PRESSRELEASE プレスリリース

第22006号

MaaS関連のサービス、機器・システムの国内市場を調査
―2030年市場予測(2020年比)―
■モビリティサービス 1兆4,858億円 (59.8%増)
~レンタカーを中心に、カーシェアや配車サービスなど様々なサービスが大きく伸びる~
●MaaSプラットフォーム/マルチモーダルサービス 2,337億円(584.3倍)
~鉄道関連を軸に、レンタカーやカーシェアなどが本格的に普及へ~
●電動キックボードシェア 30億円      ~規模は小さいものの、利便性により順調に拡大~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、公共交通事業者や自動車メーカーが積極的な展開を進めている、自動車をはじめ、電車やバス、タクシー、飛行機など、多様な交通手段をシームレスにつなげ、ユーザーの利便性を高める、サービスや機器・システムといったMaaS(Mobility as a Service)関連の国内市場を調査した。その結果を「モビリティ・インフラ&サービス関連市場の将来展望 2022」にまとめた。

この調査ではMaaS関連市場として、モビリティサービス10品目、機器・システム9品目、車両付帯サービス3品目、MaaSプラットフォーム/マルチモーダルサービスの市場の現状を調査し、将来を予想した。

◆調査結果の概要

■MaaS関連の国内市場

 

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

モビリティサービス

9,518億円

102.4%

1兆4,858億円

159.8%

機器・システム

1,590億円

108.0%

2,364億円

160.6%

車両付帯サービス

115億円

119.8%

477億円

5.0倍

モビリティサービス市場は、現状レンタカーやコインパーキングの占める割合が高い。今後は他サービスの伸長が期待される。特にカーシェアの伸びは大きく、2030年には15%以上を占めるとみられる。また、配車サービスは認知度の向上により、順調に伸びるとみられる。本格的なサービスが開始されたばかりの電動キックボードシェアやシェアバイクも利用者の増加が予想される。

機器・システム市場は、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により既存機器・システムの更新延期が多くみられたことから、市場は大きく縮小した。2021年以降、市場は緩やかに回復に向かい、2024年頃からは積極的な設備投資が進むとみられる。現状、駐車場管理システムや駐車装置・機器、自走式立体駐車場の市場に占める割合が高い。特に駐車場管理システムは、新紙幣やキャッシュレス決済への対応が進むため、2024年以降大幅な伸びが期待される。また、ETC2.0はメーカーやディーラーオプションとして採用され、伸びている。

車両付帯サービス市場は、市場規模は小さいものの順調に拡大している。特に自動車サブスクリプションは申し込みから契約までをWeb上で完結できる利便性の高さから、若年層を中心に利用が増えている。

◆注目市場

●MaaSプラットフォーム/マルチモーダルサービス

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

7億円

175.0%

2,337億円

584.3倍

※一部、モビリティサービスの市場を含む

公共交通や複数のモビリティサービスを統合し、予約や決済、経路検索結果を表示するWebサービスやスマートフォンアプリを経由したサービスを対象とする。市場は公共交通やモビリティサービス、電子チケットなどのサービス利用金額で捉えた。現状、自動車メーカーの関連企業や公共交通事業者がサービスを提供しているケースが一般的である。

2019年までは実証実験段階のサービスが中心で、2020年から実運用サービスが開始されたが、新型コロナ流行による移動の自粛が本格的な市場形成の障害となった。2022年頃まで市場は伸び悩むが、2023年以降は順調な伸びが期待され、2025年頃から急拡大が予想される。

観光利用と日常利用に大別される。観光利用は、チケットの電子化や新型コロナ流行の影響を受けた観光地での利用促進サービスが中心になるとみられる。日常利用では、飲食店チケットなどのサービスが展開されており、今後は小売店などと連携したチケット販売が進むとみられる。

現時点では、鉄道やバスの1日乗車券の電子チケット化や、観光施設での入場券の電子チケット化が中心である。交通事業者間での連携が進んでいるが、特に鉄道事業者が中心となりサービス提供を行っているため、鉄道の市場を占める割合が高い。

2030年になると、観光型サービスとの相性が良いレンタカーが、利用料が比較的高いこともあり、市場に占める割合が高まると予想される。バスの市場に占める割合は現時点で約20%であるが、1日乗車券など数百円程度の安価なサービスが中心であるため、割合は低下するとみられる。カーシェアや配車サービスは利便性から、徐々に利用者が増加し、堅調な伸びが期待される。一方、ライドシェアは、個人間のサービスであり、限定地域での利用が想定されるとみられる。また、シェアサイクルは利用料が安価なため市場に占める割合は小さいものの、観光地だけでなく市街地でも利用が進むとみられる。同様にキックボードも利用増加が期待される。

各公共交通事業者は将来的な人口減少による移動総量縮小への対策として、移動をシームレスにし新たな需要を創出するツールとしてMaaS事業に取り組んでいる。利用者の移動経路に加え、移動手段や目的をトータルにで把握し、移動データを活用する事で自治体の街づくり、出店計画や広告プロモーションなどに活用できるため、新たなビジネスの創出が期待される。サービスの中心となるマルチモーダルな経路検索は、IT事業者を中心に提供されており、今後は複数の目的地を選択し最適な旅程と経路検索を組み合わせたサービスなどで利用者の利便性が向上することにより、さらに利用が増えると想定される。

●電動キックボードシェア

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

1億円

-

30億円

-

電動キックボードを用いた、公道でのシェアリングサービスを対象とし、大学内や工場内など私有地内でのサービスは含まない。

2020年までは主に大学や大型の公園などの私有地を中心とした実証実験が中心で、公道で一部原動機付自転車と同じ区分で実証実験が行われていた程度であった。

2021年に産業競争力強化法が適用され、一定の条件を満たす電動キックボードに関しては小型特殊自動車の位置づけとなった。車道の走行が基本であるが、自転車道の通行が可能となるなどの特例措置がとられたことにより利用のハードルが下がり、事業者がサービス展開を広げ、市場が動き始めている。

今後は電動キックボードを対象とした法律が整備され、車両装備や出力などの基準が明確化されることで、電動アシスト付き自転車に近い扱いになるとみられる。これにより、使い勝手が向上し、利用者の裾野が広がることで、市場拡大が予想される。

現時点では利用料として初乗り150円程度、一定時間経過後に十数円ずつ課金される料金体系がとられている。車両価格や耐用年数を考慮すると、現状の料金体系では事業の継続は難しいため、今後の値上げが予想されることも市場拡大に寄与するとみられる。

◆調査対象

モビリティサービス

・カーシェア

・シェアサイクル

・電動キックボードシェア

・レンタカー 

・シェアバイク

・ライドシェア

・配車サービス

・オンデマンド交通

・コインパーキング

・駐車場シェア

 

 

機器・システム

・駐車装置・機器、 

・駐輪場管理システム

・電動車用充電器(普通/急速)

自走式立体駐車場

・ETC2.0

・券売機

・駐車場管理システム

・公共用ワイヤレス給電

・KIOSK端末

・駐輪装置・機器

システム

 

車両付帯サービス

・自動車サブスクリプション  

・車両管理システム

・MaaS保険

プラットフォーム

・MaaSプラットフォーム/マルチモーダルサービス


2022/01/21

上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。