PRESSRELEASE プレスリリース
●カップめん 5,289億円(7.2%増)
CVSでの販売が好調。幅広い層を取り込む商品展開により、今後も拡大続く
●パスタソース 590億円(6.5%増)
電子レンジ対応パウチへのリニューアルなど、使い勝手の向上による需要喚起進む
●国産パスタ 815億円(10.0%増)
調理時間が短くて済む早茹でタイプなど、利便性が高い商品が好調
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、加工食品(27カテゴリー385品目)のうち、簡便性が高い商品が伸びている調味料や調味食品、手軽さや本格感を訴求した商品が好調なスープ類、商品単価の上昇により廉価品への需要シフトやユーザーの買い控えが目立つめん類、価格優位性の高さから他カテゴリーから需要が流入しユーザーの定着もみられる米飯類の計5カテゴリー97品目の市場を調査した。その結果を「2024年 食品マーケティング便覧 No.4」にまとめた。
◆注目市場
●カップめん【めん類】
2022年、2023年と価格改定が行われているが、主要チャネルであるCVSの来店客数の回復、ドラッグストアやディスカウントストアでの伸びにより市場拡大が続き、2023年は5,000億円を超えるとみられる。なお、価格改定により、数量の伸びに比べて、金額の伸びが大きい。
CVSでは、価格改定以降も各チェーンが付加価値の高いオリジナル商品の強化や値ごろ感のあるPBの投入を行い伸びている。一方、量販店は購買点数減や中高価格帯の苦戦により、価格訴求品の販売強化による需要獲得が図られている。主力NBブランドはメーカー各社の注力度も高く、堅調な需要獲得が予想されることから、市場は今後も拡大するが、価格志向品とCVSの付加価値型PBの二極化が進むとみられる。
●パスタソース【調味食品】
一世帯当たりの人数減少などによる個食需要および簡便ニーズの増加により伸長しており、近年では創味食品や永谷園などの新規参入もあり、注目度が上がっている。
2023年は、茹でたパスタに和えるだけといった経済性・簡便性のよい商品が好調である。また、電子レンジ対応パウチへのパッケージリニューアルなど、使い勝手の向上による需要喚起が進んでいる。メーカー各社はグラタンやリゾット、ホットサンドなどパスタ以外での用途提案を行っており、今後の市場の底上げが期待される。
●パスタ【めん類】
国産パスタは、2022年に小麦価格の上昇による価格改定が行われたが、外食向けが回復に向かったことで販売量を維持し、市場は前年比二桁増となった。2023年は、電子レンジ調理対応商品や早茹でタイプなど、調理時間が短く済む利便性が高い商品が好調である。また、パスタソースでの参入メーカーの増加などによりパスタ料理自体の注目度が上がっていることもあり、市場は前年比7.0%増となった。
スパゲッティやフィットチーネなどのロングパスタは、低糖質、グルテンフリーなど健康志向品が価格改定以降も需要が安定しており、カテゴリーの一つとして定着している。また、マカロニやペンネなどショートパスタも、コロナ禍を契機に喫食層が広がったことや、各メーカーによるレシピ提案やショートパスタ向けソースの発売による需要喚起などにより、伸びている。
輸入パスタは、価格改定による単価上昇で市場は拡大するものの、市販用ではレンジアップ対応など利便性を高める国産パスタ、冷凍パスタへの需要シフト、業務用でのイタリア料理など高単価業態の需要がコロナ前と比較して伸び悩んでいることから販売量は減少し、苦戦している。今後は、グルテンフリーやオーガニック商品などの展開などにより、品質面での差別化などが進められるとみられる。
●米飯類
米飯類は、簡便性や保存性の高さによるデイリーユース層の獲得、自然災害による備蓄需要を中心に市場拡大を続けており、コロナ禍では無菌包装米飯やおかゆが自宅療養者向けの需要を獲得した。食品全般の価格が高騰していく中で、米は価格が比較的安定しており、主要メーカーの価格改定も2023年後半と遅かったことから、他カテゴリーからの需要流入がみられるため、2023年の市場は好調である。
規模の大きい無菌包装米飯・レトルトライスでは、複数の参入企業において、安定供給を維持するための製造能力増強が図られており、2024年以降は新設される製造ラインの稼働によって伸長が期待される。また、簡便性に対する再評価などからコロナ禍で獲得したユーザーの定着がみられるほか、タイムパフォーマンスを重視する若年層などユーザーの幅も広がっており、今後も市場をけん引するとみられる。
