PRESSRELEASE プレスリリース

第20005号

次世代物流システム・ビジネス市場の調査結果
人手不足の対応策としてロボティクス、IoT、AIなどを活用したシステムの需要増加
―2025年市場予測(2018年比)―
■次世代物流システム 9,232億円(2.1倍)
~ロボティクス・オートメーションやAIなどが大きく伸びる~
●倉庫ロボットシステム 270億円(8.4倍)
~AIを活用した作業最適化なども進むとみられ、幅広いユーザーの導入が進む~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、物流現場における人手不足を解決する手段として自動化設備やソフトウエアを活用した省人化提案が進むと同時に、ユーザーニーズの多様化などに伴う需要増加により拡大を続けている、次世代物流システム・ビジネスの市場を調査した。その結果を「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」にまとめた。

この調査では、次世代物流システムとしてロジスティクス・ファシリティ8品目、ロボティクス・オートメーション9品目、IoT(ソフト・ソリューション)5品目、IoT(ハード)5品目、AI4品目、また、次世代物流ビジネスとして通販フルフィルメントサービスや倉庫シェアリングなど4品目について、市場の現状を分析し、将来を予想した。

◆調査結果の概要

■次世代物流システム市場 ※市場は国内市場+日系メーカー海外実績

 

2019年見込

2018年比

2025年予測

2018年比

ロジスティクス・
ファシリティ

2,987億円

106.4%

4,997億円

178.0%

ロボティクス・
オートメーション

424億円

109.0%

1,182億円

3.0倍

IoT(ソフト・
ソリューション)

722億円

108.2%

1,230億円

184.4%

IoT(ハード)

437億円

107.6%

634億円

156.2%

AI

61億円

196.8%

1,189億円

38.4倍

合 計

4,631億円

107.7%

9,232億円

2.1倍

2019年の市場は2018年比7.7%増の4,631億円が見込まれる。今後も各分野で堅調な伸びが期待され、2025年には同2.1倍の9,232億円が予測される。

立体自動倉庫システムや自動搬送・仕分けシステムなどのロジスティクス・ファシリティの規模が大きい。EC市場の拡大などによって、卸・小売向けや運輸・倉庫向けを中心に各品目が伸びている。市場をけん引する立体自動倉庫システムは、入出庫前後の搬送工程でAGVや無人フォークリフトと連携した自動化が進むとみられ、省力化ニーズを受けて国内需要に加えて日系メーカー海外販売の伸びも期待される。自動搬送・仕分けシステムはEC市場の拡大を受けて、卸・小売向けが堅調に増えるとみられる。

ロボティクス・オートメーションは、2019年は米中貿易摩擦の影響を受けた品目もみられたが、将来的には堅調な伸びが予想される。特に、AGV・アーム付AGVやリニア搬送システムは、国内に加えて海外需要も増加しており大きく伸びるとみられる。

IoTやAIでは、物流情報を共有し連携することによりサプライチェーンの最適化をはかる物流向けIoTプラットフォームやトラック予約システム、AI再配達回避システムなどの大幅な伸びが期待される。また、AI画像認識活用物流システムは運用の標準化が進む2020年以降に急伸すると予想される。

■次世代物流ビジネス市場 ※市場は国内市場+日系メーカー海外実績

 

2019年見込

2018年比

2025年予測

2018年比

製品回収・修理サービス 

340億円

106.3%

480億円

150.0%

通販フルフィルメント
サービス
 

535億円

111.5%

950億円

197.9%

倉庫シェアリング

3億円

3.0倍

110億円

110.0倍

トラックシェアリング

1,180億円

109.3%

2,120億円

196.3%

合 計

2,058億円

109.4%

3,660億円

194.6%

物流現場の人手不足や物流施設利用の多様化など、物流業界の課題を解決する手段として、各品目が堅調にのびるとみられる。

製品回収・修理サービスは、自主回収を含むリコールに対して迅速かつ適切な対応に注力する動きが活発化しているため伸びている。全国的な物流ネットワークを構築しており、使用済み製品や返品商品などを輸送する静脈物流のノウハウを持つ大手事業者のサービスの需要が高い。

倉庫シェアリングは立ち上がったばかりの市場であるが、包括して物流業務を受託するサードパーティー・ロジスティクスなどの再保管先としての利用が広まり、需要増加が期待される。

トラックシェアリングは、トラックドライバー不足が社会問題化する中で、オンライン上でマッチングするサービスがスタートアップ企業を中心に展開され始めており、市場拡大が予想される。

全般的な通販の物流・出荷代行を行う通販フルフィルメントサービスは、ECの参入企業および利用者の増加により需要増加が続いている。自社で物流網を持たない企業にとってコストや業務の負担軽減ができるアウトソーシングのニーズは高いため、今後も伸びが予想される。

