとみられる。
なお、2024年3月に起きたサプリメントにおける健康被害が市場に悪影響を及ぼすことが懸念されたが、消費者の意識はサプリメントに集中し、明らか食品・ドリンク類に関係するメーカーによる広告出稿や店頭配荷の減少はあまりみられなかった。同年9月の機能性表示食品の制度改正もサプリメントが対象であるため、明らか食品・ドリンク類市場への影響は軽微であるとみられる。
◆注目市場
●基礎栄養チャージ(完全栄養食を含む)
食事代替のゼリー飲料やバー・ブロックタイプ食品、5大栄養素をバランス良く配合した食品・ドリンク類を対象とし、完全栄養食をコンセプトとする商品も含む。
2021年以降プロテインブームの後押しで市場は大きく拡大したが、ブームの落ち着きによるライトユーザーの離脱や、ブランド撤退、物価高騰による買い控えなどが影響し、2024年は前年比微減になるとみられる。
明らか食品の市場は、ロングセラーのバー・ブロックタイプが苦戦する一方、完全栄養食は参入企業が麺やパンなどの主食メニューを積極的に展開し、コスパ・タイパを重視する若年層を中心にユーザーを増やして成長している。2024年は完全栄養食がバー・ブロックタイプの苦戦をカバーして前年比微増、2025年も完全栄養食の参入企業が新商品投入や広告販促に積極的であり、さらなる伸びが予想される。
ドリンク類は、ゼリー飲料やプロテインドリンクが含まれる。2024年の市場はプロテイン訴求ブランドの撤退により減少が見込まれるが、市場規模の大きいゼリー飲料は安定しており、2025年は前年を上回るとみられる。
●免疫対策
乳酸菌などのはたらきによる風邪予防、花粉症などのアレルギー対策を訴求した商品を対象とし、飲むヨーグルトや乳酸菌飲料などのドリンク類が主体である。
2023年は一部の有力商品が訴求効能を変更したため、免疫対策の対象外となったことや、コロナ禍の落ち着きと共に消費者の免疫対策意識が薄れたことで、市場は前年比10%以上の減少となった。
2024年以降、市場は再び上向くとみられる。感染症と関連した免疫対策意識は落ち着いているものの、個人的なイベントなどに合わせた体調管理の意識が広がり、日常的な飲用が進むなど、冬場中心の需要に変化がみられる。メーカーも日常的な体調管理を訴求したPR活動や新商品発売に積極的であり、今後市場拡大が予想される。
●生活習慣病予防
脂肪・コレステロール値改善、血糖値改善、高血圧予防、認知機能サポート、その他生活習慣病予防を含む。市場の約90%は脂肪・コレステロール値改善が占め、拡大をけん引している。また、対象商品のほとんどが無糖茶を中心とするドリンク類である。
脂肪・コレステロール値改善は、生活習慣病予防や体型維持といった代表的な健康課題との関連が深く、需要が底堅い。近年は健康需要に加え、濃さを訴求した緑茶がトレンドになるなど味覚面も市場拡大に寄与しており、2024年は前年比5.8%増の3,287億円が見込まれる。
大手飲料メーカーが積極的に商品を展開しており競合が厳しく、企業単位では健康面からのアプローチだけで伸びを維持するのは難しくなりつつあるものの、今後も消費者の脂肪・コレステロール値の対策意識は旺盛とみられ、市場は拡大していくと予想される。
◆富士経済H・Bフーズの定義
◆調査対象
健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)滋養・強壮
ビタミン、黒酢・香醋、クエン酸、高麗人参、マカ、ローヤルゼリー、他
肝機能改善
肝臓エキス、ウコン、オルニチン、カキ肉エキス、他
美容効果
コラーゲン、プロテオグリカン、プラセンタ、セラミド、他
整腸効果
乳酸菌、ビフィズス菌、食物繊維、アロエ、オリゴ糖、乳酸菌・ビフィズス菌複合、プルーン、他
食事代替ダイエット
カロリー調整食品、酵素系カロリー調整食品
その他ダイエット
食物繊維・マンナン、新甘味料、黒酢・香醋、他
スポーツサポート
プロテイン、アミノ酸、他
脂肪・コレステロール値改善
茶カテキン、難消化性デキストリン、ウーロン茶重合ポリフェノール、乳酸菌類、ローズヒップ由来ティリロサイド、黒酢・香醋、大豆たんぱく質、植物ステロール、中鎖脂肪酸、DHA・EPA、他
血糖値改善
難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、他
高血圧予防
ゴマペプチド、GABA、α-リノレン酸、酢酸、ラクトトリペプチド、他
認知機能サポート
GABA、βラクトリン、イチョウ葉、他
その他生活習慣病予防
乳酸菌類、アンセリン、他
抗酸化・抗加齢
カカオポリフェノール、核酸、酵素
血行促進
生姜、モノグルコシルヘスペリジン、他
免疫対策
乳酸菌類、プロポリス、他
ストマックケア
乳酸菌類
基礎栄養チャージ
プロテイン、糖質、アミノ酸、他
骨サポート
カルシウム、MBP、他
関節・筋肉サポート
グルコサミン、ブラックジンジャー、他
覚醒効果
カフェイン、他
貧血予防・改善
ヘム鉄、非ヘム鉄
喉の不快感除去
複合、ハーブ・ミント系、メントール系、他
オーラルケア
キシリトール、クロロフィル系、ハーブ・ミント系、ユーカリ抽出物、リカルデント、他
アイケア
ブルーベリー、ルテイン、他
ビタミン・ミネラルチャージ
マルチビタミン、ビタミンC、マルチミネラル、他
ホルモンバランス
ザクロ、大豆イソフラボン、他
ストレス緩和
GABA、テアニン、他
睡眠サポート
乳酸菌類、GABA、テアニン、他
グリーンチャージ
青汁(大麦若葉、ケール、その他)、ミドリムシ(ユーグレナ)