◆調査結果の概要
調味料は、調理の簡便性に対するニーズの高まりや外食・中食産業での人手不足などによる省力化ニーズの高まりによって基礎調味料から応用調味料に需要がシフトしており、業務用が大幅なマイナスとなった2020年を除いて、拡大が続いている。
2023年は、価格改定により市販用は消費者の買い控えや低価格商品へのシフトがみられる。しかし、消費者の節約意識の高まりが調理済食品などからの需要回帰に繋がっているほか、業務用が回復しているため、市場は拡大するとみられる。簡便性だけでなく、メニュー提案による用途開拓や需要の通年化、外食店監修商品の発売など商品や用途の幅を広げる施策が活発化しており、今後も多様な切り口での展開によって、市場は微増が続くとみられる。
調味食品はインスタントカレーやメニュー専用合せ調味食品など調理の簡便性を訴求した商品が多い。近年は温めるだけのレトルトカレーや混ぜたり和えるだけのパスタソースなど、より簡便性が高い商品が市場をけん引している。
2023年は、価格改定や外食需要の増加による業務用の好調もあり、市場拡大が予想される。しかし、市販用は消費者の節約意識の高まりもあって、より経済的な調味料などへの移行が著しく、調理済食品や中食への需要の流出もみられる。今後は業務用の需要増加に加え、市販用もメーカー各社が利便性や本格感、汎用性を提案する販促活動を積極的に展開し、需要の掘り起こしにより、市場は拡大が予想される。
スープ類は、定番のポタージュやみそ汁だけでなく、具材やめんなどが入り食べ応えのあるスープなど商品のバラエティ化が進んだことで喫食シーンが広がり、市場が拡大してきた。電子レンジ対応など簡便性を向上した商品や野菜など栄養訴求による付加価値化が支持されているほか、粉末タイプなどはスープ以外のアレンジレシピの提案も活発に行われている。
2023年はカップ入りスープやフリーズドライタイプが好調であり、今後も手軽さや本格感などを訴求した商品の伸びが予想される。一方で、価格改定による消費者の買い控えもみられることから、健康やコスパの良さなどでの価値訴求による需要創出も必要となっている。
めん類はコロナ禍で家庭での調理頻度が増加したことで市場が拡大した。2022年は輸入小麦の原料価格の高騰を受けて多くの企業が価格改定を行ったこと、業務用が回復に転じたことからで市場が底上げされた。2023年も再値上げや外食店を中心に業務用の回復が続いていることから市場は拡大するとみられるが、相次ぐ価格改定により廉価品への需要シフトや買い控えが目立っている。
◆調査対象
・オリーブ油
・ごま油
・米油
・アマニ油(市販用)
・みそ
・しょうゆ
・塩
・つゆの素
・白だし
・うどんスープ(市販用)
・風味調味料
・だしパック
・食酢
・すし酢
・ぽん酢
・その他調味酢
・本みりん
・みりん風調味料
・発酵調味料
・マヨネーズ類
・マヨネーズタイプ調味料(市販用)
・タルタルソース
・ドレッシング
・ノンオイルドレッシング
・コンソメ・ブイヨン
・焼肉のたれ
・ソース
・トマトケチャップ
・トマトピューレ・ペースト
・スパイス類
・市販用チューブ入りスパイス類
・純カレー
・ペッパーソース
・機能性甘味料
・浅漬けの素
・オイスターソース
・醤調味料
・具入りラー油(市販用)
・ガラスープ
・ラーメンスープ(業務用)
・めん用たれ・ソース(市販用)
・しゃぶしゃぶのたれ
・すき焼きのたれ
・鍋つゆ
・おでんの素
・うま味調味料(市販用)
・レモン果汁(市販用)
・半練中華だし(市販用)
・塩麹
・プレミックスパウダー・無糖
・お好み焼きミックス
・レトルトカレー
・缶詰カレー
・インスタントシチュー
・インスタントハヤシ
・レトルトハヤシ・シチュー
・ピザソース
・パスタソース
・ブラウン・ホワイトソース
・トマトソース
・中華メニュー専用合せ調味食品(市販用)
・アジアンメニュー専用合せ調味食品(市販用)
・チルドメニュー専用合せ調味食品(市販用)
・炒飯の素
・お茶漬け・ぞうすいの素
・ふりかけ
・すしの素
・釜飯の素・炊き込みご飯の素
・どんぶりの素
・カップ入りスープ
・フリーズドライスープ
・わかめスープ
・缶詰スープ
・即席みそ汁
・フリーズドライみそ汁
・袋めん
・ノンフライカップめん・袋めん
・乾めん
・輸入パスタ
・ビーフン・米粉めん
・セット食品
・おかゆ・雑炊・リゾット
・包装餅
・雑穀
・無洗米