PRESSRELEASE プレスリリース

第23121号

セキュリティ関連の国内市場を調査
― 2027年市場予測(2022年比) ―
■セキュリティ関連 1兆2,125億円 (17.0%増)
防犯・防災以外の用途でのシステム/サービス活用による拡大に期待
監視カメラシステムやアクセスコントロールがけん引
●バイオメトリクス 242億円 (82.0%増)
勤怠管理システム連動型や個人情報を扱うシステムにおける多要素認証の需要が増加

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、防犯・防災だけでなく勤怠管理や業務効率化など多用途展開がトレンドとなっているセキュリティ関連市場を調査した。その結果を「DXを実現するセキュリティ関連技術・市場の将来展望 2023」にまとめた。

この調査では、監視カメラシステム、アクセスコントロール、イベント監視/通報関連機器、自動車、家庭向け機器/サービス、防災関連機器/サービスの6分野26品目のセキュリティ関連市場とセキュリティ関連技術を活用したDXシステム/サービス10品目の市場について、現状を調査するとともに、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■セキュリティ関連の国内市場

 

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

全体

1兆 743億円

103.6%

1兆2,125億円

117.0%

 

監視カメラシステム

1,295億円

109.4%

1,627億円

137.4%

 

アクセスコントロール

661億円

115.6%

815億円

142.5%

※監視カメラシステム、アクセスコントロールは全体の内数

2023年は、コロナ禍による設備投資の抑制や半導体不足などのサプライチェーンの混乱などが解消しつつあるのに加え、広域強盗事件の発生によるセキュリティ意識の高まり、資材価格高騰に伴う製品の値上げなどもあり、市場は前年比3.6%増の1兆743億円が見込まれる。

今後は、セキュリティに対する需要の高まりに加え、物流・運送業界の2024年問題に対応したバイオメトリクスなどでの勤怠管理、監視カメラシステムを活用した省人化・業務効率化など、防犯・防災以外の用途でのセキュリティ関連システム/サービスの需要増加により、2027年の市場は1兆2,125億円が予測される。

また、少子高齢化、労働人口の減少による人手不足が各業界で深刻化しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対するニーズが高まっている。AI画像解析やバイオメトリクスなどを活用したDXシステム/サービスの提供がセキュリティベンダーによって行われており、AIなどの独自技術を持つスタートアップ企業との協業も進んでいることから、幅広い用途で採用増加が期待される。

分野別には監視カメラシステムとアクセスコントロールが特に伸長するとみられる。

監視カメラシステムは、アナログカメラからIPカメラへのシフトが加速すると共に、画像録画装置や映像総合管理ソフトウェア、クラウド録画サービスなどが伸びている。今後は、防犯目的だけでなく、労働人口の減少をはじめとする、各業界が抱える様々な課題の解決を目的としたAIカメラやAI画像解析システムなどを活用したDXシステム/サービスの提案により、市場拡大が期待される。

アクセスコントロールは、バイオメトリクスの虹彩認証、顔認証、静脈認証のほか、スマートロックの普及が期待される。個人情報の管理や働き方改革への対策として関連ガイドラインが改訂され、多要素認証の需要が増加していることから、今後も高い伸びが期待される。また、店舗運営における無人化・省人化やキャッシュレス決済の対応を目的とした、バイオメトリクスを活用したDXシステム/サービスの展開も期待される。

◆注目市場

●バイオメトリクス

 

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

全体

168億円

126.3%

242億円

182.0%

 

静脈認証

113億円

118.9%

138億円

145.3%

 

顔認証

27億円

122.7%

35億円

159.1%

※静脈認証、顔認証は全体の内数

バイオメトリクスは、指紋認証、静脈認証、顔認証、虹彩認証を対象とし、用途別には入退室管理とPCアクセス管理に分けられる。現状で最も規模が大きいのは静脈認証である。

入退出管理用途では、カードキーの管理やコスト負担の削減を目的としたキーレス需要の増加から、非接触カード式の入退室管理システムからの移行が増えており、今後も市場拡大が予想される。PCアクセス管理用途では、コロナ禍を契機としてワークスタイルが多様化し、PCを社外に持ち出す機会が増えたことで、需要が高まっている。

働き方改革を背景とした勤怠管理システム連動型の需要増加や、個人情報を扱うシステムにおける多要素認証の需要増加などにより、今後は静脈認証に加え、顔認証や虹彩認証も伸び、2027年には242億円が予測される。

