PRESSRELEASE プレスリリース

第24105号

冷凍食品、農畜水産加工品などの国内市場を調査
― 2025年予測(2023年比) ―
●冷凍食品 1兆3,617億円(4.4%増)
時短・簡便性ニーズの高まりでワンプレート型商品や簡便性を訴求した商品の需要が増加
●冷凍ギョーザ 704億円(4.3%増)
業務用では人手不足に対応した焼き目付きの加熱済み商品などが伸長

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、時短・簡便性ニーズにマッチし好調が続く冷凍食品、消費者の節約志向の高まりでコスパの良い商品が伸びている一方、高付加価値商品の需要が増えているチルド調理済食品、割安感を訴求する大容量サイズから食べきりサイズへの需要シフトが進む農産加工品など、6カテゴリー98品目の市場を調査した。その結果を「2025年 食品マーケティング便覧 No.2」にまとめた。

◆注目市場

1.冷凍食品

冷凍食品

2022年以降、市販用は原材料の高騰などに伴う値上げにより消費者の買い控えがあったものの、より簡便性を高めたワンプレート型など付加価値の高い商品が好調なため伸びている。業務用は、2023年の新型コロナウイルス感染症の5類移行後の人流増加で外食需要が増加し伸びが続いているものの、2024年は需要が落ち着き前年と比較すると伸びが鈍化している。

冷凍食品は高まる時短・簡便性のニーズにマッチしていることから、今後も市場拡大が続くとみられる。業務用は外食や中食業態の人手不足に対応する簡便性を訴求した商品や高品質商品の開発、市販用は外食品質の商品やワンプレート型などの商品形態の広がり、メーカーの工場増設やTVCMでの商品露出増加も追い風になるとみられる。

2.冷凍ギョーザ

冷凍ギョーザ

単身世帯や共働き世帯の増加に伴い調理の時短や簡便性ニーズが高まっていることから、特に市販用が需要を獲得している。2023年は、市販用は値上げが消費者の買い控えにつながり数量ベースでは減少したものの、定番商品のリニューアルや新奇性の高い商品が発売されたことにより好調だった。業務用は、人手不足の影響から量販店のデリカやラーメン店などで焼き目付きの加熱済ギョーザといった簡便性を訴求した商品の需要が増えた。市場は前年比5.1%増の675億円となった。

2024年は、各社の積極的なTVCMの展開だけでなく、新奇性の高い商品の発売や味の素冷凍食品が“冷凍餃子フライパンチャレンジ"プロジェクトの実施で話題を集めていることなどにより、需要増加が予想される。また、業務用は人手不足が深刻化していることから焼き目付き商品など簡便性を訴求した商品の需要獲得が進んでいることもあり、市場は拡大を続けるとみられる。

3.チルドそば・うどん

チルドそば・うどん

2023年は、前年に引き続き値上げが実施されたものの、市販用は消費者の節約志向の高まりを背景にコスパの良さで3食入りうどんを中心に伸びたほか、そばはそば粉などを国産素材に切り替え品質アップで付加価値を高めた商品が好調で需要が増加した。また、業務用で外食業態を中心に需要が増えたこともあり、市場は前年比4.0%増の905億円となった。

2024年は、即食性や簡便性の高いデリカのそば・うどんや、冷凍そば・うどんへの需要シフトが市場拡大の阻害要因となる懸念があるものの、市販用は割安感が支持され3食入うどんを中心とした商品が伸びるほか、素材の見直しで品質アップによる需要の囲い込みが進むとみられる。また、業務用は外食での需要がさらに増加するため市場は拡大を続けると予想される。

市販用は、量販店が8割弱を占めている。量販店は1食入、3食入など素材めんタイプのほか、具付きの高付加価値商品など幅広くラインアップされていることから伸びている。CVSは一定の需要があるものの即食ニーズが高いことから、デリカのそば・うどんや冷凍そば・うどんなどと親和性が高いため、チルドそば・うどんからの需要シフトもみられる。ドラッグストアは店舗数の増加に加え、低温度帯商品の取り扱い強化もあり伸びている。


チルドそば・うどん 市販用販売チャネル別

チルドそば・うどん 市販用販売チャネル別

4.キムチ

キムチ

キムチは、そのまま食べられるだけではなく、様々な料理への汎用性も高いことから安定した需要を獲得している。

2023年は、原材料や包材の高騰、為替変動に伴う値上げが行われた。特に、韓国産は国産と比較して値上げ幅が大きく国産への需要シフトがみられた。一方、増量品や食べきりサイズ品の展開、各種ポイント付加キャンペーンなど消費者の需要をつなぎとめる販促が継続的に実施され、数量ベースは横ばいだったが、単価上昇もあり市場は拡大した。