◆注目市場

●倉庫ロボットシステムの国内市場

2019年見込

2018年比

2025年予測

2018年比

50億円

156.3%

270億円

8.4倍

倉庫内で可搬式の棚を搬送するために使用されるロボットを中心としたシステムを対象とする。

倉庫作業の効率化のために従来採用されてきたマテリアルハンドリング機器はサイズの異なる搬送物を取り扱う際の自動化が課題であったが、倉庫ロボットシステムは棚そのものを移動させることにより搬送物のサイズに関わらず搬送を可能とした。投資コストが比較的低く、出荷量の増減についても倉庫ロボットや専用棚の増減で対応できるなどの利点により需要が増えており、今後の市場拡大が期待される。

AIを活用して、多品種の商品を即時に出荷するため搬送頻度の高い棚をピッキング作業者の近くに配置するなど、最適な運送経路の算出機能なども組み込まれており、将来的にはトラックから庫内まで搬送物を取り扱う無人フォークリフトとの連携なども期待される。

●AI再配達回避システムの国内市場

2019年見込

2018年比

2025年予測

2018年比

10億円

-

350億円

-

AIを活用して配達業務を効率化し、再配達件数の減少を図るシステムである。具体例として、AIが住人の不在情報を認識して配達経路を最適化するシステムや、スマートフォンなどの情報端末を活用して受取人に配送物の届く時間帯を連絡するシステムなどがあげられる。

EC市場の拡大による配達物量の増加、また、慢性的な配送業界の人手不足を受け、配送員個人の経験や技量に依存しない再配達回避システムのニーズが高まっている。2019年より配送物や地図情報をもとに最適な配送ルートをドライバーに提示するシステムが展開されており、2020年には在宅情報をもとに最適な配送ルートをドライバーに提示するシステムが市場投入されるとみられる。今後は各家庭に設置されたスマートメーターの情報をAIが解析する方式が主流となるとみられ、スマートメーターの普及に伴い大幅な市場拡大が期待される。2025年には350億円が予測される。

●宅配ボックスの国内市場

 

2019年見込

2018年比

2025年予測

2018年比

戸建住宅向け 

47億円

117.5%

85億円

2.1倍

集合住宅向け

101億円

109.8%

160億円

173.9%

合 計

148億円

112.1%

245億円

185.6%

戸建住宅向けは、戸建住宅に設置される製品を対象とする。集合住宅向けは、分譲マンションや賃貸アパート向け、駅や商業施設に設置される公共スペース向け製品を対象とする。低価格帯から冷蔵機能やICカード認証機能を実装した高価格帯までさまざまな製品が発売されており、ECの普及に伴う配送件数の増加への対応策として需要が増加し市場は拡大を続けている。2025年の市場は2018年比85.6%増の245億円が予測される。

戸建住宅向けは、一般消費者が購入しやすい低価格帯の機械式が中心である。エクステリアメーカーやハウスメーカーを中心に活発な製品投入がみられる。普及率がまだ低いため、不在時でも受け取れる利便性の高さや認知度向上により、今後さらなる普及が期待される。

集合住宅向けは、分譲マンションや公共スペースでは、オンラインで管理できる電子制御式の高価格タイプが中心である。一方、賃貸アパートでは、導入や維持、管理コストが抑えられる機械式が中心である。

分譲マンションでは、入居者の需要が高まっているため新築だけでなくリノベーション物件などでも設置が増えると予想される。賃貸アパートでは、低価格な機械式を中心に設置が増えており、入居者の設置ニーズも高いため今後の伸びが期待される。公共スペースでは、設置台数は着実に増えているが、利用率の伸びは小幅にとどまっている。

◆調査対象

次世代物流システム

ロボティクス・オートメーション

 

 

・AGV・アーム付AGV 

・AI搭載デパレタイズロボット

・物流向けドローン

・AGF(無人フォークリフト)

・ロボットハンド

・リニア搬送システム

・次世代物流ロボットシステム

・パワーアシスト・増幅スーツ

・次世代パッケージングシステム

ロジスティクス・ファシリティ

 

 

・デジタルピッキングシステム

・倉庫ロボットシステム

・天井走行式モノレール

・自動搬送・仕分けシステム

・回転棚

・垂直搬送機

・立体自動倉庫システム

・電動式移動棚

 

IoT(ハード)

 

 

・スマートグラス

・宅配ボックス(分譲マンション向け・

・ハンディターミナル

・宅配ボックス(戸建住宅向け)

賃貸アパ-ト向け・公共スペ-ス向け)

・RFIDタグ(製造業・物流業向け)

IoT(ソフト・ソリューション)

 

 

・WMS・TMS

・トラック予約システム

・パレットレンタルサービス

・物流向けIoTプラットフォーム

・物流向けシミュレーションソフト

 

AI

 

 

・自動運転トラック  

・AI画像認識活用物流システム

 

・物流向け音声認識エンジン  

・AI再配達回避システム

 

次世代物流ビジネス

・製品回収・修理サービス

・倉庫シェアリング

 

・通販フルフィルメントサービス

・トラックシェアリング

 


2020/01/23
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。