静脈認証は、指紋と組み合わせたハイブリッド型や、静脈と動脈を組み合わせた血流認証も含む。体内の生体情報を利用した認証方式であるため、偽造やなりすましが困難であり、認証精度の高さがユーザーから評価されている。

入退室管理用途では、非接触カード式からの移行などにより、伸びている。静脈認証から非接触での認証が可能な顔認証への移行もあるが、オフィスビルや官庁、データセンターをはじめとしたセキュリティニーズの高い施設での需要は今後も堅調とみられる。

PCアクセス管理用途では、部材調達が正常に戻りつつあり、設備投資再開の動きもみられることから、2023年は大幅な伸長が予想される。中でも、個人情報の管理や働き方改革による労働時間管理を目的として、物流・医療分野を中心に一層の需要増加が期待される。物流分野では2024年問題の対策として静脈認証でのトラックやタクシードライバーの勤怠管理実施、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」改訂に伴う医療分野での電子カルテやレントゲン、放射線、投薬などの患者の個人情報を扱うシステムを対象とした多要素認証の採用増加による、市場の拡大が期待される。

顔認証は、完全な非接触での認証が可能である。表面体温の測定機能の付加、マスクをつけた状態でも高精度な認証が可能な製品などの展開により、コロナ禍を契機に市場環境が変化し、セキュリティ分野だけでなく幅広い分野で需要が増えている。

入退室管理用途では、設備投資の再開に加えて、価格面などから入退室管理システムの導入が進んでいなかった中小企業を中心に新規導入が増加しており、伸びている。また、ハンズフリーでの入退室が可能な点から、車いす利用者にとっても利便性が高く、介護施設関連での採用もみられる。近年では、スポーツジムやフィットネス施設、コンビニエンスストアなど小規模施設での導入も増加している。

PCアクセス管理用途では、顔認証はPC付属のカメラで認証が行え、専用の認証装置が必要ないため、導入が増えている。

●セキュリティ関連技術を活用したDXシステム/サービス

 

2023年見込

2022年比

2027年予測

2022年比

AI画像解析警備システム

4億円

2.0倍

25億円

12.5倍

AI画像解析警備システムは、監視カメラで撮影した画像をAIで行動解析し、暴力、侵入、長時間滞留などの犯罪行為や迷惑行為、転倒やふらつき、迷子などの救護が必要な人や急病人の検知などを行うシステムである。既設の監視カメラが利用されるケースも多く、導入に際して大掛かりな工事もないこと、画像解析機能はサーバーもしくはソフトウェアでユーザーに提供されることから、比較的低コストでの導入が可能である。

2022年から本格的な展開が開始された。試用期間や実証期間が必要となるため、現時点での市場は限定的である。しかし、警備に関わる労働力が不足する中で、比較的低コストで導入可能な警備システムに対する需要は高く、システムベンダーと警備会社の連携も始まりつつあることから、今後は堅調な市場拡大が予想される。

また、AI画像解析を活用することで、一般的な監視カメラの設置のみでは気づきにくい不審者の行動や、ふらつき、転倒などの施設利用者のトラブルも検知できるため、安全・安心な施設運営を実現するツールとしても期待される。

◆調査対象

セキュリティ関連市場

 

 

監視カメラシステム分野

 

 

・監視カメラ

・映像総合管理ソフトウェア

・クラウド録画サービス

・画像録画装置

・画像伝送装置

 

アクセスコントロール分野

 

 

・入退室管理システム(非接触カード式)

・バイオメトリクス(静脈認証)

・鍵管理ボックス

・フラッパーゲート

・バイオメトリクス(顔認証)

・スマートロック

・バイオメトリクス(指紋認証)

・バイオメトリクス(虹彩認証)

 

イベント監視/通報関連機器分野

 

 

・警備用ロボット/ドローン関連サービス

・法人向け機械警備サービス

 

自動車分野

 

 

・ドライブレコーダー

・後付け盗難防止装置

 

家庭向け機器/サービス分野

 

 

・ホームセキュリティユニット

・テレビドアホン/住宅情報盤

・緊急通報サービス

・ホームセキュリティサービス

・防犯ロック

・高齢者在室安否確認サービス

防災関連機器/サービス分野

 

 

・火災報知設備

・ガス漏れ警報器

・被災者安否確認サービス

セキュリティ関連技術を活用したDXシステム/サービス市場

・AI検品・外観検査システム

・無人決済システム

・AI画像解析警備システム

・危険行動検知システム

・本人確認システム

・道路路面管理サービス

・顧客行動可視化システム

・介護現場支援システム

 

・顔認識デジタルサイネージシステム

・建設現場安全管理システム

 


2023/11/17
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。