2024年は、増量品は割安感があるものの食べきれないといった消費者の悩みに対して都度買い需要に対応した食べきりサイズ、プチサイズの需要が伸びるとみられ、市場は拡大を続けるとみられる。

◆調査結果の概要

◆調査結果の概要

チルド調理済食品は、原材料価格の高騰による値上げで一部品目において需要減退がみられるものの、消費者の節約志向の高まりでチルドハンバーグなどの弁当向け商品やコスパの良い3食入りめん類が好調である。また、チルドラーメンは著名ラーメン店の監修商品といった高付加価値商品の発売やインバウンド需要でラーメン店の客数が増えることで業務用の需要が増加するなど、2024年も市場拡大が続くと予想される。

その他調理済食品は、人流回復に加えインバウンド需要の増加でホテルやレジャー施設など外食業態を中心に業務用のアメリカンドッグやうなぎの蒲焼などが好調である。また、2023年に鳥インフルエンザの流行で出荷調整や休売となった卵焼き類も2024年は伸びていることから、市場拡大が予想される。

農産加工品は、価格改定に伴う値上げで消費者の買い控えがみられ市場の伸びは鈍化している。各メーカーでは割安感を訴求する大容量サイズから個食志向に対応した食べきりサイズへの需要シフトを受けて、都度買いニーズへの対応を強化することで需要の囲い込みを進めている。

畜産加工品は、ソーセージ類、ハム類を中心に市販用の規模が大きい。喫食が習慣化していることから市場は堅調に推移していたが、原材料価格の高騰による値上げで消費者の買い控えや低価格品への需要シフトが続いており、2024年の市場は縮小するとみられる。

水産加工品は、原材料となるスケソウダラ、かつお、いか、さば、のりなどの漁獲量の増減や輸入時の為替動向が販売価格の変動に影響している。国内における水産物漁獲量の落ち込みや円安による輸入原料の高騰のほか、輸送コストや人件費、包材の高騰で値上げを実施した品目が多く、消費者の買い控えがみられる。一方、健康意識の高まりで高たんぱく質含有やDHA・EPA含有を訴求したちくわや風味かまぼこ、魚肉ハム・ソーセージの需要が増えていることから、今後も市場は拡大が予想される。

◆調査対象

冷凍食品
・冷凍ハンバーグ
・冷凍肉団子・ミートボール
・冷凍から揚げ
・冷凍フライドチキン
・冷凍グラタン類
・冷凍ギョーザ
・冷凍水ギョーザ
・冷凍シューマイ
・冷凍春巻
・冷凍天ぷら
・冷凍お好み焼き
・冷凍たこ焼き
・その他冷凍スナック
・冷凍コロッケ
・畜肉系カツ
・水産系カツ
・冷凍えび・いか・かきフライ
・その他冷凍水産フライ
・冷凍米飯類(成型タイプ)
・冷凍米飯類(バラタイプ)
・冷凍そば
・冷凍うどん
・冷凍中華めん
・冷凍パスタ
・冷凍野菜
・ポテト加工品
・素材系ミックス・市販用
・冷凍果実・市販用
・冷凍スープ

チルド調理済食品
・チルドハンバーグ
・チルドミートボール
・チルドギョーザ
・チルドシューマイ
・チルドそば・うどん
・チルドラーメン
・チルド焼きそば類
・チルドパスタ
・チルド茶わんむし

その他調理済食品
・ワンタン
・卵焼き類
・卵豆腐類
・うなぎの蒲焼
・アメリカンドッグ

農産加工品
・漬物
・キムチ
・煮豆
・納豆
・凍豆腐
・豆腐
・豆腐加工品
・味付油揚げ
・こんにゃく
・なめ茸茶漬類
・山菜加工品
・味付けメンマ
・はるさめ
・加工ごま
・ジャム類
・スプレッド類(市販用)
・素材系トマト
・サラダ類
・素材缶詰
・果実缶詰・パウチ
・はちみつ(市販用)
・マヌカハニー・市販用
・こんにゃく・豆腐めん

畜産加工品
・ハム類
・生ハム
・ベーコン
・ソーセージ類
・ドライソーセージ
・サラダチキン(市販用)
・焼豚
・焼肉類
・コンビーフ類
・食肉加工品缶詰・パウチ
・やきとり缶詰
・おつまみ缶詰

水産加工品
・魚肉ハム・ソーセージ
・水産練製品
・風味かまぼこ
・ちくわ
・パックおでん
・のり
・韓国のり
・海苔佃煮
・昆布佃煮
・削り節・花かつお
・塩辛
・もずく酢
・めかぶ
・スモークサーモン
・水産缶詰・パウチ
・青魚缶詰・パウチ
・ツナ加工品
・辛子明太子
・鮭フレーク(市販用)
・乾燥わかめ(市販用)


2024/11/13
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。